私の愛した王子様

山美ハル

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塔の中の宮廷

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塔の中は蒸し暑いキャサリンは暑さに耐えながらマーガレットに頼まれ熱い紅茶を準備する

「お待たせしました」

キャサリンがマーガレットの部屋に入った時思わず口にした

「冷た」

マーガレットは優雅に手紙を読んでいた

「この部屋涼しいですね」

キャサリンはマーガレットに話しかけた

「そうね熱い紅茶を飲みたくなるでしょ?」

確かにこの部屋は涼しい幽閉されてる者達はこの暑さで元気がない人間ばかりだ

「どうしてこんなに涼しいのでしょうか?」

「あれを見なさい?」

マーガレットは部屋の隅に置かれた石を指さす

「あれは何ですか?」

部屋の隅には頭一つ程の石が置かれている

「氷魔石よ」

「氷魔石?」

キャサリンは石に近づく

「うわー冷たいです」

キャサリンは蒸れた身体を冷やそうと長いメイド服をパタパタさせる

「気持ちいですねここにずっといたい」

「キャサリン紅茶は?」

「あ すみませんマーガレット様」

その言葉を受けキャサリンはマーガレットが愛用しているカップに熱い紅茶を注ぐも視線は石の方を見つめている

「あれはどうしたんですか?」

幽閉されて外部から何も届かないはずなのに

「作ったのよ」

「作った!?」

マーガレットはの手から冷気があふれ出す

「魔法を使えるのですか?」

この国には魔法を使える人間が存在するが氷の魔法なんてあまり見たことがない

「覚えたのよがんばってね」

「そんな簡単にいきませんよ」

「愛は不可能を可能に出来る魔法よ」

マーガレットはカップに手を伸ばし紅茶を口にいれる

「あらやだ紅茶が凍ってしまったみたい」

マーガレットはコップを逆さにしてキャサリンに見せた

「・・・」

キャサリンは何も言わず違うコップに熱い紅茶をいれた

「王子も暑さに困ってるようね」

水晶玉には王子が写っている

「王子は暑いのが苦手でしたね」

キャサリンは水晶玉を見る

「王子は火の魔法を操るから余計暑さを感じやすいのよ」

王子は暑さでぐったりとしている

「王宮に氷魔石はないのですか?」

「キャンディが私が置いていた物を全部捨てちゃったのよ」

マーガレットはくすりと笑った

「あらら」

「キャンディも暑さで困ってる」

水晶玉はキャンディの姿を写す

「キャンディさんは暑さに弱いのですか?」

「知らない」

マーガレットは紅茶を口に入れる

水晶玉がキャンディから王子に変わる

「昔は私がそばにいて冷やしてあげてたのよ」

「疲れたりしなかったですか?」

「そら疲れたはよ」

「王子が寝付くまで頑張ったの・・」

「そこまでする必要ありますか?」

キャサリンは顔を引きつかせた

「でも愛していたから」

マーガレットは笑顔を見せた

キャサリンは思った

女の愛は心を燃やし

愛がなくなると氷になると

「今日はお茶菓子がないのかしら?」

「すみません忘れてました」

「今すぐ取ってきます」

キャサリンは急いでお茶菓子を取りに向かう

扉を開けると今までが心地よい冷たさに囲まれていた事が分かった

「暑い」

「マーガレット様が調整してたのだろう」

キャサリンは一つの疑問が浮かんだ

牢獄にいるのに茶菓子や紅茶を用意されているのだろう?

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