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落ちこぼれ聖女

聖女シオン

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 僕は今クランカル山中に来ています。

 そうそう、サーカスを追いかける途中でなんとポニークが待っていました。
 そして僕をサーカスまで連れて行ってくれたのです。

 その話は後程しましょう。

 さて僕は団長から自分の芸を持てと言われて色々な団員の人の付き人として勉強中です。
 今回はカメリアさんについて新しいパートナー動物を捕獲するため山の中に来ています。

 カメリアさんは猛獣使いなので猛獣の操作をするスキルを持っているのです。
 本当に凄いです、ポニークがあの時病気になった理由は新しい芸の練習をしている時に狭小な箱の中にポニークを長時間入れたのが悪かったのです。
 でも考えて見てください、具合が悪くなるまで動物が言うことを聞くことの凄さを!!
 本当に凄い能力です。

 そしてその一件から反省することになりました。
 それで、ポニーク以外にも操作できる動物を増やそうとこの山で動物を捕獲するのです。

「レオン君、ワンダーラビットがそっち言ったから捕まえて」

「はい、分かりました」

 声の方から足跡が近づいてきたと思ったら、何と2m近いウサギが飛び出してきた。

「うわぁっ!!」
 驚いた僕は腰を抜かしてしまった。

 その隙にワンダーラビットはどんどん逃げて行った。

「あっ、逃げちゃったわ!!」

「すいません、あんなに大きいとは思わなかったので、驚いてしまいました」

「大丈夫よ、まだこの森には沢山動物が居るから、じゃあまた待機しておいてね」

 そういうとカメリアさんは森の中に消えて行った。

 さっきウサギが来た方向に水たまり見えたのでそちらに行った。

 そこには小さな沼が在った

「なにか魚でも居るのかな?」

 そんなことをぶつぶつ言っていると、少し離れたところに女の子がやって来た。

 着ているローブからすると聖女さんだろうか?
 金色の髪の毛がくりくりしている僕より少し年下のようだった。

 少し様子を見ていると手を前に真っすぐ出してなんかブツブツ言っていた。

「聖なる光よ、我が願いに答えて奇跡を起こせ!!」

「えぃ!!、ヤァ!!、とおッ!!・・・」

 なんだろう、武闘の練習だろうか?

 そうこうしているとその聖女さんは座り込んでうな垂れていた。

「はぁ~やっぱり駄目だ、本当にもぉ~」

 なんか元気がなさそうなので少し見に行くことにした。

「どうかしたんですか聖女様」

「えぇっ、今の見てましたか、見られていたの、え~~~っ、恥ずかしいぃ~っ」

 聖女様はなんと大袈裟に驚いたような声を上げて着の後ろに隠れてしまった。

「大丈夫ですよ、他には誰も居ませんから、そんなことよりどうしたんですか?そんなにうな垂れて」

「私は3歳の時に聖痕が現れ聖女となりました。
 そして教会の診断でも聖女と認められ正教会に所属しました。
 でも通常ランクの聖女だろうと言うことだったのですが、実は未だに見習いのままで……

 私、未だに聖女の力がうまく使えないのです。
 それでここで練習していたのですが、やっぱり上手くいかなくてもうダメだと思っていたんです」

「ダメだなんて言うことはありません。
 聖痕があると言うことは神様に選ばれたんだ。
 それは素晴らしいことなんだよ、羨ましいよ。
 僕なんて人を治療する力が欲しいと願っていた。
 そして聖なる力が欲しいと思っていたけど、それは無理な願いなんだ」

「でもね、このまま上手く治癒の力が使えないとねダメなの……
 来週の審査で上手く出来ないと家に帰されてしまうんです。
 聖女に選ばれたと家族のみんなはあんなに喜んでくれたのに、どんな顔で戻れば良いんだろうか?」

 その聖女さんは悲しそうな顔をしながら手で顔を覆った。

「あの、聖女様……」

 その言葉が気に入らなかったのか涙声になっていた。
「聖女様なんて呼ばないでください、私なんかシオンで良いです、駄目シオンで良いんです」」

「聖女シオン様、大丈夫ですよ。
 さっきから見ていましたけど、凄い聖なる光を放っていましたよ。
 貴方は紛れもない聖女様です」

「そんな慰めは必要ありません、私はダメ聖女なんです、もう遅いの来週には間に合わないのよ」

「本当のことですよ。
 あなたが集中しているときに、聖なる光が溢れていましたよ。
 ただ上手く流せていないようでしたけど」

「上手く流せていない?」

「僕は人の体の中に流れている色々なものが見えるみたいなんです。
 あなたの聖なる光は、今まで見た聖女さんの誰よりも美しく光って見えましたよ。
 きっと凄い聖女になるのだと思います」

「本当ですか、そうだと嬉しいわ。
 でもそうであっても間に合いそうもないです。
 奇麗な光ですか。
 でも運も重要な要素、運が無いのはやっぱりダメ聖女だわ」

「神が貴方を選んだ理由があるはずだ。
 その力は人を治療するために必要な力なんだ。
 そうだ、僕と一緒に練習しませんか?」
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