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私が私でなくなった時
09.命
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ここは渡来道場、特殊格闘技アルポルカの道場だ。
私(麻子)はここで格闘技を習っている。
渡来さんはいつも言っている。
「習うのではなく創るのが格闘技だ、基本は教えるが独自性がなければ格闘技ではない」
つまり必殺技を始め色々なことを自分で拡張して行けと言うことらしい。
今日は沙也加とやって来た。
道着に着替えて……沙也加が帯が結べないようなので手伝う。
沙也加の準備が出来たので、早速お相手願う。
相馬との試合を見た後だ、手加減は必要が無いはずだ。
渡来さんの掛け声で一気に駆け込んでくる沙也加。
早い、そして怖い。
怖い、そんな感情は普通の試合では持たないだろう。
だが沙也加は怖いのだ、すり寄り方、接近の仕方素早くそばに居る。
側に寄った瞬間、技を掛けて来る。
怖い理由が分かった、相馬の時と同じだ、沙也加の戦い方は必殺なのだ。
必殺……
殺すことを目的に戦っている、最短を狙い最も力が効率的に相手に届くところを選び、相手の急所を狙って来る、逃げられない。
信じられない、彼女の生きてきた環境が彼女にこの格闘技を仕込んだのだろう。
そうしなければ生きていけなかったのだろう。
そう考えると彼女が怖くなるよりも涙が出てきた。
「殺さないと殺される、そんな世界に居たのね、でも殺しちゃダメよ」
そう呟いていた。
「殺さなければ自分が殺されるんだ、我が友は気を許した瞬間に災厄の手の者に殺された、甘い考えは自分を滅ぼす以外の何物でもない、殺すこと、それは元の友を殺害する彼らへの情けなのだ」
沙也加可、イヤ、フォーリカね、可哀そうに……でも殺しちゃダメなのよ。
彼女の隙をついて、一気に沙也加を投げた。
「うっ」
沙也加は驚いたようだった。
柔道や合気道の基本である相手の力を利用した投げ技だった。
「これは!!、そうか麻子借力か?」
「借力?、そうね上手い表現ね、そんな感じだわ」
「もう一度だ」
その後も何度も挑んでくる沙也加、だが私には勝てなかった。
「勝てない、そんな馬鹿な……」
「この世界では格闘技の研究は進んでいるのよ、解剖学とか人の体の研究も進んでいるわ、もちろん相手を落とす方法も研究されているわ」
解剖と言うことに何故か反応した沙也加。
「解剖学……腑分けか……なんと恐ろしいことを、神をも恐れぬことをしているのだな……」
「この世界でも昔はそうだったわ、でも神を冒涜することに使ってはいないわよ、医術の発達や人の命を守るために使っているのよ、何よりも命は大事なのよ」
「命が大事なのは良く分かっている、だが災厄に洗脳された者は元には戻らぬ……、殺すしかないのだ」
そう言うと少し涙ぐむ沙也加。
「まずは、殺さないで相手を大人しくさせる方法を教えてあげるわ」
沙也加の格闘技から殺気を少しでも無くせればと提案した、沙也加も興味深そうに教えを請うていた。
◆ ◆
ユーリシアへログオンし、いつもの「ララソル」で皆を待っていた。
@科学者「@魔法使い(沙也加)さんの様子はどうだった?」
@格闘家「あの殺気は消えないわね、フォーリカにとっては親の仇だもんね、でも災厄に洗脳された人は元に戻らないのかしら?」
@占星術師「ラノベから読み取れるのは、精神的に深い洗脳なんだと思うわ」
@格闘家「洗脳か、古典の渡来先生なら洗脳は解けるかもしれない?」
@占星術師「渡来先生って顧問の?」
@格闘家「実は渡来道場の娘さんなので、知っているんだけど大学では心理学を専攻していたらしいわ」
@科学者「なるほど、出来るかもしれない、明日聞いてみよう」
@サムライ「命の大事さか……明日、爺ちゃんにお願いしてみるよ」
@科学者「何を頼むの?」
@サムライ「居合抜きの実演をやってもらうのサ」
◆ ◆
翌日の相馬剣術道場では、相馬君のお爺ちゃんが居合抜きの実演をしてくれた。
「なんだあの剣は少し曲がっているが細い、あんな貧弱な剣で戦うのか?……」
沙也加は真剣を興味深そうにみていた。
「凄い切れ味だ、それも何度も切っている、刃こぼれも無いのか……」
実演が始まったときその切れ味を見て再度驚いていた。
そして実演が終わった時、興奮した様子で館主であるお爺ちゃんに懇願していた。
「その剣、少し見せてくれ……」
真剣を持たせてもらった時、実査に手に持った重さに驚いていた。
「この剣は片刃なのだな?不思議だこの反りも重要なんのだろうな…」
多分相馬君から彼女のことを聞いていたのだろうか、お爺ちゃんは簡単な説明し始めた。
「片刃には意味があるんじゃよ、刃の無い方で打つこと、それをみね打ちという、人を殺さず戦うことができるのじゃ、生かす刃じゃな、無益な殺生なとせんことが望ましいのじゃよ」
「生かす刃・・・」
帰り際、一緒に来ていた浅田君が、渡来先生と話をした無いようについて沙也加に説明していた。
説明によると、渡来先生は心理学的な方法で時間は掛かるが、洗脳は解けるだろうと言っていたそうだ。
「つまり、殺す必要は無くなるはずだ、同じ人間の間で殺し合う必要は無いんだ」
浅田君が説明する話を聞いて沙也加の中で何かが変わって行くのが分かる。
「殺さずに済むのであれば本当に素晴らしいことだ、元は仲間なのだから、今までは不可能と思い諦めていた……」
「渡来先生には沙也加に教育してくれとお願いしたので明日から暇なときは来てくれるよ」
「何よりも命は大事か……」
そう言うと沙也加は少し嬉しそうだった。
私(麻子)はここで格闘技を習っている。
渡来さんはいつも言っている。
「習うのではなく創るのが格闘技だ、基本は教えるが独自性がなければ格闘技ではない」
つまり必殺技を始め色々なことを自分で拡張して行けと言うことらしい。
今日は沙也加とやって来た。
道着に着替えて……沙也加が帯が結べないようなので手伝う。
沙也加の準備が出来たので、早速お相手願う。
相馬との試合を見た後だ、手加減は必要が無いはずだ。
渡来さんの掛け声で一気に駆け込んでくる沙也加。
早い、そして怖い。
怖い、そんな感情は普通の試合では持たないだろう。
だが沙也加は怖いのだ、すり寄り方、接近の仕方素早くそばに居る。
側に寄った瞬間、技を掛けて来る。
怖い理由が分かった、相馬の時と同じだ、沙也加の戦い方は必殺なのだ。
必殺……
殺すことを目的に戦っている、最短を狙い最も力が効率的に相手に届くところを選び、相手の急所を狙って来る、逃げられない。
信じられない、彼女の生きてきた環境が彼女にこの格闘技を仕込んだのだろう。
そうしなければ生きていけなかったのだろう。
そう考えると彼女が怖くなるよりも涙が出てきた。
「殺さないと殺される、そんな世界に居たのね、でも殺しちゃダメよ」
そう呟いていた。
「殺さなければ自分が殺されるんだ、我が友は気を許した瞬間に災厄の手の者に殺された、甘い考えは自分を滅ぼす以外の何物でもない、殺すこと、それは元の友を殺害する彼らへの情けなのだ」
沙也加可、イヤ、フォーリカね、可哀そうに……でも殺しちゃダメなのよ。
彼女の隙をついて、一気に沙也加を投げた。
「うっ」
沙也加は驚いたようだった。
柔道や合気道の基本である相手の力を利用した投げ技だった。
「これは!!、そうか麻子借力か?」
「借力?、そうね上手い表現ね、そんな感じだわ」
「もう一度だ」
その後も何度も挑んでくる沙也加、だが私には勝てなかった。
「勝てない、そんな馬鹿な……」
「この世界では格闘技の研究は進んでいるのよ、解剖学とか人の体の研究も進んでいるわ、もちろん相手を落とす方法も研究されているわ」
解剖と言うことに何故か反応した沙也加。
「解剖学……腑分けか……なんと恐ろしいことを、神をも恐れぬことをしているのだな……」
「この世界でも昔はそうだったわ、でも神を冒涜することに使ってはいないわよ、医術の発達や人の命を守るために使っているのよ、何よりも命は大事なのよ」
「命が大事なのは良く分かっている、だが災厄に洗脳された者は元には戻らぬ……、殺すしかないのだ」
そう言うと少し涙ぐむ沙也加。
「まずは、殺さないで相手を大人しくさせる方法を教えてあげるわ」
沙也加の格闘技から殺気を少しでも無くせればと提案した、沙也加も興味深そうに教えを請うていた。
◆ ◆
ユーリシアへログオンし、いつもの「ララソル」で皆を待っていた。
@科学者「@魔法使い(沙也加)さんの様子はどうだった?」
@格闘家「あの殺気は消えないわね、フォーリカにとっては親の仇だもんね、でも災厄に洗脳された人は元に戻らないのかしら?」
@占星術師「ラノベから読み取れるのは、精神的に深い洗脳なんだと思うわ」
@格闘家「洗脳か、古典の渡来先生なら洗脳は解けるかもしれない?」
@占星術師「渡来先生って顧問の?」
@格闘家「実は渡来道場の娘さんなので、知っているんだけど大学では心理学を専攻していたらしいわ」
@科学者「なるほど、出来るかもしれない、明日聞いてみよう」
@サムライ「命の大事さか……明日、爺ちゃんにお願いしてみるよ」
@科学者「何を頼むの?」
@サムライ「居合抜きの実演をやってもらうのサ」
◆ ◆
翌日の相馬剣術道場では、相馬君のお爺ちゃんが居合抜きの実演をしてくれた。
「なんだあの剣は少し曲がっているが細い、あんな貧弱な剣で戦うのか?……」
沙也加は真剣を興味深そうにみていた。
「凄い切れ味だ、それも何度も切っている、刃こぼれも無いのか……」
実演が始まったときその切れ味を見て再度驚いていた。
そして実演が終わった時、興奮した様子で館主であるお爺ちゃんに懇願していた。
「その剣、少し見せてくれ……」
真剣を持たせてもらった時、実査に手に持った重さに驚いていた。
「この剣は片刃なのだな?不思議だこの反りも重要なんのだろうな…」
多分相馬君から彼女のことを聞いていたのだろうか、お爺ちゃんは簡単な説明し始めた。
「片刃には意味があるんじゃよ、刃の無い方で打つこと、それをみね打ちという、人を殺さず戦うことができるのじゃ、生かす刃じゃな、無益な殺生なとせんことが望ましいのじゃよ」
「生かす刃・・・」
帰り際、一緒に来ていた浅田君が、渡来先生と話をした無いようについて沙也加に説明していた。
説明によると、渡来先生は心理学的な方法で時間は掛かるが、洗脳は解けるだろうと言っていたそうだ。
「つまり、殺す必要は無くなるはずだ、同じ人間の間で殺し合う必要は無いんだ」
浅田君が説明する話を聞いて沙也加の中で何かが変わって行くのが分かる。
「殺さずに済むのであれば本当に素晴らしいことだ、元は仲間なのだから、今までは不可能と思い諦めていた……」
「渡来先生には沙也加に教育してくれとお願いしたので明日から暇なときは来てくれるよ」
「何よりも命は大事か……」
そう言うと沙也加は少し嬉しそうだった。
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