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1.もらってくれたら、命を捧げます

わだかまりと誰だお前?③

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 フェスリーは最初ラミアを怖がっていたようだったが今は完全に安心できる相手として見ていた。
 それが証拠にフェスリーの妊娠したお腹すらラミアに触らせていた。

 しかしフェスリーの乳の出る量が半端ない、本当にあの体のどこからこんなに乳が出るのやら。

 俺たちは朝方の涼しい時間に移動する、フェスリーはラミアの肩の上がお気に入りの場所のようだった。
 高いところから見下ろす感じが好きなのかもしれない。

「どこまで行くのか俺たちの旅、何時までも続けば良いのに」
 そんな言葉が俺の口から洩れていた。

 いけないな、きっとこれはフラグが立ったな。
 案の定ラミアが立ち止まった。

「しまった。ここはまずいわ引き返しましょう」

 そう言った瞬間に地面に土で出来た丸い扉のよなものが開いた。

 それも見渡す範囲に多数の土の扉が開いたのだ。

「探り糸を踏んだようね、奴らが襲ってくるわ、ここは私が・・・急いで結界を張ってフェスリーと中に逃げて」
 そう言うとフェスリーを俺に渡した。

 俺は強力な小さな結界を張りフェスリーを入れた。

「ジェイも隠れて」
 ラミアは俺にそう言うが俺は制止した。

「俺も戦うよ、君たちは俺が守るんだ」
 前回のこともある、俺は守らなければならない。

 地面に空いた扉から蜘蛛が出てきた。
 それもおびただしい数だった。

 未だかつてこんな風景は見たことが無かった。
 大きな蜘蛛、小さな蜘蛛、白い蜘蛛に黒い蜘蛛全く形も色も違うのだ。

 普通襲ってくると言えば同じ種類の蜘蛛だろう、でも今、襲って来ている蜘蛛は異なる種類の蜘蛛で構成される群衆だった。
 つまりそれらは同種ではない、明らかに種類が異なる蜘蛛が、何らかの繋がりで、ここに集合していた。

 ラミアが爪を剣のように鋭くして高速移動をする。
 大きな蜘蛛を狙い、その前に居る中くらいの蜘蛛に切り掛かって行った。

 俺も氷を針のようにして大量に創生し小型の蜘蛛に向けて発射する。
 小型の蜘蛛に氷が命中し最も数の多い小型の蜘蛛も薙ぎ払われて行った。

 これなら数だけが問題で大したことなさそうだ。
 そんなことを思った瞬間だったラミアが立ち止まった。

 ラミアの体が白く色付いて行く、まるで粉が吹いたようだった。

「ラミア大丈夫か?」
 そう叫ぶが返事は無い。

 ラミアは体を捩り何かを振り落とすかのような動作を始めた。
 急いで近付くと、物凄い量の埃ほどの蜘蛛がラミアに取り付いていた。

 埃ほどの蜘蛛も毒牙を持っているようでラミアの体が赤く張れていく。
 そして赤くはれた部位はどんどん大きくなって紫色になって行く。

「小さくても数が多いんだ毒が大量に回るぞ、なぜ身体強化していないんだ?」

 俺は結界の鎧を纏っていのでどうも無いが、なぜラミアは攻撃を直接受けているんだろう?

「身体強化するには・・・いやっ、今あの姿になるのは・・・」

 そうか、分かった、俺は理解したよ。
 ラミアの防御の基本は鱗だ、つまりあの姿にならないといけない訳だ、

 俺はラミアを救うべく、直ぐに術式を創作し始めた。

 水を地下から汲み上げる、その時に酸性の物質を入れるのだ。
 その弱酸性の水を準備しラミアに水煙のようにして吹きかけ埃蜘蛛を蹴散らす。

 それと同時に解毒アンド治癒魔法でラミアの体を癒して行く。

 同時進行で今俺が纏っている結界の鎧魔法をマクロ化する。

 そして纏う対象をラミアとして俺の鎧を創生するのと同時並列実行する。

 魔法が発動するとラミアが驚いていた。

「これは!!」

 ラミアに鎧が顕現すると俺の方を見てラミアが微笑んだ。

「この鎧、ジェイに抱かれているようだ、優しい感じがする」

 ラミアは高速化して中型の蜘蛛を次々に粉砕していった。

 微細な粉のような蜘蛛は俺の酸による攻撃で全滅していった。
 それにしても数が半端ない、多きな蜘蛛以外に中型、小型会わせて千匹はいるぞ・・・

 俺は小型の蜘蛛に氷攻撃を仕掛けるが中型の蜘蛛が小型の蜘蛛を防御しだした。
 そうだ、大きくなるほど外骨格が固く俺の氷攻撃も聞かないのだ。

「そうかい、分かったよ、もっと強力なものをお見舞いしましょうかね」

 特訓で編み出した前回フェザーと名付け術式を拡張した術式だ。

 爆発力は調整可能で前回よりも強力に炸裂する。

 そして何より結界を使っていることで指向性爆発が可能になる。
 その指向性は点、線、面、そして通常の無制限爆裂の四種類を網羅できる。

 この術式、呼び方は同じだが記述する時は爆裂羽フェザーと改名した。

 まず、爆裂羽フェザーを点で爆裂させる。
 すると、中型の蜘蛛にまるで銃で打ち抜かれたように穴が開く。

 次に爆裂羽フェザーを線で爆裂させる。
 同じく中型の蜘蛛数匹が鋭い剣の斬撃を受けたのと同じく真っ二つになる。

 最後に爆裂羽フェザーを面で爆裂させる。
 中型の空数匹が強い圧力でぺったんこになり地面にせんべいみたいに張り付いた。

 しかし大型の蜘蛛はラミアの爪も辛うじて刺さるくらい硬かった。
「固いわね」
 ラミアがそう言いながらも倒していく、凄い爪だ・・・

 俺も試しに大型の蜘蛛に力が最も集中する爆裂羽フェザーを点で爆裂させたが、確かに大きな破壊は出来そうも無かったが、何とか穴を開けられるようだ。

「本当に固いな、もう少し水素の量を増やした大型のフェザーを作るか?」

 そんなことを考えて居ると、巣穴が一気に爆発し巨大な蜘蛛が現れた。
 その数2匹だった。

 俺は驚いた、今までそんな蜘蛛は見たことが無かったからだ。

 蜘蛛は蜘蛛だが背中が甲虫のようになっており、その蜘蛛は羽を広げ羽ばたき空中に浮かんだのだ。

「ちょっを待てよ、空中戦か?」
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