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第12話 旅立ちの前夜
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旅立ち前夜、魔法道場の庭に小さなテントが一つと、隣にそれより大きなテントが一つ並んでいる。
小さなテントにはフレイが、大きなテントにはランドリクとドーマがそれぞれ寝ている。
大きなテントから人影がのそっと出てきた。
ランドリクだ。
なかなか寝付けなかったので外の空気を吸いにきたのだ。
ランドリクは星を眺めながら、明日からの旅について思いを巡らせていた。
「ランド、起きてたの?」
ランドリクが振り向くとフレイがそこにいた。
外のランドリクの気配に気づき、起きてきたのだ。
「うん、ちょっと寝れなくて。」
「楽しみ過ぎて?」
「それもあるけど、ちょっと不安もあるんだ。
だって外国に行ったことないから・・・
フレイは行ったことあるんだよね?」
「うん。
でも、行ったといっても今回の予定にはない南の帝国なんだけどね。」
「ウィズニアとは何か違ってた?」
「やっぱり景色とか違うよ。
その時は帝都に行ったんだけど、歴史的建造物がすごく多くて楽しかったよ。
今度はランドと一緒に行きたいな。」
「俺もフレイと一緒なら楽しいだろうね。」
ランドリクとフレイはお互い顔を見合わせて笑った。
やがてランドリクは夜空を見上げて
「ねえ、俺天狗になっていたかな?」
「・・・
先生に言われたこと気にしてたの?」
「ひょっとしたら同世代なら俺が一番なんじゃないかってちょっと思ってたかもしれない。」
「戦闘訓練じゃ僕より強いもんね。」
「い、いや・・・
決してフレイをバカにしている訳じゃなくて・・・
フレイは回復魔法が得意じゃないか。
俺は回復魔法全然できないし・・・
だからフレイのことはすごいって思ってるし・・・」
「大丈夫だよ。
わかってる。」
「うん。」
「それに、そんな風に反省できる時点でランドは天狗になんてなってないよ。
先生はただ釘をさしただけだよ。」
「そうか・・・
でも、もし俺が天狗になりそうだったら言ってほしい。」
「うん。
分かったよ。
でも、先生は他の国じゃランドより強い人がいるって言ってたから天狗になる余裕なんてないと思うよ。」
「・・・
そう思うと逆に不安になっちゃうなあ・・・」
「大丈夫だよ。
ランドなら。
それに、僕がついてるし。」
「そう言ってくれたら少しは気が楽になるよ。
ありがとう。」
「ふふふ。」
「・・・
いよいよ明日出発か・・・」
「そうだね・・・」
ランドリクとフレイは明日からの旅がどのようなものになるか思いをはせつつ、夜空を眺め続けた。
小さなテントにはフレイが、大きなテントにはランドリクとドーマがそれぞれ寝ている。
大きなテントから人影がのそっと出てきた。
ランドリクだ。
なかなか寝付けなかったので外の空気を吸いにきたのだ。
ランドリクは星を眺めながら、明日からの旅について思いを巡らせていた。
「ランド、起きてたの?」
ランドリクが振り向くとフレイがそこにいた。
外のランドリクの気配に気づき、起きてきたのだ。
「うん、ちょっと寝れなくて。」
「楽しみ過ぎて?」
「それもあるけど、ちょっと不安もあるんだ。
だって外国に行ったことないから・・・
フレイは行ったことあるんだよね?」
「うん。
でも、行ったといっても今回の予定にはない南の帝国なんだけどね。」
「ウィズニアとは何か違ってた?」
「やっぱり景色とか違うよ。
その時は帝都に行ったんだけど、歴史的建造物がすごく多くて楽しかったよ。
今度はランドと一緒に行きたいな。」
「俺もフレイと一緒なら楽しいだろうね。」
ランドリクとフレイはお互い顔を見合わせて笑った。
やがてランドリクは夜空を見上げて
「ねえ、俺天狗になっていたかな?」
「・・・
先生に言われたこと気にしてたの?」
「ひょっとしたら同世代なら俺が一番なんじゃないかってちょっと思ってたかもしれない。」
「戦闘訓練じゃ僕より強いもんね。」
「い、いや・・・
決してフレイをバカにしている訳じゃなくて・・・
フレイは回復魔法が得意じゃないか。
俺は回復魔法全然できないし・・・
だからフレイのことはすごいって思ってるし・・・」
「大丈夫だよ。
わかってる。」
「うん。」
「それに、そんな風に反省できる時点でランドは天狗になんてなってないよ。
先生はただ釘をさしただけだよ。」
「そうか・・・
でも、もし俺が天狗になりそうだったら言ってほしい。」
「うん。
分かったよ。
でも、先生は他の国じゃランドより強い人がいるって言ってたから天狗になる余裕なんてないと思うよ。」
「・・・
そう思うと逆に不安になっちゃうなあ・・・」
「大丈夫だよ。
ランドなら。
それに、僕がついてるし。」
「そう言ってくれたら少しは気が楽になるよ。
ありがとう。」
「ふふふ。」
「・・・
いよいよ明日出発か・・・」
「そうだね・・・」
ランドリクとフレイは明日からの旅がどのようなものになるか思いをはせつつ、夜空を眺め続けた。
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