ランド！

第２話 都外れの変人魔法使い

王都を代表する川、ミルダ川は今日も重く流れる・・・

魔法学校を追い出されたランドリクは重い流れをぼーっと見てはため息を吐き、ぼーっと見てはため息を吐き、これを延々と繰り返していた。

(これからどうしたらいいんだろう・・・
このことは家には学校から連絡がいっているだろうし・・・)

これから先のことを考えると、主人公の目に涙があふれてきた。

「ランドリク君。」

急に声をかけられたランドリクはあわてて涙をふいて声の主のほうに顔を向けた。
怪鳥退治の時に会った男だ。

「俺の名前はドーマだ。
突然だが、俺の弟子にならないか？」
「えっ！？」

ドーマという名前・・・
そして右頬にある火傷跡・・・
主人公ははっとした。

(この人・・・
噂に聞いたことがある。
こんな平和な時代なのに、超実戦魔法とか言ってる都外れの変人と言われてるヤバい人だ・・・)

主人公は少し後ずさりした。

「おやおや、なんだなんだ。
俺のことを怪しんでいるのかい？」
「ひょっとして都外れのあ・の・ド・ー・マ・さ・ん・ですか・・・？」
「なんだ、俺のことを知っているのかい？
あまりいい意味ではなさそうだが・・・
だったら知っているだろう？
俺が怪しい素性じゃないってことも。」

変人とは言われているが、ドーマの素性は決して怪しいものではないどころか、王国の中でも相当な良血統の部類に入る。
父方は王家の流れを汲む公爵家に連なっており、母方の祖父は王国で一番の財閥の当主どもある伯爵であり、祖父からの小遣いで好き勝手しているとの噂がある。

「そんなことより俺の弟子にならないか？」
「弟子・・・ですか？」
「そう！
君には才能がある！」
「・・・
俺に才能なんて・・・」
「いいや！ある！
俺が言うんだから間違いない！」
「あなたに俺の才能が分かるんですか？」
「君自身よりも、客観的に見てる他人の方が君のことを分かることもあるんだよ。」
「・・・」
「それとも、このまま何もなさずに田舎に帰るのか・・・？」
「それは・・・」
「それに俺けっこう顔が広くて貴族にも実業界にも友達いっぱいいるんだよなあ・・・
俺の弟子として頑張ったらいい就職先を紹介できるかもなー・・・」
「就職先・・・」
「そう。どっちにしても俺の弟子になって頑張れば悪いようには転がらないってことさ！」
「・・・
・・・
お願いします・・・」
「ん、ちょっとよく聞こえないなぁ？」
「お願いします！
俺を弟子にしてください！」
「いやあ、そこまで頼まれたら断れないなぁ・・・
よし！ランドリク！
今からお前は俺の弟子だ！
俺の道場に案内してやる！
ついて来い！」

そう言うとドーマは早足で歩き出した。
ランドリクはあわてて後をついて行くのであった。

ドーマとランドリク・・・
この師弟がやがて世界を救うことになるとは、この時はまだ誰も知らなかった・・・