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中学生と婚約解消

遥さん?…亜耶

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  遥さんと合流してからも、由華さんの買い物は止まらず、あっちこっちの店で買い漁り、お兄ちゃんと遥さんの両腕には、一杯の紙袋(しかも、殆どが私のモノ)。
  良いのかなぁ、何て戸惑ってるとその隙に支払いが済んでいて、何も言えなくなる。

「亜耶ちゃん。今日は、ありがとうね」
  って、予約している店に向かいながら、隣で歩く由華さんが呟くように言う。
「私の方こそ、ありがとうございます。
でも、よかったんですか? 大量に買って貰って」
  そう訪ねながら、後ろのお兄ちゃん達の手元を見る。服だけではなく、お揃いの小物や色違いの物も購入している。
「うん、いいの。あたしが、亜耶ちゃんに買って挙げたかったから、ね。」
  にこやかな笑顔で言う由華さん。
「お義姉さん、ありがとう。」
  私は、そう言って由華さんに抱きついた。
  私の突然の行動にも由華さんは、なんとか受け止めてくれて。
「あ~、もう、亜耶ちゃん可愛い……。」
  って、頭を撫でてくれる。
  さっきとは、逆になってるが、まぁ良いか。由華さんも、嬉しそうだし。
「ちょっと待て。沢口が "姉" ってどう言うことだ?」
  遥さんが、後ろから声を荒気て聞いてくる。
  ん? お兄ちゃんから、未だ聞いてないの?
「来年の春に結婚するんだよ。だから、文字通り亜耶の "義姉" になるんだよ」
  お兄ちゃんが、簡単な説明をする。
「は~~!」
  困惑する遥さん。
「それ、聞いてないぞ雅斗」
  遥さんが、お兄ちゃんに詰め寄る。
「それに、まだ今日は、亜耶に触れてない。」
  って、重視するところは "#触れてない_そこ_#" ですか。
  由華さんを睨みながら言う遥さんですが、由華さんは素知らぬ振りで。
「今日は、あたしが "義妹" とデートしたかっただけです。雅くんと高橋先輩は、荷物運びに呼んだだけです。」
  堂々と言い切り、睨み返す有り様。
  この二人って……。
  私がそう思った時だった。
「遥。流石にこの荷物でレストランもないだろうから、一旦に置きに行くぞ。」
  お兄ちゃんが、遥さんにそう告げる。
「置きにって……。」
  遥さんが "何処に?" だって顔でお兄ちゃんを見る。
「今日、車で来てるから、駐車場まで頼む。後、由華と亜耶はここで待ってて。」
  その言葉に。
「は~い。」
  私は、返事で返し由華さんはコクリと首を縦に動かした。
「ほら、行くぞ遥。」
  お兄ちゃんが、遥さんを従えていってしまった。





 由華さんと二人っきりにされて、何か話題と考えていたら。
「亜耶ちゃん、災難だったね。高橋先輩に懐かれちゃって。」
 って、由華さんが唐突に言い出した。
 災難?
 私は一度もそう思ったこと無いけど……。
 どういう意味合いなんだろう?
 小首を傾げながら、由華さんの言葉を待つ。
「高橋先輩。亜耶ちゃんと出会ってから、雰囲気が変わったから……。」
 と言われましても、会う前の遥さんを知らない私としては何とも答えようがないので、黙って聞くことになるのだが……。
「雅くんに聞いてないかな? 亜耶ちゃんと出会う前に先輩の事?」
 フルフルと首を横に振れば。
「先輩の雰囲気がね、初めて会った時トゲトゲしく近付きにくかったんだよ。 "誰も俺に近付くな" って感じでさ。でも、唯一雅くんとはその前から結構仲が善かったんだけど、ね。」
 そうだったんだ。
 意外だなぁ。
「私の前だとそんなこと無いですよ。逆に引っ付かれて、どうしようかと……。」
 だって、遥さんスキンシップ過多なんですから。
 会えば抱きつかれるし、何かあれば飛んでくるしで、どうしたら良いものかと常々考えているんですが……。
 私の言葉に由華さんが瞠目する。
 えっ、そんなに驚くことですか?
「それは見てみたい。あの先輩が、デレるとこ。」
 興奮気味に言う由華さん。
 見たいって……。
「本当にごく稀にですが、甘えたりしてきますよ。それが、私では手に負えないとこも多々ありますが……」
 そんな遥さんを思い出し、苦笑する。
「嘘ー!! あの先輩が、亜耶ちゃんに……。是非、見てみたい! そして、知り合いに見せつけ……」
 最後の方が、聞き取れなかったけど何か良からぬことを考えてるに違いない。
 何せ、由華さんの口許の端が持ち上げられていから……。
 あぁ、どうしよう。
 思考の海に埋もれていると。
「そこのお二人さん。暇してるのなら、俺等と遊ばない?」
 との声が……。
 そちらに目を向ければ、見知らぬ男性が二人立っていた。
 二人の見た目は、チャラそうな高校生?
 髪を金色に染めてて、一人はピアスを何個もつけててもう一人は、装飾品をこれでもかってくらいジャラジャラ身に纏っている。
 何だろ、見た目重視な感じが、気に入らないんだけど……。
 冷静に観察してる横で由華さんが。
「暇ではありませんよ。これでも、人を待ってるので。」
 っと、私を背に庇うように立ちはだかる。
 その言いかただと、引かないと思うんですが……。
「そちらのお嬢さんは?」
 そう言って、由華さんを押し退けこちらに向かってくるが。
「彼女もあたしと一緒よ。だから、諦めて……って言うか諦めなさい!」
 突然の命令口調の由華さんに驚く。
 何故?
 余計に引き下がることしないと思うんだけど……。
「君には聞いてないんだけど。後ろの彼女自信に聞いてる」
 軽い口調で聞いてくるが、答える気もない私の代わりに。
「そう。だけど、彼女はあたしの義妹だからね。一緒に居ることが当たり前でしょ?
あたしが行かないって言ってるのだから、行くわけ無いじゃない。」
 庇われてるから、由華さんの顔はわからないけどかなり凄んでるのが分かる。
「妹? 全然似てないね。」
 当たり前じゃん。
「そりゃあ、そうよ。血は繋がってないからね。」
 由華さんが、あっけらかんとして言う。
 由華さんは、一体何をしたいの?
 不安が過った時だった。
「亜耶ーー!」
 遥さんの焦った声が聞こえてきたかと思うと、由華さんの前に立ちはだかる。
「俺の連れに何か用か?」
 と今まで聞いた事も無い低い声と、殺気が溢れていた。
 しかし、相変わらず足が早いなぁ。
 何て、明後日の方に意識が飛んでる私。
「いや、彼女たちが困ってそうだったから……。」
 弱腰になる男たちに。
「この期に及んで、言い訳とは見苦しいですね。さっさと認めてしまいなさい。彼女たちをナンパしてたんだと。さもないと……。」
 指をパキパキ鳴らし、威嚇する遥さんは彼らに詰め寄って行く。
 遥さん、少し口調が可笑しくないですかねぇ。
「遥、そこまでにしておきなよ。お前、武道全般師範代の域だろ? 手をだすな。」
 お兄ちゃんが、遥さんを制止する。
 そうなんだ。始めて聞いた。
 お兄ちゃんの言葉を聞いて、彼らは顔を青くして、逃げ出した。

「亜耶、大丈夫か?」
 遥さんが、私に抱きついて聞いてくる。
 あれ、元に戻ってる。
 さっきのは一体なんだったんだろう?
「うん、私は平気だよ。由華さんが立ち塞がってくれてたから、何もされなかったし……。」
 私の返答に息を吐き、安堵した顔をする遥さん。
 本当に心配してたのが分かる。
「由華も大丈夫だったか?」
 お兄ちゃんが由華さん抱き込み聞いていた。
「あたしは、平気だよ。こんなの日常茶飯事だし……。」
 って、言いながら声震えてるし、きっと恐かったんだろうなぁ。
 何か、他人事のようになってる自分が、恐ろしいかも……。
「亜耶を守ってくれてありがとう。それから、俺の前で強がるな。」
 お兄ちゃんが、由華さんに言ってる言葉が聞こえてきた。
 その間も、遥さんの腕から逃れることも出来ず、されるがままのわたし。ムギュって抱き締めながら頭をスリスリと頬刷りしているから動けないのです。
「遥さん。そろそろ放してもらえませんか? 苦しいんです。」
 私がそう訴えると、ゆっくりと放れていく。
 これで、顔を見て言える。
「遥さん。昨日はありがとうございました。それから、このプレゼント嬉しかったです。」
 自分が首にしているチョーカーを手に言う。
 やっとお礼が言えた。
 由華さんにあれだけ着せ替えをさせられたが、チョーカーだけは外さずに身に付けたままだった。
 遥さんが、嬉しそうな顔をし。
「亜耶に似合うだろうと思って買ったヤツだからな。付けてもらえて嬉しいよ」
 遥さんの顔、心なしか赤くないかな。

 体調、悪いのかなぁ。

 何て、思っていたら。
「遥、亜耶。行くぞ」
 お兄ちゃんが声を掛けてきた。
「あぁ」
 素っ気ない返事を返す遥さん。
 由華さんを見れば、さっきのが未だ尾を引いてるのかお兄ちゃんに寄り添うように歩いている。
 私は、遥さんの後ろをテクテク歩く。
 遥さん、歩くの早いんだなぁなんて思いながら背中を見ていたら、急に立ち止まり此方を振り向いて、手を差し伸べてきた。
 首を傾げながら。
「どうしたんですか?」
 と聞けば。
「手、繋ごうか?人通りも多いし、迷うといけないから……。」
 って、何時もの自信家はなりを潜め遥さんの弱々しい声。
 思わず。
「えっ……。」
 声が出ちゃった。
 良いのかなぁ?
 オズオズと手を伸ばして、遥さんの手に載せれば、破願し包み込むように握ってくる。
 えっ、何その笑顔?
 どうして?

 戸惑いながら、遥さんに握られた手が、ホンワカと熱が篭ってきた感じがした。







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