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中学生と婚約解消

待ち合わせ…亜耶

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  塾が終わり、待ち合わせ場所の駅に向かう。

  約束の場所にはまだ誰も来ていなかった。
  どうしよう。
  何処で待っていようか。

  キョロキョロと周りを観て、人波が途切れてるところを探し、そこに移動した。
  時計を見ると、約束の十分前だった。

  お兄ちゃんは、由華さんと来るだろうから、遥さんはどうするんだろう?
  仕事、大丈夫なんだろうか?


  そういや、プレゼントでお金使いきっちゃったんだよね、手持ちが心許ない。
  お小遣い使わないようにしてたんだけど、こればかりは仕方ないよね。
  中学生の私には、限界があるのだし……。
  買い物に来てるのに何も買わないのって……。
  ううう……、ピンチだよ。


「亜耶? 待たせたな。」
  そんなところにお兄ちゃんの声がかかる。
  声の方を向けば、お兄ちゃんの隣にニコニコの由華さんが居た。
  私は、お兄ちゃんに近付き袖を引っ張り、由華さんへ挨拶もせずに少し距離を取り。
「お兄ちゃん。私、持ち合わせないよ。」
  と小声で告げると、驚いた顔をしてからクスクス笑い出す。
  私としては、死活問題なのだが。
「中学生に出させるわけ無いだろ。大の男の大人が二人居るんだから、な。」
  って言いながら私の頭をポンポンと軽く叩く。
「それに、一番出したがってるヤツが、もうすぐ来るだろ。だから、そんな顔せず笑ってろ。」
  いいのかなぁ、本当に……。
  お兄ちゃんは、由華さんの方に体を向けて。
「由華、ごめん一人にして。」
  お兄ちゃんが、謝る。
「今晩は、由華さん。それから、ごめんなさい。」
  改めて由華さんに私は頭を下げた。
「はい、今晩は、亜耶ちゃん。謝らなくていいよ。雅くんに相談したかったんだよね。」
  って、ふんわりとした雰囲気で怒ってないよって示してくれる。
「ありがとう、由華ねえさん。」
  って言葉が出て来た。
  本当に自然に口から出たので、自分でもビックリしたのだけど、それ以上に由華さんの方が目を大きく開けて驚いていた(横に居るお兄ちゃんも)。
  そうかと思うと、いきなりギュウギュウ(力強く)に抱き締めてきたから、私の方がオドオドする嵌めに。
「あ~、もう。可愛い、亜耶ちゃん。」
  由華さんから、甘い香りがしてきて、こんな大人になりたいって、思った事は、秘密にしておこう。
「亜耶ちゃん、今日はごめんね。私の我が儘に付き合わせてしまって……。」
  申し訳なさそうにいう由華さん。
  今日の急な予定は、由華さんが決めたの?
  って事は、お兄ちゃんでも止めれなかったって事か。
「いいですよ。お義姉さんとの買い物楽しみです。」
  うん、ここは素直に言葉にしておく方がいいだろう。
「いや~、もう、何処でそんなの覚えたの?」
  更に腕の力を強めてきて、由華さんの胸(とても柔らかいです)に顔が埋る。
  由華さんは、お兄ちゃんの婚約者さんで、私より身長が高いので抱きつかれると、こんな事になるわけだけど……(因に美人さんです)。
「由華、そろそろ亜耶を放せ。亜耶が窒息する。」
  お兄ちゃんの助け船。
  本当にね、もうどうしていいかわからなくて(無理矢理両手で体を押すのも失礼かと思って)、手をバタバタさせてたの(息も出来なかったが)。お兄ちゃんが気付いてくれてよかった。
  ホッとしたのも束の間。
「雅くん。もしかして、嫉妬?」
  お兄ちゃんに問いながらも解放の兆しがない。
  あうっ。
  この手は何時、放して貰えるの?
  息が苦しい……。
「由華、亜耶の顔が真っ赤になってるからソロソロ放さないと不味い。」
  お兄ちゃんのオロオロしている言葉に由華さんが私の方にやっと目を向けてくれた。
「あ、ごめん亜耶ちゃん。嬉しすぎて、加減が出来なかった。」
  って、慌てて放してくれた。
  ゼーハー、ゼーハー……。
  私が、呼吸を整えていると。
  truuutruuu……。
  何処かで電子音の音がしだした。
  お兄ちゃんが、スーツの内ポケットから携帯を取り出して。
「どうした、遥?」
  と喋り出し、少し距離を取り出す。

  聞かれたくない事なのかなぁ?

  何て思いながら、お兄ちゃんの顔を見てたら、急に曇りだしたから良くないことがあったのだろうと予想できる。今日、来てくれないのかな?
  不安になってる私に。
「どうしたんだろうね?」
  って、由華さんが優しい声音で聞いてきた。
「何か、あったのかな?」
  私もそう答えるしかなくて、お兄ちゃんを見ていた。

  暫くして、お兄ちゃんが戻ってきて。
「遥。仕事が立て込んで、少し遅くなるから先に行っててとさ。」
  少し困った顔をして言う。
  うん、その困った顔は、由華さんを止めるストーパーが居ないことを気にしてるんだろうなぁ。由華さんに唯一対抗できるのが、遥さんだから(家格関係無しにね)……。
「え~、せっかく高橋先輩で遊べると思ったのに……。」
  由華さんが不満を口を尖らせながらお兄ちゃんにぶつける。
  遥さんで遊べるとはどういう事だろうか? 疑問符を浮かべる私。
「来ない訳じゃないんだから、そう不貞腐れるな。ほら、由華。亜耶との買い物に行くんだろ?」
  お兄ちゃんの言葉に。
「そうだった。本来の目的を忘れるとこだった。」
  由華さんが、そう呟いたと思ったら、私の腕を掴むと歩き出した。
  えっ……、何処に連れてかれるの。
  不安に思いながらお兄ちゃんを振り返れば、両手を合わせて頭を下げる。
  ハァ~、今日は、由華さんに振り回されるのですね。
  わかりました。トコトン付き合いますよ。お金はないけど……。










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