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中学生と婚約解消
お兄ちゃん…亜耶
しおりを挟む「本当?」
私が確認するように聞くと。
「うん。由華さんの親御さんの了解も獲たって言ってたよ。」
お兄ちゃんが結婚!
やったー!!
これで、待ちに待った由華さんがお義姉さんになる。
嬉しいよ。
「お兄ちゃん今家に居る?」
何時も帰りが遅いお兄ちゃんだから、母に聞いてみた。
「部屋に居ると思うわよ。」
母の言葉に私は、お兄ちゃんの部屋に駆けつけるとドアをコンコンとノックした。
「はい。」
部屋の中からお兄ちゃんの声。
「お兄ちゃん、亜耶だけど中に入ってもいい?」
そう声を掛ければ。
「ちょっと待てて。」
との返事が返ってきた。
少しだけ待ってると、ガチャって中からドアが開いた。
ひょっこりと顔を出したお兄ちゃん。
「入っていいよ。」
中に招き入れられた。
久し振りに入るお兄ちゃんの部屋は、モノトーンで纏められていて、壁には天井まで届く本棚があって難しそうな本がギッシリ詰まってる。
「で、どうしたんだ? 何か用事?」
お兄ちゃんが、優しい声音で急に切り出すから、慌てて。
「えっ、あっ……その……。お兄ちゃん結婚おめでとう! 由華さんがお義姉さんになるんだね。私、嬉しくてお祝いが言いたくなったの。」
嬉しさの余り吃りながらそう伝えれば。
「ありがとう。由華もこれで亜耶が本当の義妹だって喜んでたぞ。」
お兄ちゃんが照れ臭そうに頬を掻いて言う。こんなお兄ちゃん始めてみる。
「只なぁ、一つだけ気掛かりな事があるんだよ。」
お兄ちゃんが私を見ながら呟く。
気がかりな事?
何だろう?
首を傾げてお兄ちゃんを見れば。
「遥の事。」
って、憂いを見せる。
「遥さん?」
不思議に思ってると。
「俺が家を出て行くと、遥の暴走を止める奴が居なくなるだろ? だから、心配なんだ。」
そっか……。
お兄ちゃんが何時も遥さんの暴走を止めてくれてたんだよね。その事が気になってるんだね。
「大丈夫だよ。高校に入っても部活には入るつもりだし、土日はそっちで潰れると思う。」
今のところは、憶測でしか言えないけど……。
お兄ちゃんには私の事を気にせずに結婚して欲しくて、そう言葉にした。
「亜耶……。本当は、お兄ちゃんが護ってやりたいんだがな、俺には由華が居るし。」
お兄ちゃんの眉尻が下がって、本当に申し訳なさそうな顔で言ってくる。
兄妹だから、致し方ないと思うんだ。それに、お兄ちゃんは跡継ぎだから、結婚はどうしても外せないものだし……。
そんなお兄ちゃんに。
「うん。お兄ちゃんは、由華さんを護ってあげてよ。私は大丈夫。遥さんの事は、追々考えていくからさ。」
私は安心させるようにそう伝える。
優しいお兄ちゃんだから、憂い無しで結婚式を迎えてもらいたいの。
「亜耶、ありがとう。大好きだよ。」
って、それ妹に言う台詞ではないけどね。
「うん、私もお兄ちゃんだ~い好き。」
そう言って、お兄ちゃんに抱きついてみた。
お兄ちゃんが苦笑しながらも、私を抱き止めて頭を撫でてくれる。
お兄ちゃんは、私の理想の人だったんだ。
私にも、お兄ちゃんみたいな人現れるのかなぁ?
って、疑問に思ったりするんだ。
「まぁ、結婚式まで日があるから、それまでに遥が落ち着いてくれればいいんだが、な。」
溜め息混じりで言うお兄ちゃん。
「そうだね。こればかりは、遥さん次第だと思うよ。」
私は、苦笑した。
「で、今年のクリスマスなんだが……。」
お兄ちゃんが言いにくそうに口にする。
家族で過ごすの最後なんだよね。
でも、もう約束しちゃった。
「ごめんなさい。何時もの友達と、勉強の息抜きにパーティーする事になっちゃったの。」
今度は、私が申し訳なくする番だった。
「……そっか。じゃあ、プレゼントだけ用意しておくな。」
お兄ちゃんも残念そうな顔をする。
「プレゼント要らないよ。その分由華さんに使って。」
って言えば。
「由華の分はもう準備してあるから気にするな。」
「でも……。」
「遠慮するなって。亜耶は、たった一人の俺の大事な妹なんだからな。」
って、優しい笑顔で言う。
「うん、……ありがとう、お兄ちゃん。」
「で、パーティーの事だが遥には、言ってあるのか?」
その言葉に私は首を横に振る。
「遥さんには言わないで……。」
と懇願すれば。
「わかってる。遥はこの時期が一番忙しいから、亜耶に構ってられないんじゃないか。」
確かに、そうかも。
アパレル関係の仕事だと言ってたし……。
「まぁ、パーティー楽しんでこいよ。」
お兄ちゃんの優しい眼差しに。
「うん。」
って、素直に頷いた。
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