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10話 困惑
しおりを挟む一体、何だったんだ?
成瀬は、私を男だと思いながら、告白してきたってこと?
わかんないよ。
今まで、そんな感情を持ち合わせたことなかったから……。
どうしたらいいんだろう?
兄さんに相談?
…するわけにはいかないよね。
もう……。
私の頭の中を掻き乱していく、成瀬。
この時、冬哉兄さんが言っていたことが、本当に起きるとは思ってもいなかった。
翌日から、成瀬が気持ち悪いくらいに私の傍を離れずに居た。
ハァ~。
今日、何度目かの溜め息。
「どうしたんだ? 溜め息なんかついて……。」
お前のせいだよ、成瀬。
何て、口が避けたって言えない。
女子に至っては。
「成瀬くん、綾小路くんにお熱なんじゃない。」
何て言われるくらい、今日はずっと引っ付いてる。
私には、その気がないのは目に見えてわかる筈なのに変な噂を立てられて困惑してる。
どうしたものかと悩んでいる。
「なァ、幸矢」
突然、成瀬が下の名前で呼ぶから、心臓が妙に跳ね上がる。
「何だ、急に……。」
あ、もうどうしたんだろう私。
「親友なんだから、下の名前で呼んだって構わないだろ。」
成瀬の提案に戸惑う。
「…って言うか、オレ、成瀬の下の名前知らないよ。」
まぁ、極力他人と接点を持たないようにしようとしてたし、必要最低限の事以外は覚えるつもり無かったしね。
「ひっで~。忘れたのかよ。祥だよ。」
祥?
「それより次体育だけど、着替えないのかよ。」
!!
周りを見渡す。
クラスの男子が制服を脱いで着替えだす。
祥も私の目の前で脱ぎ出す。
「……」
おっ…おーっ。
ちょ……ちょと待て…。
目のやり場に困る。
私は、目線を泳がす。
どうし…よう…。
祥って、以外にも筋肉質なんだ。
……って、何、冷静に観察してるんだ?
自分でツッコんでみる。
「何、ジロジロ見てるんだよ。お前も早く着替えろよ。時間がなくなるぜ。」
祥が、困惑してる私に言ってくる。
「オレは、もう少し後で……。」
そう言って、慌てて教室を飛び出した。
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