好きだから傍に居たい

麻沙綺

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両親の訪問…亜耶

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 暫くして、朝食が届き、悪戦苦闘をしながら食事をしていた。

 コンコンコン。

 ドアがノックされた。
 こんな時間だから、遥さんかな、何て思いながら、口に入れたものを咀嚼して飲み込み。
「どうぞ。」
 と中に入るように促す。
 入ってきたのは、遥さんではなく両親だった。
 二人は、ベッドの横にある椅子に座る。
「亜耶、大丈夫なのか?」
 お父さんが心配そうに声をかけてきた。
 土曜日だって忙しいのに、こうして来てくれたお父さんに心配させないように。
「大丈夫だよ。明日には退院できるって言われたよ。」
 笑顔で答える。
「そうか……。明日から、家に来るんだろ?」
 お父さんがホッとしながら聞いてくる。
 えっ?
 私が首を傾げると。
「遥さんから連絡貰ったのよ、亜耶。退院後の入浴どうするつもりだったの?」
 お母さんに言われて、思い至る。
  
 無理無理、考えただけでに顔に熱がこもる。
 遥さんにやって貰うには恥ずかしすぎる。

 でも、私が実家にお世話になってる間、遥さんどうするんだろう?
  
 私の疑問もお母さんは解ってたのか。
「遥さんも一緒にうちに来ることになってるから、亜耶は心配すること無いからね。」
 とさらりと口にした。
 その言葉に私は、安堵する。
 だって、遥さんと離れたくないって思ってたからお母さんには感謝するしかない。
「ありがとう、お母さん。」
「亜耶の事だから、遥さんと離れて暮らしたくないと思ってるだろうなっと思っただけ。それに、登下校の事を考えれば、その方が一番でしょ。」
 当然のように言うお母さんに頭が上がらない。
「此方は準備して待ってるから、また明日な。」
 お父さんも何処と無しか嬉しそうな顔をしている。
「うん。ありがとう。」
 私がそう言うと。
「亜耶の元気な顔も見れたし、そろそろ行くか。」
 お父さんが席を立つ。
「そうね。」
 お母さんもお父さんにならって席を立つ。
「じゃあ、明日ね。」
 そう言って、ベッドの中から両親を見送った。

 遥さん、私が思い付かない事に手を廻してくれてたんだ。
 やっぱり、私には出来すぎる旦那様だと改めて思った。

 食事を再開して数分後に遥さんが顔を出す。

「おはよう、亜耶。」
「おはよう、遥さん。ありがとう。」
 私はそう返して、近付いて来た遥さんに抱きついた。

 突然の私の行動に戸惑いを見せながら私を抱き締め返し、何事だと顔に出して私を見下ろしてきた彼に。

「大好き、遥さん。」

 って口にすれば、驚いた顔をして顔を赤くした。

 また、違う顔が見れた。
 と内心嬉しくもあった。






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