好きだから傍に居たい

麻沙綺

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事情説明…亜耶

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 カミングアウトしたとたん、教室中で悲鳴や、雄叫びが上がる。
 女子からは、鋭い視線を浴びる。

「遥さん……。」
 不安になって、遥さんを見れば。
「大丈夫だよ。」
 笑顔で、強く手を握ってくる。
 それだけでも、安心する。
 騒ぎが収まったところで。
「この学校に来る前に亜耶と結婚したんだ。亜耶の家の都合でな。その後に、理事長っても、俺にとっては伯父だが、 "教師の欠員が出たから、見つかるまで穴を埋めて欲しい" とその穴埋めに俺に連絡が来たんだ。断ろうと思ったんだが、亜耶が "俺の教師姿が見たい" って言うから、引き受けた。教師の仕事を引き受けることによって、本業の方を休まなくてはならない。それで、亜耶のお義父さんと相談して、 "困ってるなら、助けてあげなさい" と了承を得て、俺は此処に立っている。本来ならば、鞠山財閥の副社長と言う立場なんだが、伯父の頼みを無下に出来ず此処にいる。伯父は、俺たちの事を知らずに頼ってきたんだ。その事を踏まえて考えて欲しい」
 遥さんが、切な気に言う。誰もが聞く企業の名前が出てきて、驚いてるクラスメイト。
「それって、政略結婚ですか?」
 それだったら、私たちにも望みがあるのでは、と企んでる顔が見え隠れしてる。
「端から見れば、そうかもしれないが、違うんだ。俺が一方的に片想いしてたんだよ。」
 って、遥さんがとんでもない事を口にした。
 その言葉に、クラス全員が呆然とする。
 ちょっと、遥さんそこまで打ち明ける必要ありますか?
 心の中で問い質していた。
「俺から、二つだけ聞きたい。俺と亜耶の事を知ってる者は挙手してくれ。」
 龍哉くんは、もちろん知ってるから手を挙げる。その他に三人手が上がった。
 私は、わからない(パーティーとか、出たこと無いから顔知らないもの)けど遥さんには、わかったみたいだ。
「亜耶の素性は?」
 もう一度質問すれば、同じメンバーが手を挙げた。
 遥さんが、何か考え始めていた。
「亜耶の素性を話しても?」
 遥さんが聞いてきた。
「話さなきゃダメ?」
 逆に聞き返すと。
「話しておいた方がいいんじゃないか? これからの事を思えば。」
 心配気に言う遥さん。
「なら、自分で話すよ。」
 私は、そう口にしていた。


 私の言葉に遥さんは驚いてはいたが、その後に優しい笑顔を浮かべて、頭をポンポンと撫でるように叩いてきた。

 まるで、 "大丈夫だ" と言うように……。








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