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5章 コングの無謀な考え

第18話 ダンジョン

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 ちい達が戻ると夕方になっていて、あたりは暗くなっていた。コング達が言い争っている。
「無理だ。今から出発は早すぎる」ジルが大声を出していた。
「いや。行ける。早いほうがいいのだ」コングは酔っていて顔が真っ赤だ。
「相当酔っているね。酔を冷ましてからの方が良いよ」と魔女。
「どうしたの?」ちいが聞いた。
「おお。ちい。戻ってきたね。コングがもう出発しようというのよ。まだ準備もできてないのに。もう夜になるよ」魔女が嘆いた。
「早いほうが良い。俺が悪いやつらをやっつけてやる。ヒック」コングは相当酔っていた。
「俺、ハンスと言います。王国への道を知っていますぜ」
「ほこらに山を貫通するダンジョンがあると村の人が言っていた。そこまでの道をしっているのだね?」とジル。
「知っている。ただ・・悪いうわさがあって、黒の国の魔物がダンジョンにうようよいる所を見たっていうやつがいて・・」
「黒の国の魔物が?それは大変だ」とジル。
「よし。たいまつをいくつか買ってこい。すぐ出発だ!」とコングは気が大きくなっている。皆は仕方なく、荷物をまとめ、ダンジョンへ向かった。皆、本当は宿で休みたかったのです。夜になりかけの頃、ダンジョンの入り口に着いた。ダンジョンの中は真っ暗だ。ジルはたいまつに火をつけた。ボワッと明るくなった。
 「よし。行くぞ!」コングはどんどん進む。
真っ暗の中、たいまつの火でゆらゆらと明るくなっている。何かが飛んできた。
「うわぁ」キューが驚いた。コウモリだった。ゆっくり進んで行くと、下の階へ行く階段があった。
「ここのダンジョンを通れば、山を下から通れるのさ」ハンスが言った。
皆は階段を降りた。大きな水たまりがある。その時、天井からポタポタと水滴が落ちてきた。皆は上を見上げた。金色の魔物がクモのように、天井をよつんばではっていた。
「みんな、気をつけて」魔女が叫んだ。魔物は紫色の舌を出して、こっちを見ている。唾液だえきを垂らしながら。
「こいつ!」ジルが弓矢を放った。魔物はすごく機敏で弓をぱっとよけた。そして、すたっと下に降りた。よつんばでこっちに近づいてきた。
「このやろう!」コングはマスターブレードで切りつけた。グサッと魔物の体を切り裂いた。「キィーキィー」魔物が痛そうにわめいた。しかし、切られてもまだ動いていた。そしてちいのうでをかもうとした。
「キャー。剣ミンクー助けて!」
ちいの剣ミンクーは魔物の手首を切った。魔物はわめいている。魔女が火の玉を放った。火の玉は魔物にあたり、魔物の体は燃え上がった。嫌な匂いが立ち込める。
「やはり、黒の国の魔物が住み着いている」ジルが暗い声で言った。
「これ以上、進むのか?危険だぞ」ハンスも剣を握りながら、顔を曇らせた。
「うむ。進むのだ」コングは酔っていて、フラフラしていた。
「あんた、酔っていて正常に判断できていないよ」魔女が注意した。そこへぬ~とローブを着た男が近づいてきた。
 「キャー」ちいが驚いた。音もなく現れたからだ。コングが剣を振りかざした。しかし、ローブの男はひらりとかわした。ジルの弓矢は近すぎて放てない。男は大きい本をもっていた。男は手をかざし、なにやら呪文を唱えだした。ジルに手を向けている。
「あぶない。皆は離れて!危険な魔術だ」魔女が叫んだ。ジルはふわ~と浮かんだ。ローブの男はさらに力をこめて呪文を唱えた。
「ボルノズン」男は魔力をかけた。ジルは、下に落ちた。目を開けてガクガク震えていた。
「脳を破壊する魔術だ。5割の確率で成功する。悪の魔術だ!みんな逃げて」魔女は皆に訴えた。男は今度、標的を変えて、ハンスに魔力をかけた。ハンスはくるしそうに体を震わせた。またふわ~と浮かび上がった。ローブの男は力をいれた。
「ボルノズン」
ハンスの頭が爆発した。皆は震え上がった。「キャ~」ちいは目を伏せた。そして、男は持っていた本を開いた。
「やはりあれは本に閉じ込める魔法。逃げられないよ。皆を瞬間移動させるしかない」
魔女は呪文を唱え始めた。ローブの男も呪文を唱えた。ジルがうわ~と唸り声をあげて、本の中に吸収された。本の中にす~と入っていったのだ。コングはマスターブレードを振りかざし、男を切りつけたが、コングも本の中にぶわ~と吸収された。2人は本に閉じ込められたのだった。魔女は呪文を唱え終えた。
「ちい、キュー、手を掴んで。どこへ飛ばされるか保証できないよ」
ちいとキュー、剣ミンクーも手を握り合った。魔女が唱えた。
「ランヴァラール」
赤く光輝き、空間がゆがんで体が中に飛ばされた。ジェットコースターの何十倍の重力がかかった。魔女の呪文、ランヴァラールはピンチの時の最後の手段。ちい、キュー、剣ミンクー、西の魔女は散り散りにテレポートしたのであった。

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