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12、お誘いに勇気は必要ですか?〜side 拓真〜
③
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結局カレーは2人で作った。まぁカレーなんて切って炒めて煮るだけで味だって普通にルウを使うだけで簡単な料理だしな。
「作りすぎたかな」
「今日から僕は毎日カレーですね…」
「あはは、悪いな」
「じゃあ食べに来てください。いつでも待ってますよ」
「そうだな、また来るわ」
夕方のことなんてまるで無かったかのように普通の会話。良かった、普通に話せて。でもちょっと切ないな。身体もずっと切ない。尊くんは何でもない顔しているのに、俺だけずっと顔は赤いし身体は今でも触ってほしいと刺激を求めていた。
俺ってこんなに性に対して貪欲だっただろうか。熱った身体を無理やり抑え込んで、俺は何食わぬ顔で彼の隣に立つ。それだけでも背徳的で余計に意識してしまっていた。
「…まさん、拓真さん!聞いてますか?」
「え…ごめん、聞いてなかった」
「もうさっきから生返事ばっかり」
「悪い、もう1回話してくれるか」
「しょうがないですね。フルシティは……」
カレーは味がほとんどしなかった。子猫の話も途中から全然覚えていない。ただずっと、尊くんの口へと運ばれるスプーンを目で追っていた。少しからそうにTシャツをパタパタさせる仕草が、その度に見える鎖骨が、食事中なのに俺をさらに欲情させた。
「…拓真さん!顔赤いですけど大丈夫ですか?」
「え、あ、うん。大丈夫大丈夫。ちょっとカレーが辛くて」
「僕は辛いの好きでしたけど、拓真さんには辛すぎました?」
「いや、俺も美味しかったから」
「良かった。じゃあ片付けはしておくので、お先にお風呂どうぞ」
着替えを渡され、背中を押され、あっという間に俺はリビングからバスルームに移動させられてしまった。ご丁寧にさっきコンビニで買った下着もしっかり持たせてくれている。
「左からリンス、シャンプー、ボディソープです。湯船も張ってあるのでゆっくり入ってきてください」
「あ、ありがとう」
ふふんと楽しそうに笑いながら尊くんはキッチンに戻っていった。
「下着だけカバンの上に置いておいて正解だったな」
呟きながら俺は来ていた服を脱ぎ、丁寧に畳む。脱ぐたびに俺は少し気が重かった。風呂から出たら、尊くんが入って、出たら一緒にアイスを食べて、その後、誘って、さっきみたいに断られたらと思うと気が重くなっていく。
とりあえずシャワーを浴びて身体を洗い、湯船に浸かって考えを巡らすことにした。
「作りすぎたかな」
「今日から僕は毎日カレーですね…」
「あはは、悪いな」
「じゃあ食べに来てください。いつでも待ってますよ」
「そうだな、また来るわ」
夕方のことなんてまるで無かったかのように普通の会話。良かった、普通に話せて。でもちょっと切ないな。身体もずっと切ない。尊くんは何でもない顔しているのに、俺だけずっと顔は赤いし身体は今でも触ってほしいと刺激を求めていた。
俺ってこんなに性に対して貪欲だっただろうか。熱った身体を無理やり抑え込んで、俺は何食わぬ顔で彼の隣に立つ。それだけでも背徳的で余計に意識してしまっていた。
「…まさん、拓真さん!聞いてますか?」
「え…ごめん、聞いてなかった」
「もうさっきから生返事ばっかり」
「悪い、もう1回話してくれるか」
「しょうがないですね。フルシティは……」
カレーは味がほとんどしなかった。子猫の話も途中から全然覚えていない。ただずっと、尊くんの口へと運ばれるスプーンを目で追っていた。少しからそうにTシャツをパタパタさせる仕草が、その度に見える鎖骨が、食事中なのに俺をさらに欲情させた。
「…拓真さん!顔赤いですけど大丈夫ですか?」
「え、あ、うん。大丈夫大丈夫。ちょっとカレーが辛くて」
「僕は辛いの好きでしたけど、拓真さんには辛すぎました?」
「いや、俺も美味しかったから」
「良かった。じゃあ片付けはしておくので、お先にお風呂どうぞ」
着替えを渡され、背中を押され、あっという間に俺はリビングからバスルームに移動させられてしまった。ご丁寧にさっきコンビニで買った下着もしっかり持たせてくれている。
「左からリンス、シャンプー、ボディソープです。湯船も張ってあるのでゆっくり入ってきてください」
「あ、ありがとう」
ふふんと楽しそうに笑いながら尊くんはキッチンに戻っていった。
「下着だけカバンの上に置いておいて正解だったな」
呟きながら俺は来ていた服を脱ぎ、丁寧に畳む。脱ぐたびに俺は少し気が重かった。風呂から出たら、尊くんが入って、出たら一緒にアイスを食べて、その後、誘って、さっきみたいに断られたらと思うと気が重くなっていく。
とりあえずシャワーを浴びて身体を洗い、湯船に浸かって考えを巡らすことにした。
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