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3、愛を教えてくれた君へ side拓真
⑥
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――カランカラン
「すみません、今日は…あっ」
「あ、えと…」
いざ対面すると、あんなに気合を入れた勇気は一瞬で吹っ飛んでいった。これ、次になんて言えばいいんだ?花束はいつ渡せば…そんなことを考えていら、尊くんが先に声をかけてくれた。
「拓真さん、やっと、やっと来てくれたんですね。」
目には涙を滲ませて、少し肩が震えている。きっと毎日信じて待っていてくれたんだろう。そう思うと抱きしめたいという気持ちが溢れ出す。思わず駆け寄り思い切り尊くんへ手を伸ばした。それに呼応するように尊くんも手を伸ばしてくれた。カウンターを挟んで、俺と尊くんは抱き合った。
「ごめんね、ずっと来れなくて。本当にごめん。」
「気にしないでください。走る拓真さんを窓から見てましたから。仕事忙しかったんですよね。」
「見てたの?」
まさか、走っているところを見られていたとは。何だか不甲斐ない自分を見られたようで急に恥ずかしくなってしまった。
「すみません、見てました。毎日遅くまでお疲れ様です。」
「あ、ありがとうございます?」
「ふふっ、なんで疑問系なんですか。」
そうクスクス笑う声はこの前の尊くんだ。今なら落ち着いて花束を渡せる気がする。俺は尊くんからゆっくりと離れ、良かったら隣で話さないかとカウンターから出てこられるように誘った。もう花束は見えているのに、尊くんは気付かないフリをして、不思議そうに出てきてくれた。俺は尊くんを椅子に座らせ、目の前に跪いてスズランの花束を差し出した。
「俺と、付き合ってください」
尊くんは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐ満面の笑みで花束を持つ俺の手に、自分の手を優しく重ねてきた。
「僕でよければ、よろしくお願いします。」
尊くんグッと顔を近付け、俺の額にキスを落とした。あまりに流れるような動作に、思わず固まってしまった俺をそっと立たせると、隣の椅子に座らせ今度は唇にキスを落とした。花束は手からするりの抜けていき、カウンターの上に置かれ、次は手のひらにキス。指と指の間から覗く、少し潤んだうっとりとした視線で見つめられると鼓動がバクバクと速くなっていく。
「僕たち、これでちゃんと恋人ですよね?」
その問いに俺は何も言えず、ただただ顔を真っ赤にしながらコクコクと頷くしかなかった。
了承の合図と捉えた尊くんがまた、チュっと手のひらに強めのキスを落とす。背筋がゾクゾクと痺れたような快感が走り、ついつい腰を反らせてしまう。これじゃあ佐藤が言っていた通り、本当に童貞みたいじゃないか!なんてツッコミを入れたくても、もう尊くんの視線とキスに脳も痺れて頭がぼーっとしている。
「前も思ったんですけど、拓真さんすごく流されやすいですよね。」
小悪魔のように笑う尊くんは、前とは違ってとても大人っぽくて色気がすごい。尊くんの言う通り、流されるように俺は唇にキスをされ、無理矢理唇を開かされた。尊くんは熱い舌を俺の中に侵入させ、俺の舌と絡ませてくる。その熱とぬるりと自分の意思とは違うものに口の中を犯されている感覚に、俺はただただ尊くんに身を任せるしかなかった。
「んっ…あっ…はぁ……んぁ…」
「拓真さんすごくえっちな顔してますよ」
「っ!そ、な…こと…んぐっ!」
そんなことないって否定したかったのに、また唇を塞がれてしまう。さっきよりも強く舌を絡められ、吸われ、無理矢理暴かれる。こんな濃厚で荒々しいキスなんて初めてだ。息をするのもままならず、目の前がチカチカしてきた。上顎を舌で撫でられるたびに腰は痺れ、ゾクゾクとした甘い快感が全身に走る。俺は無意識に太ももを擦り寄せていた。
それに気付いた尊くんは、ようやく唇を離してくれた。
「キスだけで、こんなに僕で乱れてくれるなんて思いませんでした。」
恍惚とした表情で俺を見つめている尊くんは、店内の少し薄暗い暖色の光に照らされて、見惚れるほどそれはもう美しかった。
息も絶え絶えにその顔を見つめていると、太ももからお腹にかけて優しく撫でられた。全身が敏感になっている今の身体で優しく触られたらからか、尊くんに触られたからか、自分の声ではないんじゃないかと思うほど、甘い声が出てしまう。
「あぁっ…やっ…」
「っ!…そんな声、反則です…」
「も…さすら…な…でぇ…」
撫でられるたびに下半身が焼けるように熱く熱を帯びていく。尊くんの目はもう据わっている。そんな目を直視できず、思わず目を逸らす。
――もしかして俺たち、このままここでシちゃうのかな
そんなことを少し期待しながらもう一度尊くんを見つめ直すと、急にぎゅっと抱きしめてきた。
「だ、ダメです。心の準備と、コ、コンドームの準備が…ない…です…あと拓真さんの準備…」
さっきまであんなに攻めな姿勢でグイグイきていたのに、急に恥ずかしそうにボソボソと言ってきた。急にしおらしくなるから、さっきまでのドキドキもあっという間に落ち着いて、和んでしまった。というか、俺は何も言ってないのに…そんなにシたそうな顔してたのか?
「すみません、今日は…あっ」
「あ、えと…」
いざ対面すると、あんなに気合を入れた勇気は一瞬で吹っ飛んでいった。これ、次になんて言えばいいんだ?花束はいつ渡せば…そんなことを考えていら、尊くんが先に声をかけてくれた。
「拓真さん、やっと、やっと来てくれたんですね。」
目には涙を滲ませて、少し肩が震えている。きっと毎日信じて待っていてくれたんだろう。そう思うと抱きしめたいという気持ちが溢れ出す。思わず駆け寄り思い切り尊くんへ手を伸ばした。それに呼応するように尊くんも手を伸ばしてくれた。カウンターを挟んで、俺と尊くんは抱き合った。
「ごめんね、ずっと来れなくて。本当にごめん。」
「気にしないでください。走る拓真さんを窓から見てましたから。仕事忙しかったんですよね。」
「見てたの?」
まさか、走っているところを見られていたとは。何だか不甲斐ない自分を見られたようで急に恥ずかしくなってしまった。
「すみません、見てました。毎日遅くまでお疲れ様です。」
「あ、ありがとうございます?」
「ふふっ、なんで疑問系なんですか。」
そうクスクス笑う声はこの前の尊くんだ。今なら落ち着いて花束を渡せる気がする。俺は尊くんからゆっくりと離れ、良かったら隣で話さないかとカウンターから出てこられるように誘った。もう花束は見えているのに、尊くんは気付かないフリをして、不思議そうに出てきてくれた。俺は尊くんを椅子に座らせ、目の前に跪いてスズランの花束を差し出した。
「俺と、付き合ってください」
尊くんは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐ満面の笑みで花束を持つ俺の手に、自分の手を優しく重ねてきた。
「僕でよければ、よろしくお願いします。」
尊くんグッと顔を近付け、俺の額にキスを落とした。あまりに流れるような動作に、思わず固まってしまった俺をそっと立たせると、隣の椅子に座らせ今度は唇にキスを落とした。花束は手からするりの抜けていき、カウンターの上に置かれ、次は手のひらにキス。指と指の間から覗く、少し潤んだうっとりとした視線で見つめられると鼓動がバクバクと速くなっていく。
「僕たち、これでちゃんと恋人ですよね?」
その問いに俺は何も言えず、ただただ顔を真っ赤にしながらコクコクと頷くしかなかった。
了承の合図と捉えた尊くんがまた、チュっと手のひらに強めのキスを落とす。背筋がゾクゾクと痺れたような快感が走り、ついつい腰を反らせてしまう。これじゃあ佐藤が言っていた通り、本当に童貞みたいじゃないか!なんてツッコミを入れたくても、もう尊くんの視線とキスに脳も痺れて頭がぼーっとしている。
「前も思ったんですけど、拓真さんすごく流されやすいですよね。」
小悪魔のように笑う尊くんは、前とは違ってとても大人っぽくて色気がすごい。尊くんの言う通り、流されるように俺は唇にキスをされ、無理矢理唇を開かされた。尊くんは熱い舌を俺の中に侵入させ、俺の舌と絡ませてくる。その熱とぬるりと自分の意思とは違うものに口の中を犯されている感覚に、俺はただただ尊くんに身を任せるしかなかった。
「んっ…あっ…はぁ……んぁ…」
「拓真さんすごくえっちな顔してますよ」
「っ!そ、な…こと…んぐっ!」
そんなことないって否定したかったのに、また唇を塞がれてしまう。さっきよりも強く舌を絡められ、吸われ、無理矢理暴かれる。こんな濃厚で荒々しいキスなんて初めてだ。息をするのもままならず、目の前がチカチカしてきた。上顎を舌で撫でられるたびに腰は痺れ、ゾクゾクとした甘い快感が全身に走る。俺は無意識に太ももを擦り寄せていた。
それに気付いた尊くんは、ようやく唇を離してくれた。
「キスだけで、こんなに僕で乱れてくれるなんて思いませんでした。」
恍惚とした表情で俺を見つめている尊くんは、店内の少し薄暗い暖色の光に照らされて、見惚れるほどそれはもう美しかった。
息も絶え絶えにその顔を見つめていると、太ももからお腹にかけて優しく撫でられた。全身が敏感になっている今の身体で優しく触られたらからか、尊くんに触られたからか、自分の声ではないんじゃないかと思うほど、甘い声が出てしまう。
「あぁっ…やっ…」
「っ!…そんな声、反則です…」
「も…さすら…な…でぇ…」
撫でられるたびに下半身が焼けるように熱く熱を帯びていく。尊くんの目はもう据わっている。そんな目を直視できず、思わず目を逸らす。
――もしかして俺たち、このままここでシちゃうのかな
そんなことを少し期待しながらもう一度尊くんを見つめ直すと、急にぎゅっと抱きしめてきた。
「だ、ダメです。心の準備と、コ、コンドームの準備が…ない…です…あと拓真さんの準備…」
さっきまであんなに攻めな姿勢でグイグイきていたのに、急に恥ずかしそうにボソボソと言ってきた。急にしおらしくなるから、さっきまでのドキドキもあっという間に落ち着いて、和んでしまった。というか、俺は何も言ってないのに…そんなにシたそうな顔してたのか?
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