愛を注いで

木陰みもり

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2、一途な恋心

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「どういう飲み方をすることが多いですか?」
「え、飲み方ですか?」
「はい。ホットのブラックで飲むなら、苦味や酸味が強く出る浅煎りのものがオススメですし、アイスで飲むなら中煎りから深煎りがオススメです。深煎りはコクが強くなりますし、氷で薄まってもしっかりとした味が続きます。中煎りのこのフルシティローストは、酸味と苦味のバランスがちょうど良く、それに加えコーヒー豆本来の甘みも感じられます。一般的に日本人がよく好んで飲むのはフルシティローストが多いですね。豆にも種類によって少しずつ特徴が違うんです。このアラビカ種はストレートで飲む時に適していますが、カネフォラ種はストレートにあまり適していません。ですが、この種類は、独特の香りと強い苦味があり、アラビカ種とカネフォラ種の豆をブレンドすると、いい味を出してくれます。一般的には6:4で出回ってますが、好みで自分でブレンドしても楽しいと思いますよ!あとは……」
ポカンとした「優男さん」が目に入り、ついつい興奮して色々話し過ぎてしまったと後悔した。聞かれてもないのにこんなに話して、そこまでの興味じゃなかったかもしれないのに……
「すみません、話し過ぎちゃって。」
僕は不快にしてしまったと、すぐに頭を下げた。しかし「優男」さんは不思議そうに僕を見つめて
「なんで謝るんですか?別に悪いことじゃないと思いますよ、好きなことに一所懸命で、素敵なことだと思います。俺も勉強になりますし、興味深いので謝らないでください!」
少し顔を上げると、にこっと笑いかけてくれた。ふわっと温かい風に包まれるような感じがして、落ちた気持ちをそっと持ち上げてくれた。
「あ、ありがとうございます、そう言っていただけてよかったです。」
「好きなことはできる時に突き詰めておいた方がいいと思いますよ。周りの目は気にせずにね。」
「はい!ありがとうございます。」
「じゃあ質問なんだけど、いいですか?」
「もちろんです!なんでも聞いてください!」
「じゃあ、自分でブレンドは難しいから、雰囲気で君に決めて欲しいのだけど、会社に行く前に飲むもので、軽めでフルーツみたいな甘さがあるものありますか?」
「それなら、エチオピア産の豆で浅煎りでどうですか?ベリーのような香りと爽やかな酸味で、浅煎りすれば苦味を軽減して、後味に甘みの余韻を感じられると思います。一般的な豆ですが、お試しで、どうですか?」
「なるほど、急に冒険しても失敗しそうですし、店員さんのオススメにしてみます。ありがとうございます。あと、よければ他にも聞いてもいいですか?」
「えっ!?はい、もちろんです!」
「じゃあ……」
僕たちはコーヒーの話を沢山した。主に僕が話し続けてただけだけど、初めて好きなことを好きなだけ話せて嬉しかった。退屈な顔も嫌な顔もしないで、ずっと聞いてくれた。
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