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20.アルファの熱情 ※
しおりを挟むリオルは歓喜の涙を流す。気がついたら泣いていた。シグルドと番になれたことが嬉しくて心が打ち震えた。
「痛かった……?」
シグルドがリオルの様子を確認しようと横から顔を覗き込んできた。
「ごめん……確実に番になりたかった。甘噛みで、実は番えていなかったなんてことのないように、絶対に俺の番にしたかったのだ」
シグルドは背中からリオルの身体を抱き締め、リオルの頬に伝う涙に口づけをする。
「痛くないよ……嬉しくて泣いたんだ……」
リオルは自分の身体に回されたシグルドの腕をぎゅっと抱き締める。
「シグルド。僕に涙のわけを聞いてくれてありがとう……。痛くて泣いてるんじゃない。シグルドと番になれたことが嬉しかったんだよ」
シグルドと初めて交わったとき、シグルドはリオルの涙の理由を誤解してしまった。今度こそ、すれ違わないようにと気遣ってくれるシグルドの気持ちが嬉しい。
「リオル、好きだ。好きだ」
「シグルド、僕もだよ。僕も好き」
シグルドと番になった余韻に浸りながら抱き合っていた。
でもシグルドが挿入したままの腰を微妙に動かすから、だんだんといやらしい気持ちが頭をもたげてくる。
「あっ、あっ、こらシグルドっ……!」
「リオル。俺の番の身体を感じさせてくれ。俺はまだ一回しか達してない。これからはアルファのことも、リオルにわかってほしい。俺はさっきから理性が壊れそうになるのを必死で保ってるんだ。リオルを抱き潰したくないからな」
「どういうこと……?」
そういえばアルファの生態などよく知らない。優秀で美形でどのバース性よりも恵まれているとしか思ったことがない。
「アルファが性交するとき、一晩で何度達するか知っているか?」
「え?」
「一回で終わることなど稀だ。俺は今宵は朝までリオルと交わるつもりだ。最低でも十はやりたい」
「じゅ、十回……!?」
今のが一度目だとしたら、あとこの十倍感じさせられるのか。そんなことを想像しただけでドキドキして、身体がほてってきた。
「ん……? リオル、やる気だな。そんなにキツく俺を締めつけて、俺を興奮させる気か?」
「えっ、ちがっ、違うよ、ああっ……!」
リオルの意思とは無関係に、身体が反応して勝手にキューッと閉まってしまっただけだ。
「リオル、リオルっ」
シグルドは腰を動かしてリオルを貪り始めたが、リオルの身体はさっきの行為で何度も達したためもう限界だ。
「あっ、あっ、むり……敏感になっちゃってるから!」
「俺をたくさん感じてくれて嬉しいよ」
「違うって……! あぁ~っ! もう、もう、こんなの、気持ちよくなっちゃうから……っ」
シグルドに突かれるたびに、さっき放たれたシグルドの精液をグチュグチュと中で掻き回され、内壁に擦りつけられているような感覚に陥る。
それが、ぬるぬるしていてこの上なく気持ちがいい。
「可愛い。リオルはなんて可愛いんだ、悪いが俺は今宵は止まれない。俺の欲を全部受け止めてくれ」
リオルの身体もすぐに熱くなり、再びシグルドとの愛の行為に身を委ねる。
結局、お互いが何度達したのかわからなくなるくらいに何度も交わった。
リオルはあまりの快楽に頭がクラクラして、最後のほうには自分がどんな淫らな姿をさらけ出していたのかもわからないくらいにシグルドとの行為に溺れていった。
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