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19.疑惑 〜富永side〜
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次の日。富永は仕事が終わったら会社まで迎えに行くから一緒に外食しようと神乃を誘うことにした。
メールを送るがまったく反応なし。電話をかけても神乃のスマホの電源が切れていた。そのため得意先を装って神乃の勤める会社に電話をかけることにした。
『神乃は本日は休みをいただいております』
電話口の事務的な声に富永は驚いてスマホを落としそうになった。
まさかこんな事実が判明するなんて。
——神乃が嘘をついた……?
土曜日は仕事だなんて嘘をついて神乃はどこへ行ったのだろう。
あの誠実な神乃が富永に嘘をつくなんて信じられない。神乃は何か富永に言えないようなことをしているということか。
浮気。の二文字が富永の脳裏をかすめたがまさかと一蹴した。
一途で健気で誠実で、素直で可愛くてあんなに富永に愛情を示してくれる神乃が浮気?!
「——あり得ない」
富永は自分のバカな考えを捨てて、神乃を信じ、帰りを待つことにした。
夜になりスーツ姿の神乃が帰宅した。
「ただいま、富永」
神乃の態度は至って普通だ。悪びれた様子もない。
「おかえり、神乃、夕食食べるか?」
「うん。お腹すいた!」
「じゃあすぐに用意する。待ってろ」
富永はあらかじめ作ってあった料理を温めて並べていく。神乃が好きなものばかりを栄養バランスよく用意したつもりだ。
富永は今まで料理なんてしなかったのに、神乃と暮らすようになってから料理を作るようになった。
「ありがとう富永」
神乃は少し疲れた顔をしていたが、それでも富永に笑顔を向けてきた。
そのあと「ん。うまい」と富永の料理に手をつける。
「なぁ、神乃。俺、今日の夜は外食でもしようかと思ってお前に連絡しようとしたんだけど……」
富永は徐に話を切り出した。昼間のことが気になって仕方なかったからだ。
「ああ! 俺のスマホ、電池が切れちゃってさ。昨日寝る前に充電するの忘れてたから。ごめん、連絡してくれてたのか?」
「ああ。スマホが駄目ならと思ってお前の会社にも電話をかけたんだ。そしたら神乃は今日出社してないって言われたんだけど……」
「えっ?」
神乃は目をしばたかせる。
「俺、会社にいたんだけどな……。なんでとりついでくれなかったんだろ……」
「あ、神乃はちゃんと会社にいたんだな……」
めちゃくちゃ安心した。やっぱり神乃が嘘をつくはずがない。思っていたとおりだ。
「うん。ごめんな、富永に心配かけて。——そっか、富永と外食できるチャンスだったんだ……。ちょっと残念だったな」
「じゃあ、明日。明日行かないか?」
善は急げだ。神乃とデートっぽいことがしてみたい。是非、してみたい。
「明日の夜は予定があるから、昼間なら」
「わかった。店は俺が探しておく。食べたいものはあるか?」
「ううん。なんでもいい」
神乃はいつもそう答える。もっと主張してくれたほうがいいのにと思うが、昔から神乃はそういう性格だ。控えめというか、大人しいというか。
その性格が災いして、仕事を押しつけられたりしてないよな……なんて勘繰って心配になるくらい。
メールを送るがまったく反応なし。電話をかけても神乃のスマホの電源が切れていた。そのため得意先を装って神乃の勤める会社に電話をかけることにした。
『神乃は本日は休みをいただいております』
電話口の事務的な声に富永は驚いてスマホを落としそうになった。
まさかこんな事実が判明するなんて。
——神乃が嘘をついた……?
土曜日は仕事だなんて嘘をついて神乃はどこへ行ったのだろう。
あの誠実な神乃が富永に嘘をつくなんて信じられない。神乃は何か富永に言えないようなことをしているということか。
浮気。の二文字が富永の脳裏をかすめたがまさかと一蹴した。
一途で健気で誠実で、素直で可愛くてあんなに富永に愛情を示してくれる神乃が浮気?!
「——あり得ない」
富永は自分のバカな考えを捨てて、神乃を信じ、帰りを待つことにした。
夜になりスーツ姿の神乃が帰宅した。
「ただいま、富永」
神乃の態度は至って普通だ。悪びれた様子もない。
「おかえり、神乃、夕食食べるか?」
「うん。お腹すいた!」
「じゃあすぐに用意する。待ってろ」
富永はあらかじめ作ってあった料理を温めて並べていく。神乃が好きなものばかりを栄養バランスよく用意したつもりだ。
富永は今まで料理なんてしなかったのに、神乃と暮らすようになってから料理を作るようになった。
「ありがとう富永」
神乃は少し疲れた顔をしていたが、それでも富永に笑顔を向けてきた。
そのあと「ん。うまい」と富永の料理に手をつける。
「なぁ、神乃。俺、今日の夜は外食でもしようかと思ってお前に連絡しようとしたんだけど……」
富永は徐に話を切り出した。昼間のことが気になって仕方なかったからだ。
「ああ! 俺のスマホ、電池が切れちゃってさ。昨日寝る前に充電するの忘れてたから。ごめん、連絡してくれてたのか?」
「ああ。スマホが駄目ならと思ってお前の会社にも電話をかけたんだ。そしたら神乃は今日出社してないって言われたんだけど……」
「えっ?」
神乃は目をしばたかせる。
「俺、会社にいたんだけどな……。なんでとりついでくれなかったんだろ……」
「あ、神乃はちゃんと会社にいたんだな……」
めちゃくちゃ安心した。やっぱり神乃が嘘をつくはずがない。思っていたとおりだ。
「うん。ごめんな、富永に心配かけて。——そっか、富永と外食できるチャンスだったんだ……。ちょっと残念だったな」
「じゃあ、明日。明日行かないか?」
善は急げだ。神乃とデートっぽいことがしてみたい。是非、してみたい。
「明日の夜は予定があるから、昼間なら」
「わかった。店は俺が探しておく。食べたいものはあるか?」
「ううん。なんでもいい」
神乃はいつもそう答える。もっと主張してくれたほうがいいのにと思うが、昔から神乃はそういう性格だ。控えめというか、大人しいというか。
その性格が災いして、仕事を押しつけられたりしてないよな……なんて勘繰って心配になるくらい。
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