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十二月 親衛隊は『推し』が卒業したら解散するルール
4.
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「上杉先輩っ!!」
ミーティングルームのドアを開けて、飛び込んできたのは宇佐美だ。
「先輩っ! 何してるんですか!」
入ってくるなり、宇佐美は吉良から上杉の身体を引き離す。その隙に吉良も身体を起こすことができた。
宇佐美が現れたことで、上杉もハッとした顔になる。
「俺、なんてことを……。吉良先輩、ごめんなさい……」
さっきまでの勢いは消え、上杉はしおらしく謝ってきた。
「宇佐美。俺を止めてくれてありがとな……。俺はバカだ。いくら可愛いからって許されることじゃない……。頭、冷やしてきます……」
力なく立ち上がった上杉は、ひとりミーティングルームを出て行った。
「吉良先輩っ、大丈夫ですか?!」
宇佐美が立ち上がるための手を差し伸べてきた。
「ああ……。驚いたけど、大丈夫だ。なぁ、上杉は急にどうしたんだ……?」
さっきまでの豹変ぶりは恐ろしいくらいだった。
「上杉先輩はリミッター外れるとヤバいタイプなんです。サッカーのプレーでも、ゾーンにはいるって言うんでしょうか。急に神がかったプレーをするときがあるんです。今も吉良先輩と初めてふたりきりになったから、頭ぶっ壊れたんだと思います」
「そうか……」
上杉は、実はかなりヤベェ奴なんだな……。あんな奴に愛されたらたまったもんじゃないだろう。
「俺としては想定内です。吉良先輩と上杉先輩がふたりきりでミーティングルームに入っていったところから見てました。それで、何かあったら吉良先輩を助けようと思ってました」
「宇佐美……」
もし宇佐美が現れなければ、あのまま上杉に強引にされるところだった。まだ吉良の心臓はバクバクしている。
でも、さっきまでの必死な上杉の姿も、我に返ってしょげ返る上杉の姿も、そこまで嫌悪感はないのはなぜだろう。
吉良は宇佐美の手を借りて立ち上がる。
「宇佐美、すまん」
「いいえ」
もう立ち上がったのだから、手を離してくれてもいいのに、宇佐美はまだ吉良の手を握ったままだ。
「宇佐美……?」
吉良が宇佐美を見上げると、デカい図体のくせに、頬を赤らめ照れている。
え?! こいつどうした?!
「吉良先輩。俺が思っていた以上でした……」
「な、何がだ……?」
「俺、最初はあの上杉先輩をあんなに夢中にさせるのはどんな人なんだろうってくらいの興味本位だったんです」
「あ、ああ……」
なんでこいつ手を離さないんだよ……。
「それが、俺まで一緒になって吉良先輩を目で追うようになって……」
嘘だろ。全然気がつかなかった……。
そうだ。こいつも後夜祭の時に炭酸水を渡してきた奴のうちのひとりだ。あの時は、誰だろうと思っていたけれど。
だとすると宇佐美も親衛隊なのか……?
「先輩。俺、いま初めて先輩に触れることができて、ヤバいドキドキしてます」
「え……?」
「先輩。キス、してもいいですか?」
「はぁ?! ダメに決まってんだろ!!」
宇佐美。なんで上杉から守ったのに、お前が襲いかかろうとするんだ?! ミイラとりがミイラになるなよ!
◆◆◆
「今度の生徒会会長は、上杉に決まったらしいぞ」
寮の部屋でベッドに転がりながらスマホをいじっていた吉良のもとに、生徒会立候補者の、投票結果の速報が上杉から送られてきた。
「おー! あいつ、やるな!」
楯山も勉強の手を休めて、デスクの椅子から立ち上がった。
「俺も上杉に一票入れた。吉良、お前もだろ? 推薦人やってるくらいだもんな」
「ああ。でも、対抗馬の宝城はお前のバスケ部の後輩じゃなかったか?」
「そうだけど、吉良が推薦人やるなら、上杉に投票するよ。バスケ部では言えないけどな」
「おい……」
部活の後輩を推してやればいいのに、推薦人ごときで票を決めるなよ。
「なぁ、吉良。もう二学期も終わりだな」
楯山は吉良の寝転ぶベッドの端に座り、しみじみと言った。
三年の三学期になると、登校日はかなり少なくなる。皆、大学受験を控えた者が多く、寮から退出することもあるほどだ。
「そうだな……」
楯山と同室で過ごした三年間も、もうすぐ終わりだ。寝るときも、朝起きたときも、当たり前のようにそばにいた楯山の存在がやけに愛おしく思えてきた。
「吉良は、冬休みはまた家に帰るのか?」
「ああ」
吉良は補講がない間、夏休みや冬休みなどの長期休みは実家に戻っている。そのまま寮にいることも可能だが、部活動などもないため、寮にとどまる理由はない。それに——。
「お! なんの動画観てたんだ?!」
楯山が寝込んでいる吉良のすぐ横に並び、一緒にスマホの画面を覗き込んできた。
「ん? あーこれ? NBAスーパープレー?」
「だよな! おい、吉良! お前もバスケに目覚めたか?! 俺も観ていい?」
「うん」
楯山と二人でバスケのプレー動画を見る。バスケ好きの楯山は「うわっ、マジ?!」とか「すっげぇ!」とか夢中になっている。
そんな楯山の横顔をチラッと覗きみる。バスケ動画に夢中になっている楯山は、どこかキラキラした少年っぽくていい。
——楯山も、俺にペットボトルをくれたよな……。
その意味を素直に受け取れば、楯山も吉良の親衛隊、ということになるのだろうか。
いつも隣でなんでもない顔をしていた男が、実は吉良のことを想っている……?
吉良の視線に気がついたのか、楯山がこっちを振り返った。
「どうした? 吉良?」
いつものように目が合うとにっこり微笑みかけてくれる楯山。
『楯山とはもうシたのか?』
後夜祭のときに玄野に訊かれてドキッとした。まさかとは思うが、吉良さえ望めば楯山は、そういうことまで受け入れてくれるのか……。
——やっべぇ! 楯山の顔をまともに見れねぇ!
妙に意識してしまい「なんでもない」と楯山から目をそらすことしかできない。
「えっ……? 吉良、お前っ……なんでそんなに……」
「……だからっ、なんでもねぇから……」
ヤバい。楯山との距離が近すぎる。二人でひとつのシングルベッドに寝転んでるなんて、ちょっと……。
ドンドンッ!
吉良と楯山の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
吉良はこのなんとも気恥ずかしい状況から逃げ出したくて、サッと起き上がり、ドアへと向かう。
「入るぞ!」
向こう側から声がすると同時に、ドアが開けられた。
「琉平!」
いつもどおりの爽やかな笑顔で吉良の名を呼ぶ男——。
「迅!」
幼い頃からもう何度、この名前を呼んだことだろう。
「琉平。冬休みは家に帰るよな?」
神埜迅《かみのじん》は、吉良と同じ歳のいとこだ。
吉良とは違い、実力でこの学校に入学した優秀な男で、その上めちゃくちゃ見た目がいい。親族とは思えないくらいに迅は顔もスタイルも完璧だ。
「ああ。そうするつもりだよ」
吉良の返事を聞いて、迅は満足そうに口角を上げた。
「そっか。じゃあ一緒に帰ろうな」
「うん」
迅は中学から家庭の事情で吉良の家に居候している。だから帰る家は同じだ。
「俺、すごく楽しみだ!」
迅がたまらないといった様子で、ほんの一瞬だが吉良を抱き締めた。昔から迅はこれくらいの距離感で吉良に接してくる。
「琉平、冬休みは二人で初日の出、見に行こうか」
「えぇ……寒いから嫌だ」
「そんなこと言うなよ」
「……仕方ねぇなぁ……」
迅は割としつこい性格だから、付き合ってやるか。まぁ、年末年始くらいは勉強を休みにしてもいいかもしれない。
「じゃあ。また。終業式の日に迎えにくるよ」
迅は用件だけ言って、すぐに去っていった。
ミーティングルームのドアを開けて、飛び込んできたのは宇佐美だ。
「先輩っ! 何してるんですか!」
入ってくるなり、宇佐美は吉良から上杉の身体を引き離す。その隙に吉良も身体を起こすことができた。
宇佐美が現れたことで、上杉もハッとした顔になる。
「俺、なんてことを……。吉良先輩、ごめんなさい……」
さっきまでの勢いは消え、上杉はしおらしく謝ってきた。
「宇佐美。俺を止めてくれてありがとな……。俺はバカだ。いくら可愛いからって許されることじゃない……。頭、冷やしてきます……」
力なく立ち上がった上杉は、ひとりミーティングルームを出て行った。
「吉良先輩っ、大丈夫ですか?!」
宇佐美が立ち上がるための手を差し伸べてきた。
「ああ……。驚いたけど、大丈夫だ。なぁ、上杉は急にどうしたんだ……?」
さっきまでの豹変ぶりは恐ろしいくらいだった。
「上杉先輩はリミッター外れるとヤバいタイプなんです。サッカーのプレーでも、ゾーンにはいるって言うんでしょうか。急に神がかったプレーをするときがあるんです。今も吉良先輩と初めてふたりきりになったから、頭ぶっ壊れたんだと思います」
「そうか……」
上杉は、実はかなりヤベェ奴なんだな……。あんな奴に愛されたらたまったもんじゃないだろう。
「俺としては想定内です。吉良先輩と上杉先輩がふたりきりでミーティングルームに入っていったところから見てました。それで、何かあったら吉良先輩を助けようと思ってました」
「宇佐美……」
もし宇佐美が現れなければ、あのまま上杉に強引にされるところだった。まだ吉良の心臓はバクバクしている。
でも、さっきまでの必死な上杉の姿も、我に返ってしょげ返る上杉の姿も、そこまで嫌悪感はないのはなぜだろう。
吉良は宇佐美の手を借りて立ち上がる。
「宇佐美、すまん」
「いいえ」
もう立ち上がったのだから、手を離してくれてもいいのに、宇佐美はまだ吉良の手を握ったままだ。
「宇佐美……?」
吉良が宇佐美を見上げると、デカい図体のくせに、頬を赤らめ照れている。
え?! こいつどうした?!
「吉良先輩。俺が思っていた以上でした……」
「な、何がだ……?」
「俺、最初はあの上杉先輩をあんなに夢中にさせるのはどんな人なんだろうってくらいの興味本位だったんです」
「あ、ああ……」
なんでこいつ手を離さないんだよ……。
「それが、俺まで一緒になって吉良先輩を目で追うようになって……」
嘘だろ。全然気がつかなかった……。
そうだ。こいつも後夜祭の時に炭酸水を渡してきた奴のうちのひとりだ。あの時は、誰だろうと思っていたけれど。
だとすると宇佐美も親衛隊なのか……?
「先輩。俺、いま初めて先輩に触れることができて、ヤバいドキドキしてます」
「え……?」
「先輩。キス、してもいいですか?」
「はぁ?! ダメに決まってんだろ!!」
宇佐美。なんで上杉から守ったのに、お前が襲いかかろうとするんだ?! ミイラとりがミイラになるなよ!
◆◆◆
「今度の生徒会会長は、上杉に決まったらしいぞ」
寮の部屋でベッドに転がりながらスマホをいじっていた吉良のもとに、生徒会立候補者の、投票結果の速報が上杉から送られてきた。
「おー! あいつ、やるな!」
楯山も勉強の手を休めて、デスクの椅子から立ち上がった。
「俺も上杉に一票入れた。吉良、お前もだろ? 推薦人やってるくらいだもんな」
「ああ。でも、対抗馬の宝城はお前のバスケ部の後輩じゃなかったか?」
「そうだけど、吉良が推薦人やるなら、上杉に投票するよ。バスケ部では言えないけどな」
「おい……」
部活の後輩を推してやればいいのに、推薦人ごときで票を決めるなよ。
「なぁ、吉良。もう二学期も終わりだな」
楯山は吉良の寝転ぶベッドの端に座り、しみじみと言った。
三年の三学期になると、登校日はかなり少なくなる。皆、大学受験を控えた者が多く、寮から退出することもあるほどだ。
「そうだな……」
楯山と同室で過ごした三年間も、もうすぐ終わりだ。寝るときも、朝起きたときも、当たり前のようにそばにいた楯山の存在がやけに愛おしく思えてきた。
「吉良は、冬休みはまた家に帰るのか?」
「ああ」
吉良は補講がない間、夏休みや冬休みなどの長期休みは実家に戻っている。そのまま寮にいることも可能だが、部活動などもないため、寮にとどまる理由はない。それに——。
「お! なんの動画観てたんだ?!」
楯山が寝込んでいる吉良のすぐ横に並び、一緒にスマホの画面を覗き込んできた。
「ん? あーこれ? NBAスーパープレー?」
「だよな! おい、吉良! お前もバスケに目覚めたか?! 俺も観ていい?」
「うん」
楯山と二人でバスケのプレー動画を見る。バスケ好きの楯山は「うわっ、マジ?!」とか「すっげぇ!」とか夢中になっている。
そんな楯山の横顔をチラッと覗きみる。バスケ動画に夢中になっている楯山は、どこかキラキラした少年っぽくていい。
——楯山も、俺にペットボトルをくれたよな……。
その意味を素直に受け取れば、楯山も吉良の親衛隊、ということになるのだろうか。
いつも隣でなんでもない顔をしていた男が、実は吉良のことを想っている……?
吉良の視線に気がついたのか、楯山がこっちを振り返った。
「どうした? 吉良?」
いつものように目が合うとにっこり微笑みかけてくれる楯山。
『楯山とはもうシたのか?』
後夜祭のときに玄野に訊かれてドキッとした。まさかとは思うが、吉良さえ望めば楯山は、そういうことまで受け入れてくれるのか……。
——やっべぇ! 楯山の顔をまともに見れねぇ!
妙に意識してしまい「なんでもない」と楯山から目をそらすことしかできない。
「えっ……? 吉良、お前っ……なんでそんなに……」
「……だからっ、なんでもねぇから……」
ヤバい。楯山との距離が近すぎる。二人でひとつのシングルベッドに寝転んでるなんて、ちょっと……。
ドンドンッ!
吉良と楯山の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
吉良はこのなんとも気恥ずかしい状況から逃げ出したくて、サッと起き上がり、ドアへと向かう。
「入るぞ!」
向こう側から声がすると同時に、ドアが開けられた。
「琉平!」
いつもどおりの爽やかな笑顔で吉良の名を呼ぶ男——。
「迅!」
幼い頃からもう何度、この名前を呼んだことだろう。
「琉平。冬休みは家に帰るよな?」
神埜迅《かみのじん》は、吉良と同じ歳のいとこだ。
吉良とは違い、実力でこの学校に入学した優秀な男で、その上めちゃくちゃ見た目がいい。親族とは思えないくらいに迅は顔もスタイルも完璧だ。
「ああ。そうするつもりだよ」
吉良の返事を聞いて、迅は満足そうに口角を上げた。
「そっか。じゃあ一緒に帰ろうな」
「うん」
迅は中学から家庭の事情で吉良の家に居候している。だから帰る家は同じだ。
「俺、すごく楽しみだ!」
迅がたまらないといった様子で、ほんの一瞬だが吉良を抱き締めた。昔から迅はこれくらいの距離感で吉良に接してくる。
「琉平、冬休みは二人で初日の出、見に行こうか」
「えぇ……寒いから嫌だ」
「そんなこと言うなよ」
「……仕方ねぇなぁ……」
迅は割としつこい性格だから、付き合ってやるか。まぁ、年末年始くらいは勉強を休みにしてもいいかもしれない。
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