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十一月 親衛隊は諦めたくても脱退できずに本心に従うルール
3.
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「僕は吉良に感謝しなくちゃいけない」
どういうことだ……?
「吉良だろう? 吉良しかいない」
「いや俺は何も……」
「安居院君をずっと見てたらわかる。安居院君の気持ちを動かせるのは吉良しかいないんだ」
「まさか」
まったく隠岐はかいかぶりすぎだな。そんなことあるわけないだろ。
吉良の態度をみて、隠岐は「まぁ、僕も未だに信じられないけどね」と笑う。隠岐は笑うとえくぼができるせいか、幼く見える。
「でもさ、隠岐。余計なお世話かもしれないけど、お前はそれでいいのか?」
「ん?」
「だって……。お前だって安居院のこと……」
吉良には三人の関係性なんてわからない。でももしかしたら姉弟で同じ人を好きになってしまったのではないかと推察してしまう。
「確かに僕は安居院君のこと、ずっと好きだったよ」
やっぱりそうか。隠岐は安居院に特別な感情を抱いてるに違いないと思っていた。
「でもね、僕もびっくりした。こんなにも簡単に心変わりすることなんてあるんだなって、しかも安居院君とはまるで正反対の人なのにね」
「心変わり……?」
隠岐は今はもう安居院のことを諦めたのか……?
「とにかく僕の好きな人は安居院君じゃないよ。だから安居院君と姉貴がうまくいくことを心から願ってる」
「そうだったのか。俺、てっきりお前はずっと安居院のことが好きなのかとばっかり思っていたから……」
人の心は本当にわからない。友情、憧れ、恋愛感情。似て非なるものでその先の相手に対する視線の意味を推し量るのはすごく難しい。
「よかった。吉良が安居院君を『選ばない』でいてくれて。安居院君だけはダメなんだ。安居院君だって自分の立場はわかってると思うし、吉良と距離を置いてたみたいだけど、いざ二人が近づいたらまるで引き合うみたいに寄っていくからすごく怖くなった。なんとかしなくちゃいけないと思ったんだ」
以前、隠岐は吉良に「安居院君だけは選ばないでよね」と言っていた。あれは安居院の許婚候補である姉を思って言った言葉だったのか。
「だから何度も言わせるな。俺に親衛隊なんていないんだって」
吉良に『選ぶ』も何もないはずだ。それは誤解だと前にも隠岐に話したのに。
「いるよ。吉良には親衛隊がいる」
吉良と隠岐、ふたりの目の前に突然現れたのは鳴宮だ。
「鳴宮?!」
さっきまで舞台の上で歌ってた奴がなんでここに……。
「なっ! そうだよね、隠岐」
鳴宮は笑顔で隠岐に同意を求めるが、そんな鳴宮に対して隠岐は目を逸らした。
「俺ね、全部気付いてるの。ずっと見てたんだ。お前が部屋でコソコソやってたことも、それが終わったあと部屋を出ていって、廊下に吉良のスマホを放置してったのも知ってる」
「嘘でしょ。そうやって人を陥れるのやめてくんない? ていうか鳴宮は寮にほぼほぼいないじゃん」
寮で隠岐と鳴宮は同室だ。そして鳴宮は芸能活動のための特別外泊が許されており、部屋にいない日も多いようだ。
「あの日はいたんだ」
「えっ……」
「真っ暗闇のベランダに。隠岐は外までは確認しなかったでしょ。俺、隠岐は何やってんのかなって普通に見てたけど」
鳴宮の言葉に隠岐がハッとする。隠岐はそのまま言葉を返さない。
「さて、どうする? 俺の口から吉良に話そうか? それとも——」
「わかったよ、僕が話す」
隠岐は鳴宮の言葉を制する。鳴宮はそれでいいとばかり軽く二度頷いた。
「ごめん。吉良に白状する。吉良には親衛隊がいるんだよ」
隠岐は吉良に向き合い、どこか諦めたように謝罪を口にした。
「え……? いや、だって……」
「僕が細工した。吉良のスマホからは僕の作った偽サイトに繋がるようになってて、ログインしたら親衛隊の数がゼロになってる画面が表示されるようになってる」
「は?!」
「僕が吉良のスマホを盗んだんだ。寮の廊下で吉良にぶつかったときに、ポケットから抜きとった」
思い出した。あの時か。やっぱり隠岐はわざとぶつかってきたんだ。スマホを盗む機会をつくるために。
「親衛隊サイトは外部からのアクセスは制限されている。検索サイトからは直接ログインページに辿り着けない。だから関係者のみアクセスできるページを吉良にバレないようにいじっちゃえばよかったから」
はぁ……。PCに疎い吉良にはさっぱりだ。
「生徒のIDは学生証の番号+学年毎の二桁のアルファベットだからすぐに想定できる。で、パスワードさえわかれば他の人の親衛隊数も閲覧可能になる。パスワードはたったの六桁だから解析ツールを使えばそれを突破するなんて造作ないんだ」
「隠岐、お前何してんだよ……」
そこまでして人の親衛隊数を知りたいか?!
「僕は吉良の親衛隊数が気になって、吉良のページに不正にアクセスした」
「は?!」
なんで俺の親衛隊サイトなんかを……。
「僕は最初、吉良を誰かにとられるなんて思ってもいなかった。だって吉良は安居院君とは違う、どこにでもいる男の子に見えたから僕は高を括っていたんだ。そうしたら半年も経たないうちに吉良の親衛隊数はものすごい数になっていって……」
隠岐は寂しそうな表情だ。
ああそうか。吉良に親衛隊がいることで、隠岐は友人が遠い存在に感じたのか。吉良が隠岐の活躍を目の当たりにして補習にも来なくなった隠岐のことを遠く感じたように。
それにしても。
「信じられねぇ。俺に親衛隊なんているんだな……」
隠岐の話によれば吉良が一年生の頃から親衛隊は既に存在していたようだ。三年になるまで親衛隊サイトを見たこともなかったから知らなかった。そして未だに信じられずにいる。
隠岐は「スマホを貸して」と吉良からスマホを受け取って、慣れた手つきで自身のスマホと繋げたあと、何かの作業を始めた。
「はい。これで元通りだよ」
隠岐からスマホを返された。
隠岐は吉良に親衛隊がいないと思い込ませ、安居院との仲が進展することを邪魔しようとしたのか。
確かに安居院の吉良に対する行為は、もしかしたら親衛隊なのでは思ってしまうくらいの愛情表現だった。でも隠岐の話によれば安居院は許婚候補と向き合う決意をしたらしい。隠岐が何もしなくても安居院はきちんと家の決まりに従うつもりだったのではないか。
「そこまでしなくても、俺と安居院がどうこうなるなんてことはねぇだろ」
隠岐は気を回しすぎだ。安居院ほどの男が吉良を選ぶわけがない。
「ははっ。そうだね。吉良は鈍いからね」
「おい、笑うなっ」
人をディスって笑うなよ。
「安居院君と姉貴の件は僕にとっての大義名分だから。姉貴のためだけじゃない、本当は自分のため。本当の理由を知ったら吉良は僕を嫌いになるよ」
「なんだよ、俺がそんな簡単にお前を嫌いになるわけないだろ」
人をみくびるなよ。そんな冷淡な人間じゃない。
それにしても隠岐はいったい何が目的だったんだ……?
どういうことだ……?
「吉良だろう? 吉良しかいない」
「いや俺は何も……」
「安居院君をずっと見てたらわかる。安居院君の気持ちを動かせるのは吉良しかいないんだ」
「まさか」
まったく隠岐はかいかぶりすぎだな。そんなことあるわけないだろ。
吉良の態度をみて、隠岐は「まぁ、僕も未だに信じられないけどね」と笑う。隠岐は笑うとえくぼができるせいか、幼く見える。
「でもさ、隠岐。余計なお世話かもしれないけど、お前はそれでいいのか?」
「ん?」
「だって……。お前だって安居院のこと……」
吉良には三人の関係性なんてわからない。でももしかしたら姉弟で同じ人を好きになってしまったのではないかと推察してしまう。
「確かに僕は安居院君のこと、ずっと好きだったよ」
やっぱりそうか。隠岐は安居院に特別な感情を抱いてるに違いないと思っていた。
「でもね、僕もびっくりした。こんなにも簡単に心変わりすることなんてあるんだなって、しかも安居院君とはまるで正反対の人なのにね」
「心変わり……?」
隠岐は今はもう安居院のことを諦めたのか……?
「とにかく僕の好きな人は安居院君じゃないよ。だから安居院君と姉貴がうまくいくことを心から願ってる」
「そうだったのか。俺、てっきりお前はずっと安居院のことが好きなのかとばっかり思っていたから……」
人の心は本当にわからない。友情、憧れ、恋愛感情。似て非なるものでその先の相手に対する視線の意味を推し量るのはすごく難しい。
「よかった。吉良が安居院君を『選ばない』でいてくれて。安居院君だけはダメなんだ。安居院君だって自分の立場はわかってると思うし、吉良と距離を置いてたみたいだけど、いざ二人が近づいたらまるで引き合うみたいに寄っていくからすごく怖くなった。なんとかしなくちゃいけないと思ったんだ」
以前、隠岐は吉良に「安居院君だけは選ばないでよね」と言っていた。あれは安居院の許婚候補である姉を思って言った言葉だったのか。
「だから何度も言わせるな。俺に親衛隊なんていないんだって」
吉良に『選ぶ』も何もないはずだ。それは誤解だと前にも隠岐に話したのに。
「いるよ。吉良には親衛隊がいる」
吉良と隠岐、ふたりの目の前に突然現れたのは鳴宮だ。
「鳴宮?!」
さっきまで舞台の上で歌ってた奴がなんでここに……。
「なっ! そうだよね、隠岐」
鳴宮は笑顔で隠岐に同意を求めるが、そんな鳴宮に対して隠岐は目を逸らした。
「俺ね、全部気付いてるの。ずっと見てたんだ。お前が部屋でコソコソやってたことも、それが終わったあと部屋を出ていって、廊下に吉良のスマホを放置してったのも知ってる」
「嘘でしょ。そうやって人を陥れるのやめてくんない? ていうか鳴宮は寮にほぼほぼいないじゃん」
寮で隠岐と鳴宮は同室だ。そして鳴宮は芸能活動のための特別外泊が許されており、部屋にいない日も多いようだ。
「あの日はいたんだ」
「えっ……」
「真っ暗闇のベランダに。隠岐は外までは確認しなかったでしょ。俺、隠岐は何やってんのかなって普通に見てたけど」
鳴宮の言葉に隠岐がハッとする。隠岐はそのまま言葉を返さない。
「さて、どうする? 俺の口から吉良に話そうか? それとも——」
「わかったよ、僕が話す」
隠岐は鳴宮の言葉を制する。鳴宮はそれでいいとばかり軽く二度頷いた。
「ごめん。吉良に白状する。吉良には親衛隊がいるんだよ」
隠岐は吉良に向き合い、どこか諦めたように謝罪を口にした。
「え……? いや、だって……」
「僕が細工した。吉良のスマホからは僕の作った偽サイトに繋がるようになってて、ログインしたら親衛隊の数がゼロになってる画面が表示されるようになってる」
「は?!」
「僕が吉良のスマホを盗んだんだ。寮の廊下で吉良にぶつかったときに、ポケットから抜きとった」
思い出した。あの時か。やっぱり隠岐はわざとぶつかってきたんだ。スマホを盗む機会をつくるために。
「親衛隊サイトは外部からのアクセスは制限されている。検索サイトからは直接ログインページに辿り着けない。だから関係者のみアクセスできるページを吉良にバレないようにいじっちゃえばよかったから」
はぁ……。PCに疎い吉良にはさっぱりだ。
「生徒のIDは学生証の番号+学年毎の二桁のアルファベットだからすぐに想定できる。で、パスワードさえわかれば他の人の親衛隊数も閲覧可能になる。パスワードはたったの六桁だから解析ツールを使えばそれを突破するなんて造作ないんだ」
「隠岐、お前何してんだよ……」
そこまでして人の親衛隊数を知りたいか?!
「僕は吉良の親衛隊数が気になって、吉良のページに不正にアクセスした」
「は?!」
なんで俺の親衛隊サイトなんかを……。
「僕は最初、吉良を誰かにとられるなんて思ってもいなかった。だって吉良は安居院君とは違う、どこにでもいる男の子に見えたから僕は高を括っていたんだ。そうしたら半年も経たないうちに吉良の親衛隊数はものすごい数になっていって……」
隠岐は寂しそうな表情だ。
ああそうか。吉良に親衛隊がいることで、隠岐は友人が遠い存在に感じたのか。吉良が隠岐の活躍を目の当たりにして補習にも来なくなった隠岐のことを遠く感じたように。
それにしても。
「信じられねぇ。俺に親衛隊なんているんだな……」
隠岐の話によれば吉良が一年生の頃から親衛隊は既に存在していたようだ。三年になるまで親衛隊サイトを見たこともなかったから知らなかった。そして未だに信じられずにいる。
隠岐は「スマホを貸して」と吉良からスマホを受け取って、慣れた手つきで自身のスマホと繋げたあと、何かの作業を始めた。
「はい。これで元通りだよ」
隠岐からスマホを返された。
隠岐は吉良に親衛隊がいないと思い込ませ、安居院との仲が進展することを邪魔しようとしたのか。
確かに安居院の吉良に対する行為は、もしかしたら親衛隊なのでは思ってしまうくらいの愛情表現だった。でも隠岐の話によれば安居院は許婚候補と向き合う決意をしたらしい。隠岐が何もしなくても安居院はきちんと家の決まりに従うつもりだったのではないか。
「そこまでしなくても、俺と安居院がどうこうなるなんてことはねぇだろ」
隠岐は気を回しすぎだ。安居院ほどの男が吉良を選ぶわけがない。
「ははっ。そうだね。吉良は鈍いからね」
「おい、笑うなっ」
人をディスって笑うなよ。
「安居院君と姉貴の件は僕にとっての大義名分だから。姉貴のためだけじゃない、本当は自分のため。本当の理由を知ったら吉良は僕を嫌いになるよ」
「なんだよ、俺がそんな簡単にお前を嫌いになるわけないだろ」
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