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四月 親衛隊は推しに選ばれるまでは想いを伝えてはいけないルール
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部屋に戻ると、楯山はこちらを背にしてベッドに寝ていた。
「楯山。寝てるのか……。ったく、制服のままで寝るなよ……」
楯山は疲れてる時、こうやって寝てしまう事がある。でもこれじゃ明日の準備も何も終わってないだろうから、いつも吉良は楯山を起こしてやっている。
「おいっ、楯山っ。ちゃんと着替えてから寝ろよっ」
いつものように楯山を揺り起こそうとするが、楯山の反応がない。
「おーい、た、て、や、ま!」
結構な強さで揺すってるので、起きないはずはない。なんか頑なにこっちを向かないようにしているような……。
「どうしたんだよっ」
楯山の様子を確認しようと、楯山のベッドにのり、楯山の顔を覗き込もうと——。
「え……?」
咄嗟に楯山は顔を隠したが、楯山は多分、泣いているように見えた。
「楯山、何があったんだよ……」
楯山が泣くところなんて見たことがない。よっぽどのことがあったに違いない。
「なぁ、楯山。いつもお前は俺の相談に乗ってくれるだろ? だから俺もお前の力になりたいんだよ。何があったかくらい、俺に話してみないか……?」
楯山からの反応は返ってこない。
「おい……」
楯山がこんなに落ち込むなんて相当だ。でもその理由を話してくれそうにない。
吉良はしばらくベッドの上に座り込んで、楯山の様子をじっと眺めていたが、やはり反応はなく、「話す気になったら話せよ」とその場を離れようとした時だ。
「吉良……」
楯山が喋った! 吉良はすぐさま振り返る。
「どうした……?」
背を向けたままの楯山に向かって優しく声をかける。
「俺、二年間もお前と同じ部屋で過ごしてきたのに……」
「そうだな。俺達、いつも一緒にいたよな」
それがどうした……? 楯山。お前か泣くほどの悩みは何か、ゆっくりでいいから教えてくれ。
「結構仲良くしてたつもりだったのに……」
うんうん。そうだなと吉良は頷く。
「吉良は、全然俺のこと……」
え……。
「もう限界だ……」
限界……? 何が……?
まさか、楯山の悩みの元凶は俺で、しかも俺は楯山から嫌われてる……?
俺の態度が悪かったから、さすがの楯山ももう同室は限界だって、俺と一緒に居たくないって、苦しんでるのか……?
楯山がゆっくりと起き上がった。そして苦しそうな表情で、吉良を見つめてきた。
「ごめん楯山。……お、お前が優しいから、俺きっとお前に甘え過ぎてたんだな……。図々しくてごめん。これからは俺の嫌なところ指摘してくれたらちゃんと直すから」
楯山に弁明する。今さら言っても遅いのかもしれないと思っても。
「吉良。違う。逆だろ。お前が俺の態度にムカついて、俺の手を振り払って部屋を飛び出して行ったんじゃないか……」
「え……?」
そうだ。川上が好きなくせに、俺にも優しく触れてくるから、居た堪れなくなって……。
「俺は吉良と過ごせて楽しかった。でもお前は俺のことを友達以上には思えないんだろ? それを別に責めてはない。仕方のないことだとわかってる。ただ……もう……俺は……」
友達以上には思えない……?
楯山にはもう川上がいるし……。
無二の親友になりたいってことなのか……?
「た、楯山、俺はこれからもお前の一番の親友でありたいと思ってるよ。だからお前と川上の事も応援するって決めたんだ。川上にはお前の気持ち、伝えてないのか……? お前ならきっと上手くいくよ」
「吉良? お前何言ってんの? 俺と川上?! あり得ねぇだろ。あいつと殴り合いになることはあっても、そんな関係になるわけないだろ!」
「だって今日、学校で……」
「学校? なんのことだ……?」
「放課後に……桜の木の下でさ、なんかお前ら二人、妙な雰囲気だったのを見かけてさ……」
「あ! あれ! あの時のことをお前勘違いして……」
「え? か、勘違い? 俺、川上がお前にこ、告白してるのかなって思って……。で、楯山もなんかデレてたし……」
「ばっ……! お前っ! あれは……」
「じゃあ二人で、何してたんだ……?」
二人とも、やけに嬉しそうにしてたのに結局なんだったというのだろうか。
「へっ……? あー、あのー……」
楯山の歯切れが悪い。珍しいことだ。
「何だよ」
「えっと……お、推し活?」
「推し活……?」
何だそれ。よくわからない。
「川上に頼まれて、ちょっとだけ俺の秘蔵コレクションを送信してやったんだよ……」
「秘蔵、コレクション……?」
「そ、そこには触れるなっ。とにかく、俺と川上は断じてそんな関係じゃないっ」
「ふーん……」
なんだか誤魔化された感じだが、まあいい。
楯山の好きな人は川上ではない、二人は付き合ってなどいない、ということだけはわかったから。
「吉良は誰かいねぇの? そういう人。親衛隊に入ってみよう的な」
「俺?」
どうなんだろう……。この学校にそういうものがあるのは知っているが、関わったことはない。
「俺は平凡だから、誰かに好かれることもないし、好きな人もいないよ。そういうのはもっとこう、余裕のある恵まれた奴らがすることだろ? 俺はこの学校にいられるだけで奇跡だから」
本当にそう思う。勉強についていくだけで必死で他に何をする余裕もない。そしてこの学校にいる、上流階級の奴らと友達ってだけで奇跡、ここで得た人脈こそ人生の宝物だ。
「吉良、お前ってマジで何も気付いていないのか?」
「ん……? なんのことだ……?」
「お前さ、親衛隊サイト見たことあるか?」
親衛隊サイトとは、この学校における、親衛隊の数を確認出来るサイトのことだ。吉良は親衛隊なんて自分にいるわけないと、この二年間、一度も見た事はなかった。
「ない」
「見てみろよ」
「見るだけ無駄だろ」
「いーから」
うるせぇな、どうせゼロ人だろと思いながら、スマホを取り出して、学校の生徒専用サイトからアクセスする。
え。
信じられない——。
初めて見たサイトなので、何かの見間違いなんじゃないかと目を疑ったが、間違いではなさそうだ。
「お前、いい加減自覚しろよ」
楯山は吉良に親衛隊がいることに気がついていたのか。
「俺に親衛隊なんていないと思ってた……。全然気が付かなかったよ……」
親衛隊は、公平を期すため、推しに『選ばれる』までは想いを伝えてはいけないというルールがあると聞いたことがある。だからこそ、吉良は全く気付けなかったし、今も親衛隊が誰なのかわからない。
「ところで何人いたんだ? 俺が把握してる以上かな」
「いや、これ、間違いだと思うから……」
そんなわけがない。だって吉良はこの学校で唯一の平凡だ。
吉良 琉平 親衛隊 28人
嘘だろ……。この学校のどこに28人も俺の親衛隊がいるんだよ……。
「楯山。寝てるのか……。ったく、制服のままで寝るなよ……」
楯山は疲れてる時、こうやって寝てしまう事がある。でもこれじゃ明日の準備も何も終わってないだろうから、いつも吉良は楯山を起こしてやっている。
「おいっ、楯山っ。ちゃんと着替えてから寝ろよっ」
いつものように楯山を揺り起こそうとするが、楯山の反応がない。
「おーい、た、て、や、ま!」
結構な強さで揺すってるので、起きないはずはない。なんか頑なにこっちを向かないようにしているような……。
「どうしたんだよっ」
楯山の様子を確認しようと、楯山のベッドにのり、楯山の顔を覗き込もうと——。
「え……?」
咄嗟に楯山は顔を隠したが、楯山は多分、泣いているように見えた。
「楯山、何があったんだよ……」
楯山が泣くところなんて見たことがない。よっぽどのことがあったに違いない。
「なぁ、楯山。いつもお前は俺の相談に乗ってくれるだろ? だから俺もお前の力になりたいんだよ。何があったかくらい、俺に話してみないか……?」
楯山からの反応は返ってこない。
「おい……」
楯山がこんなに落ち込むなんて相当だ。でもその理由を話してくれそうにない。
吉良はしばらくベッドの上に座り込んで、楯山の様子をじっと眺めていたが、やはり反応はなく、「話す気になったら話せよ」とその場を離れようとした時だ。
「吉良……」
楯山が喋った! 吉良はすぐさま振り返る。
「どうした……?」
背を向けたままの楯山に向かって優しく声をかける。
「俺、二年間もお前と同じ部屋で過ごしてきたのに……」
「そうだな。俺達、いつも一緒にいたよな」
それがどうした……? 楯山。お前か泣くほどの悩みは何か、ゆっくりでいいから教えてくれ。
「結構仲良くしてたつもりだったのに……」
うんうん。そうだなと吉良は頷く。
「吉良は、全然俺のこと……」
え……。
「もう限界だ……」
限界……? 何が……?
まさか、楯山の悩みの元凶は俺で、しかも俺は楯山から嫌われてる……?
俺の態度が悪かったから、さすがの楯山ももう同室は限界だって、俺と一緒に居たくないって、苦しんでるのか……?
楯山がゆっくりと起き上がった。そして苦しそうな表情で、吉良を見つめてきた。
「ごめん楯山。……お、お前が優しいから、俺きっとお前に甘え過ぎてたんだな……。図々しくてごめん。これからは俺の嫌なところ指摘してくれたらちゃんと直すから」
楯山に弁明する。今さら言っても遅いのかもしれないと思っても。
「吉良。違う。逆だろ。お前が俺の態度にムカついて、俺の手を振り払って部屋を飛び出して行ったんじゃないか……」
「え……?」
そうだ。川上が好きなくせに、俺にも優しく触れてくるから、居た堪れなくなって……。
「俺は吉良と過ごせて楽しかった。でもお前は俺のことを友達以上には思えないんだろ? それを別に責めてはない。仕方のないことだとわかってる。ただ……もう……俺は……」
友達以上には思えない……?
楯山にはもう川上がいるし……。
無二の親友になりたいってことなのか……?
「た、楯山、俺はこれからもお前の一番の親友でありたいと思ってるよ。だからお前と川上の事も応援するって決めたんだ。川上にはお前の気持ち、伝えてないのか……? お前ならきっと上手くいくよ」
「吉良? お前何言ってんの? 俺と川上?! あり得ねぇだろ。あいつと殴り合いになることはあっても、そんな関係になるわけないだろ!」
「だって今日、学校で……」
「学校? なんのことだ……?」
「放課後に……桜の木の下でさ、なんかお前ら二人、妙な雰囲気だったのを見かけてさ……」
「あ! あれ! あの時のことをお前勘違いして……」
「え? か、勘違い? 俺、川上がお前にこ、告白してるのかなって思って……。で、楯山もなんかデレてたし……」
「ばっ……! お前っ! あれは……」
「じゃあ二人で、何してたんだ……?」
二人とも、やけに嬉しそうにしてたのに結局なんだったというのだろうか。
「へっ……? あー、あのー……」
楯山の歯切れが悪い。珍しいことだ。
「何だよ」
「えっと……お、推し活?」
「推し活……?」
何だそれ。よくわからない。
「川上に頼まれて、ちょっとだけ俺の秘蔵コレクションを送信してやったんだよ……」
「秘蔵、コレクション……?」
「そ、そこには触れるなっ。とにかく、俺と川上は断じてそんな関係じゃないっ」
「ふーん……」
なんだか誤魔化された感じだが、まあいい。
楯山の好きな人は川上ではない、二人は付き合ってなどいない、ということだけはわかったから。
「吉良は誰かいねぇの? そういう人。親衛隊に入ってみよう的な」
「俺?」
どうなんだろう……。この学校にそういうものがあるのは知っているが、関わったことはない。
「俺は平凡だから、誰かに好かれることもないし、好きな人もいないよ。そういうのはもっとこう、余裕のある恵まれた奴らがすることだろ? 俺はこの学校にいられるだけで奇跡だから」
本当にそう思う。勉強についていくだけで必死で他に何をする余裕もない。そしてこの学校にいる、上流階級の奴らと友達ってだけで奇跡、ここで得た人脈こそ人生の宝物だ。
「吉良、お前ってマジで何も気付いていないのか?」
「ん……? なんのことだ……?」
「お前さ、親衛隊サイト見たことあるか?」
親衛隊サイトとは、この学校における、親衛隊の数を確認出来るサイトのことだ。吉良は親衛隊なんて自分にいるわけないと、この二年間、一度も見た事はなかった。
「ない」
「見てみろよ」
「見るだけ無駄だろ」
「いーから」
うるせぇな、どうせゼロ人だろと思いながら、スマホを取り出して、学校の生徒専用サイトからアクセスする。
え。
信じられない——。
初めて見たサイトなので、何かの見間違いなんじゃないかと目を疑ったが、間違いではなさそうだ。
「お前、いい加減自覚しろよ」
楯山は吉良に親衛隊がいることに気がついていたのか。
「俺に親衛隊なんていないと思ってた……。全然気が付かなかったよ……」
親衛隊は、公平を期すため、推しに『選ばれる』までは想いを伝えてはいけないというルールがあると聞いたことがある。だからこそ、吉良は全く気付けなかったし、今も親衛隊が誰なのかわからない。
「ところで何人いたんだ? 俺が把握してる以上かな」
「いや、これ、間違いだと思うから……」
そんなわけがない。だって吉良はこの学校で唯一の平凡だ。
吉良 琉平 親衛隊 28人
嘘だろ……。この学校のどこに28人も俺の親衛隊がいるんだよ……。
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