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    冬麻卯年LOVE作戦編6 ※

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 それからふたりは淫らな行為に没頭した。
 久しぶりにイき狂って、お互いの欲望を吐き出し合って、疲れ果てるまで激しく抱き合った。



 冬麻が目を覚ましたときには全裸で、同じく全裸で眠っている久我の腕に抱かれている状態だった。

 外はまだ暗いが、明け方のようで、少し明るくなってきており、視界は薄暗い。
 冬麻が身につけていたアダルトなグッズは布団の隅にまとめて追いやられているのが見えた。

 その恥ずかしいアイテムを見た途端に、さっきまでの情事に対する羞恥の気持ちが湧き上がってきた。
 恥ずかしいポーズや、卑猥な言葉。その他アレやコレ、今になって思い出すだけで顔から火が出そうなくらいだ。



 不意に冬麻を抱き締めていた久我の手にぎゅうっと力が入った。

「うぅん……」

 久我は冬麻の髪に顔を寄せてきた。どうやら久我も目を覚ましたようだ。

「俺、完全に冬麻のサプライズにやられたよ……」

 うわ、忘れたいと思っていたその話をするつもりなのか……?

「なにアレ可愛すぎるよ冬麻。俺、そういう趣味はないと自分で思ってたけど、すごく興奮した。新たな世界の扉を開いちゃったかもしれない……」
「はい?!」
「冬麻はコスプレとか、好き?」
「えっ……!」
「次はドクターとナース、いってみようか。それともご主人様とメイドにする?」
「あ、あの……それは……」

 男同士でコスプレエッチするのに、どっちがナース服やメイド服を着ることになるのでしょうか……。

「とりあえず露天風呂プレイ、しようか?」
「なんですか、それ……」

 さっきまで散々抱き合ってたくせに、久我はまだやる気なのだろうか。

「大丈夫。ちょっと恥ずかしいだけ。でもそれも淫らになればすぐに忘れちゃうから」

 やっぱり淫らな行為なんじゃないか! いったい何をされるのだろう……。

「冬麻、大好き。心から愛してる。俺、好きになったのが冬麻で本当によかった。冬麻といると毎日楽しくて仕方がない」
「ングッ……!」

 久我に、息が止まるくらいぎゅっと強く抱き締められる。

「あぁ、もう本当に大好きだ!」

 冬麻の髪に、久我のキスの嵐だ。何度もリップ音を立ててチュッチュッとキスされて、めちゃくちゃ久我に愛でられる。

 そのうち唇同士のキスが始まり、一度は冷めたはずの身体が、触れ合ううちに再び熱を帯びてきた。



「く、久我さん……実は俺、まだ用意していたものがあって……さっきは結局必要なかったから出さなかったんですけど……」
「え! まだあるの?!」
「はい……」

 エロ下着サイトを見ていたときに、つい気になって購入したものがある。
 アダルトなグッズなんてサイトを覗くまで知らなかったが、冬麻には久我というパートナーがいるんだし、ちょっと試してみたくなったものだ。

 冬麻は近くに置いた自分の鞄からゴソゴソとそのボトルを取り出した。

「媚薬ローション……」

 冬麻が呟くと、久我が目をしばたかせた。

「それ、冬麻が買ったの……?!」
「はい……あの、お互いが気持ちよくなるって書いてあったから……どんなものかと……」

 別にいまのセックスに満足していないわけじゃない。ウサギ下着セットと一緒に買えば送料無料になるし、勢いでポチッてしまったものだ。

「待ってよ冬麻。冬麻って実はエッチなこと好きなの?! こんな純情そうな顔して……」
「好きです……だって久我さんとするの、いつもすごく気持ちいいから……」

 久我の顔も見れないくらいに恥ずかしいと思ったが、なぜか今は自分がすごく開放的な気持ちになっていた。エロ下着姿の自分を乗り越えて、久我に恥ずかしいことを伝えることができるようになったのかもしれない。


「やばい。過去最高に俺はやばい。冬麻。早速試してみよう!」
「え! 今からですか?!」
「うん。俺は今すぐしたくてたまらない。しかも冬麻にお願いがある」

 久我の目は真剣そのものだ。こんなに真剣にものを頼まれたことなどないのではないか。

「な、なんですか……?」
「さっきのエロ下着。もう一回つけて欲しい。必ずウサ耳付きで。それと媚薬ローションとセットでやってみよう」
「またですか?!」

 そんなにお気に召してくれたのなら嬉しいが、あの痴態をもう一回……。

「冬麻。お願いだ。つけてくれたら俺はなんでもするから!」
「なんでもって……」

 いや、エロ下着にそこまで情熱を注いでくれなくていいのに……。

「久我さん、あれはもう、ちょっと無理です……色々汚れちゃいましたし……」

 冬麻が断ると、久我が残念そうな顔をする。
 この世の終わりみたいな顔をしている久我に、あとひとつ教えなければならない事実がある。




「あの……白でもいいですか?」
「白?!」
「あれの、色違いの白……」
「色違い?! まさか白もあるの?!」
「はい……白が黒か迷ってしまって……両方買いました」

 冬麻の目の前の久我はなぜか悶絶している。

「今日の俺は冬麻に完全にやられた……」

 これは、サプライズ成功ってことでいいのか……?

「もちろん白でいい。いや、白がいい。黒もいいけど清廉潔白な白もいい」

 いや、全然清廉潔白じゃない。どちらかと言えば私欲に溢れているアイテムだ。

「あー! 早く! 早くやりたい! 俺も冬麻が白ウサギに変身するの手伝うから!」
「えっ……! いや、俺またひとりで風呂入って着替えてきますから……」
「駄目だよ冬麻。今度こそ俺と一緒に入ろう。露天風呂エッチからの白ウサギ媚薬ローションのフルコンボでいこう!」

 そのフルコンボに、俺は耐えられるのだろうか……。


「ほら、お風呂行こう?」
「立てません……連れてって……」

 布団から起き上がるのが面倒だからそう言うと、久我は意を汲んで冬麻をいつもの横抱きにしてくれた。

「好き」

 冬麻は久我の首に腕を回してつかまって、身体を預ける。
 仕事上では社長でも、プライベートになると、冬麻の我儘をたくさん聞いてくれるところが好きだ。

「俺もだよ」

 こんな甘い雰囲気の中、連れて行かれたのに、まさかその後にあそこまで壮絶なコンボが待ち受けていようとはこのときの冬麻は微塵も思わなかった。


 ——完。
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