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81.嫁ですか ※ (挿絵あり)
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新婚旅行は、こんなにずっと恋人とベタベタするものなのだろうか。
フランスからスペインへと移り、ジローナにある世界最高峰のレストランで食事をした帰り道、久我と手を繋ぎながらホテルの部屋に戻った。
部屋に入るなり、「最高の気分だ」と久我にキスをされる。
「俺の夢がまたひとつ叶ったよ」
久我は嬉々として冬麻を抱き締めてきた。
「久我さんの夢、ですか?」
「ああ。最高の料理を最高の人と食べる夢」
「なんですかそれ……」
「最高のレストランに、冬麻とふたりで行けたらなとずっと願ってたんだ。それが叶ったんだから、俺は今すごく幸せだ……」
そんなに喜んでくれるなんて、なんか少し照れてしまう。
「ジローナのレストランは俺の憧れのレストランで、俺の目の前にいて、一緒にテーブルを囲んでいるのは俺の大好きな冬麻。しかも冬麻は俺を見て、笑ってくれる。俺、泣きそうなくらい嬉しい……」
そんなことを言う久我を見上げると、本当に目が潤んでいる。
「もう……ワインの飲み過ぎですよ」
久我は酔っぱらいすぎて、少し感傷的な気分になっているのかもしれない。
「よかったです。久我さんの夢が叶ったみたいで。俺も久我さんに喜んでもらえて、美味しいものも食べられたし、すごく楽しかったです」
ふたりで一緒にいることで、お互いが幸せだと思うなら、もうずっとそばにいるしかない。
ベッドで裸になって、愛撫とキスを繰り返したあと、今夜は冬麻が久我の身体の上に跨った。
すごく恥ずかしいが、久我の見ている前で両脚を開き、久我のものを自分自身で秘部に当てがう。
「あっ……あぁ、あっ……」
ローションで濡れたそこがズブズブと久我を咥えていく。自分の中が満たされていく感覚は何度感じてもたまらない気持ちになる。
この行為はとても淫乱に思える。男の上に乗って、自分の気持ちよくなるところへ当たるように腰を動かし、快感を求めていく。一種の自慰みたいな気持ちにもなるのだが、気持ちがいいのは冬麻だけじゃないみたいだ。久我も「すごくいい……」と吐息をもらしている。
「久我さんも気持ちいいですか……?」
自分ばかりがよくても嫌だ。久我にも気持ちよくなって欲しい。でも、冬麻は自分からこういうことをした経験が乏しくこれでいいのかすごく不安だ。
「俺の上で冬麻がこんなエッチなことしてくれるなんてたまらない。すごく可愛い」
久我は恍惚とした表情を浮かべている。やっぱり恥ずかしくなるが、いつも久我にされてばかりなので、今夜は冬麻が久我を良くしてあげられているのではと少しだけ嬉しくもある。
「冬麻のここのライン。すごく綺麗だ」
久我は冬麻の腰を両手で掴み、サワサワと撫でてくる。すっかり敏感になった冬麻はそれだけの刺激でビクッと身体を震わせた。
「冬麻。やばい。気持ちいい……」
久我は冬麻を促して、動きをより激しくしようとする。
「ああっ! はぁ……はぁ……」
久我の手で強制的に腰を動かされて、最奥を何度も突かれ、冬麻はその刺激に耐えきれず久我の上に身体を倒した。
そのままぎゅっと抱きしめられ、呆気なく身体を返され、久我に組み敷かれた。
「冬麻は可愛すぎる。俺を欲しがって冬麻の中に入れてくれるなんてなんのご褒美なの? 俺、どうにかなりそうだ」
久我が強く冬麻を求めてくる。
「あっ……! 待って、それやば——」
冬麻のそこを握られて、久我の手腕で捌かれて、同時に中のいいところを突かれて一気に快感の波に呑まれていく。
「あっ、駄目っ……イくっ……イっちゃうから……っ」
組み敷かれて、秒でイかされるなんてやばすぎる。
「冬麻。イって。俺も実はやばいから。さっきの冬麻の姿がエロ過ぎた」
なんてことを言うんだ。さっきの痴態はキレイさっぱり忘れて欲しいのに。
「ああ……っ!」
冬麻は耐えきれずに絶頂を迎えた。久我も冬麻の中に自らを放つ。
今日もゴムなしで中に放たれ、久我が自身を引き抜くとき、冬麻のそこからローションに混じって久我の性液が溢れ出た。
危険だ。これはよくない。最近ナマですることに抵抗がなくなってきている。
久我はいつもそれらを掻き出すようにして丁寧に処理してくれるが、そうされることも恥ずかしいし、なによりいけないことをしているのではと背徳感に襲われる。
「冬麻……? 大丈夫?」
冬麻が下腹部を気にしていたら久我に心配されてしまった。
「いえ、なんか、終わったあとも久我さんが俺の中にいるみたいな気持ちになって……」
痛いわけでも、違和感があるわけでもない。なんだか特別な感覚だ。
「辛かったらなんでも言って。冬麻の嫌がることだけは絶対にしたくないから……」
久我は冬麻の頬をそっと撫でる。
「はい。久我さんは優しすぎるくらいだから大丈夫ですよ……。でもすごく恥ずかしいというか、俺は男なんですけど、なんか、久我さんの嫁になった気分です……」
これじゃラブラブな新婚夫婦だ。ハネムーンベイビーなんて言葉があったな、なんてことを思い出した。
「うん。冬麻は俺のお嫁さんだよ。俺の一生をかけて大切にするから、ずっと一緒にいよう」
久我に後ろから抱き締められる。ああもう駄目だ。嫁ぐ制度があったら、とっくにこの人のもとに嫁いでるな、なんてくだらないことを考えてしまった。
「俺もう駄目です……」
「え? 何が駄目なの……?」
久我に聞き返されても冬麻は恥ずかしくて答えられない。
——久我さん。
こんなに愛されたら俺、妊娠しちゃいそうです……。
——完。
フランスからスペインへと移り、ジローナにある世界最高峰のレストランで食事をした帰り道、久我と手を繋ぎながらホテルの部屋に戻った。
部屋に入るなり、「最高の気分だ」と久我にキスをされる。
「俺の夢がまたひとつ叶ったよ」
久我は嬉々として冬麻を抱き締めてきた。
「久我さんの夢、ですか?」
「ああ。最高の料理を最高の人と食べる夢」
「なんですかそれ……」
「最高のレストランに、冬麻とふたりで行けたらなとずっと願ってたんだ。それが叶ったんだから、俺は今すごく幸せだ……」
そんなに喜んでくれるなんて、なんか少し照れてしまう。
「ジローナのレストランは俺の憧れのレストランで、俺の目の前にいて、一緒にテーブルを囲んでいるのは俺の大好きな冬麻。しかも冬麻は俺を見て、笑ってくれる。俺、泣きそうなくらい嬉しい……」
そんなことを言う久我を見上げると、本当に目が潤んでいる。
「もう……ワインの飲み過ぎですよ」
久我は酔っぱらいすぎて、少し感傷的な気分になっているのかもしれない。
「よかったです。久我さんの夢が叶ったみたいで。俺も久我さんに喜んでもらえて、美味しいものも食べられたし、すごく楽しかったです」
ふたりで一緒にいることで、お互いが幸せだと思うなら、もうずっとそばにいるしかない。
ベッドで裸になって、愛撫とキスを繰り返したあと、今夜は冬麻が久我の身体の上に跨った。
すごく恥ずかしいが、久我の見ている前で両脚を開き、久我のものを自分自身で秘部に当てがう。
「あっ……あぁ、あっ……」
ローションで濡れたそこがズブズブと久我を咥えていく。自分の中が満たされていく感覚は何度感じてもたまらない気持ちになる。
この行為はとても淫乱に思える。男の上に乗って、自分の気持ちよくなるところへ当たるように腰を動かし、快感を求めていく。一種の自慰みたいな気持ちにもなるのだが、気持ちがいいのは冬麻だけじゃないみたいだ。久我も「すごくいい……」と吐息をもらしている。
「久我さんも気持ちいいですか……?」
自分ばかりがよくても嫌だ。久我にも気持ちよくなって欲しい。でも、冬麻は自分からこういうことをした経験が乏しくこれでいいのかすごく不安だ。
「俺の上で冬麻がこんなエッチなことしてくれるなんてたまらない。すごく可愛い」
久我は恍惚とした表情を浮かべている。やっぱり恥ずかしくなるが、いつも久我にされてばかりなので、今夜は冬麻が久我を良くしてあげられているのではと少しだけ嬉しくもある。
「冬麻のここのライン。すごく綺麗だ」
久我は冬麻の腰を両手で掴み、サワサワと撫でてくる。すっかり敏感になった冬麻はそれだけの刺激でビクッと身体を震わせた。
「冬麻。やばい。気持ちいい……」
久我は冬麻を促して、動きをより激しくしようとする。
「ああっ! はぁ……はぁ……」
久我の手で強制的に腰を動かされて、最奥を何度も突かれ、冬麻はその刺激に耐えきれず久我の上に身体を倒した。
そのままぎゅっと抱きしめられ、呆気なく身体を返され、久我に組み敷かれた。
「冬麻は可愛すぎる。俺を欲しがって冬麻の中に入れてくれるなんてなんのご褒美なの? 俺、どうにかなりそうだ」
久我が強く冬麻を求めてくる。
「あっ……! 待って、それやば——」
冬麻のそこを握られて、久我の手腕で捌かれて、同時に中のいいところを突かれて一気に快感の波に呑まれていく。
「あっ、駄目っ……イくっ……イっちゃうから……っ」
組み敷かれて、秒でイかされるなんてやばすぎる。
「冬麻。イって。俺も実はやばいから。さっきの冬麻の姿がエロ過ぎた」
なんてことを言うんだ。さっきの痴態はキレイさっぱり忘れて欲しいのに。
「ああ……っ!」
冬麻は耐えきれずに絶頂を迎えた。久我も冬麻の中に自らを放つ。
今日もゴムなしで中に放たれ、久我が自身を引き抜くとき、冬麻のそこからローションに混じって久我の性液が溢れ出た。
危険だ。これはよくない。最近ナマですることに抵抗がなくなってきている。
久我はいつもそれらを掻き出すようにして丁寧に処理してくれるが、そうされることも恥ずかしいし、なによりいけないことをしているのではと背徳感に襲われる。
「冬麻……? 大丈夫?」
冬麻が下腹部を気にしていたら久我に心配されてしまった。
「いえ、なんか、終わったあとも久我さんが俺の中にいるみたいな気持ちになって……」
痛いわけでも、違和感があるわけでもない。なんだか特別な感覚だ。
「辛かったらなんでも言って。冬麻の嫌がることだけは絶対にしたくないから……」
久我は冬麻の頬をそっと撫でる。
「はい。久我さんは優しすぎるくらいだから大丈夫ですよ……。でもすごく恥ずかしいというか、俺は男なんですけど、なんか、久我さんの嫁になった気分です……」
これじゃラブラブな新婚夫婦だ。ハネムーンベイビーなんて言葉があったな、なんてことを思い出した。
「うん。冬麻は俺のお嫁さんだよ。俺の一生をかけて大切にするから、ずっと一緒にいよう」
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「俺もう駄目です……」
「え? 何が駄目なの……?」
久我に聞き返されても冬麻は恥ずかしくて答えられない。
——久我さん。
こんなに愛されたら俺、妊娠しちゃいそうです……。
——完。
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