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77.抗議

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「久我さん。ずるいです!」

 行為のあとすぐに冬麻は抗議した。

「あんなふうに名前を呼ばせるなんて……」

 最中は、我慢できずに思わず名前を呼んでしまったが、終わったあとであんな恥ずかしい目に遭わされたことに羞恥の気持ちが芽生えてきた。




「ごめん冬麻。つい……」
「ついってなんですか!」

 冬麻は久我にキツイ視線を向ける。

「だって冬麻が可愛すぎるから……」

 久我はかなり落ち込んでいる。さっきから冬麻に謝りっぱなしだ。
 どこも謝る必要なんてないのに。


「久我さんのバカ! 意地悪! 俺にキスしてくれないと許さない!」
「……へっ?」

 久我がものすごく驚いている。それもそうだろう。冬麻を怒らせたと思ってたみたいだから。

「ついでにぎゅっとして? そしたら許してあげてもいいけ——」

 冬麻が言い終わらないうちに久我に抱き締められ、チュッと音を立ててキスをされる。


「これでいい?」

 久我に微笑みかけられるとドキッとする。はぁ、もうイケメンはどんな表情でもイケメンだから目のやり場に困る。

「駄目。もう一回です」

 さっきのキスはすごくよかった。だからもう一回して欲しい。

 久我はもう一度、冬麻を抱き締め、ゆっくりと冬麻にキスをする。
 冬麻が要求すると言うとおりになんでもしてくれる久我が、なんだか従順な飼い犬みたいに可愛らしく思えてきた。


「次は俺の頭をなでなでしてください」

 と、冬麻が言うと久我は冬麻の頭を優しくなでてくれる。

「あと、好きって言って欲しいです」

 と、冬麻が言うと「冬麻、好きだよ」と耳元で囁かれる。

「他には? 俺に何して欲しい?」

 冬麻は「じゃあ——」と少し考える。

「ずっとこうしていたいです。ずっと俺のそばにいてください」

 冬麻は久我の身体に身を寄せる。ふたりともなにも身につけていないから、互いの肌と肌が触れ合い、それをとても心地よく感じる。

「わかった。俺はずっと冬麻のそばにいるよ」

 久我も冬麻のほうへと身体を寄せ、冬麻の身体をそっと包み込んできた。
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