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53.伝わらない? ※
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スイートルームで恋人とふたりきりの夜。何も言わなくても目が合うだけで甘い時間になるに決まっているシチュエーション。
「冬麻。いいんだよね……?」
ベッドの上、久我に組み敷かれるような格好で、久我に言われて冬麻は頷いた。
「本当に、いいの?」
久我はどこか不安そうだ。久我とは数えきれないくらい身体を重ねてきたのだから、もはやスキンシップのひとつみたいなものだと冬麻は思っているのに。
冬麻が久我の身体を自分に引き寄せるように久我の首に両腕を回すと、やっと久我が冬麻の唇にキスをした。
「……んっ……あっ……」
冬麻が吐息を漏らすと、その隙に久我が冬麻の口内に侵入してくる。口蓋まで舐められ、すべてを奪われるような久我の少し強引なキスはたまらなくいい。
唇を重ねたまま、久我が冬麻の身体を確かめるように撫で回す。久我に触れられ、キスをされ、冬麻の身体は次第に熱を帯びてくる。
久我に求められると、自分は久我に必要とされていると思えてきて、嬉しくなる。
下着に手をかけられ、あっという間にそれらを取り払われ、直に握られる。
「あっ……はぁっ……」
久我は冬麻がどこをどうされたいのか全部知っている。久我の手により、あっという間に勃ち上がり、全身が痺れるくらいの快感にのまれていく。
「冬麻。気持ちいい?」
久我は冬麻の乳首にキスしたあとそこへ愛撫を続ける。
散々身体を愛撫されたあと、冬麻の期待どおりに久我は冬麻の足を開き、後孔をローションとともに弄る。
いつも久我は丁寧にそこを解してくれる。優しすぎて冬麻が焦ったくなるくらいだ。きっと冬麻がちゃんと気持ちよくなれるよう配慮してくれているのだろう。その気遣いも素直に嬉しいと思う。
「ああっ……!」
冬麻は突然身体を震わせる。久我の指でそこに触れられると、全身に快楽の波が押し寄せてきた。
「はぁっ……! 久我さ、気持ちい……」
やばいやばい。もうイってしまいそうだ。
「冬麻。もっと気持ち良くなって」
既に限界なのに、久我の手でそれを掌握されたらひとたまりもない。
「あっ……! 待って、むり……イっちゃうから……」
「イっていいよ」
そんな言葉を囁かれても困る。冬麻としてはそれは不本意だから。
「久我さん、お願い……」
冬麻は久我の下半身に手を伸ばす。
「はやく、きて……俺もうやばいから……」
冬麻がねだると、久我は応えてくれた。
久我と繋がる瞬間。
たまらなくなり、声が漏れる。
「冬麻。好きだ」
久我に抱かれて、愛を囁かれて、もう何も考えられなくなる。
互いのみっともない、こんな淫らな姿をさらけ出しているのに愛おしいと思うのはどうしてだろう。
「好きだよ。冬麻。愛してる。好きだ。好きだ。好きだ……」
冬麻のことをこんなにも愛してくれる人は他にいない。
できることならずっと一緒にいたい。
「あっ……はぁ……久我さんっ……久我さんっ……」
この人が欲しくてたまらない。全部欲しい。心も身体も全部——。
「冬麻……」
夜中に、名前を呼ばれた気がして目が覚める。冬麻の名前を呼んでいるのは隣で眠っている久我だ。
「とう……ま……」
悲痛な声。久我のほうを振り返ると、久我は悪い夢でも見ているのか、眉間にしわをよせ、うなされている。
——どうしたんだろう……。
不眠がちな久我も、最近は「冬麻が一緒だとよく眠れるんだ」と言って穏やかに眠ることが多かったのに。
昨日の梶ヶ谷との電話のことを思い出した。久我は、冬麻には見せないけれど、何か悩んでいることがあるのかもしれない。
久我は社長業だから、人一倍大変なことは多いのだろう。
「俺はここにいますよ」
冬麻が久我の額に軽くくちづけ、久我の肩を撫でると少し久我の表情が和らいだ気がする。
「久我さん」
冬麻は久我の身体に身を寄せる。触れ合っていれば夢でも冬麻を見失うことはないかな、なんて思った。
「ずっとそばにいますから」
久我はいつも冬麻を助けてくれる。冬麻もそんな久我を支えたいと思っている。
冬麻ができることなんてなにもないとわかっているけれども。
「好きです……大好き……」
冬麻は最愛の恋人の左腕に額を寄せ、その腕をそっと両手で包み込んだ。
「久我さんてこんなに甘えんぼでしたか?」
「うん。冬麻から離れたくないの」
久我は朝から冬麻にべったりだ。
九時になったので、冬麻がホテルのダイニングテーブルに上にPCや資料を広げて仕事を開始していたら、久我が寄ってきて隣の椅子に座り、冬麻を横から抱き締めてきた。
久我の髪がさわさわと頬に当たってくすぐったいし、抱きつかれているとどうも気になって仕事に集中できない。
この状態がかれこれ二十分は続いている。
「十時から、リモート会議なんですよね?」
久我は会議のホストだ。こんなことしていないでホストとして事前に準備することはないのかと叱ってやりたい。
「このまま出席する」
「はい?!」
「だって離れたくない……」
「何言ってるんですか! 離れてくださいね!」
きっと冗談だと冬麻も思っているが、久我は時々冗談じゃすまないこともあるので恐ろしい。
「じゃあ会議に出ない」
「久我さんが欠席したら会議自体がなくなっちゃいますよ! みんな社長にプレゼンしたくて準備してるのに駄目です!」
立場を問わず社内からアイデアを募り、社長をはじめ、幹部の者に社内プレゼンする企画だ。そこに久我がいなかったら成り立たない。
「久我さんがリモート参加になったって伝えただけでも残念がって、直接社長に会いたかったって言ってた人もいたんですよ?」
久我の顔を見ながらビシッと言ってやろうと冬麻が久我を振り返った瞬間。
振り返りざま、久我に唇を奪われた。
「……んっ……」
久我の両手で頭をがっちり抑えられているので逃げられず、何度もキスをされる。
「離しっ……あっ……」
キスは激しくなっていく。
久我の止まないキス。いつもとは違って、必死で冬麻を求めるかのような荒々しく野蛮なキス。
冬麻はそれを受け入れ、息をするのが精一杯だ。
「やめっ……はぁっ……」
息が苦しい。朝からどうしてこんな目に遭っているんだろう。
「久我さんってば!」
あまりにしつこいので久我の頭をつかんで引き離そうとしたら、久我が冬麻から離れてくれた。
「久我さん、どうしたんですか?! 可笑しいですよ?!」
「可笑しい……?」
「はい。いつもだったら俺の嫌がることしないじゃないですか。久我さんらしくないですっ……」
冬麻のその言葉を聞いた瞬間、久我はスッと身をひいた。
「嫌だったんだ……ごめん……」
久我は力なく言い、立ち去っていく。その背がやけにさみしそうに見えて胸騒ぎがした。
——まさか変な誤解をしてないよな。
久我からのキスとかスキンシップが嫌なわけじゃない。仕事中なのに、それが過度だったから嫌だと思っただけだ。
でも、もし、久我のそういう行為を嫌がってると勘違いされたら……?
こんなことで久我が冬麻に触れてくれなくなったら……。
冬麻は立ち上がり、久我を追いかける。
「久我さんっ……!」
声をかけたかったが、久我は仕事の電話をしていることに気がついてそれ以上の言葉は口をつぐんだ。
「いいよ。……そうだな、それでいこう」
仕事の電話中に邪魔をしてはいけないと思っているが、冬麻は久我の正面からゆっくりと近づいていく。
久我も電話をしながらも冬麻に気がついて驚き、目をしばたかせている。
冬麻は何も言わずにそっと久我に身体を寄せて、久我に抱きついた。
話はできなくても、気持ちをわかって欲しくて。
久我も左腕で冬麻の背を撫でてくれている。突然抱きついてきた冬麻のことを受け入れてくれているようだ。背中に感じるその手のぬくもりがすごく心地よい。
「それは、実際見てから考える。だが君が目をかけているということはそれだけで評価に値するから、事前にそれを知れてよかったよ」
久我が声を発すると、震える久我の声帯の振動が伝わってきて久我のすぐ近くにいるんだなと実感する。
通話が終わるなり、久我は冬麻の顔を覗き込んできた。
「冬麻、びっくりしたよ!」
「ごめんなさい。でも、なんか……心配になって……」
「心配?」
「あの……さっきの話で……誤解されてなかったらべっ、別にいいんですけど……」
「うん?」
「い、嫌ってキスが嫌とかそういう意味じゃないですからねっ!」
冬麻は久我を見上げる。
「仕事中にあまりくっ付かれたりそういうことされると、集中できないし、なんか……変な気持ちになっちゃうから……やめてほしいっていう意味で……あの……久我さんのことが嫌いなわけないのにそう思われたらさみしいなって思って……」
「冬麻……」
久我はものすごく嬉しそうな顔をして、冬麻の髪を撫でた。
「俺が誤解したかもって心配して俺のところにきてくれたの?」
「はい……俺こそ仕事の邪魔してすみません……」
「邪魔なんてことあるわけない。それ、俺が一番して欲しいこと。今の俺、どれだけやばいかわかる? 冬麻は全然自覚ないみたいだけど、冬麻にそんな可愛いこと言われたら、俺はもう死ぬほど嬉しいんだから!」
「はっ……?」
なんだかわからないが、久我にものすごく喜ばれている。
「冬麻。ありがとう」
久我は冬麻の額に軽くくちづけた。
「俺、冬麻のこと信じてるから……」
「えっ……?」
信じるって……何を……?
「あー、もう十時だ!」
久我は慌てて仕事の準備に取りかかり始めた。
「冬麻。いいんだよね……?」
ベッドの上、久我に組み敷かれるような格好で、久我に言われて冬麻は頷いた。
「本当に、いいの?」
久我はどこか不安そうだ。久我とは数えきれないくらい身体を重ねてきたのだから、もはやスキンシップのひとつみたいなものだと冬麻は思っているのに。
冬麻が久我の身体を自分に引き寄せるように久我の首に両腕を回すと、やっと久我が冬麻の唇にキスをした。
「……んっ……あっ……」
冬麻が吐息を漏らすと、その隙に久我が冬麻の口内に侵入してくる。口蓋まで舐められ、すべてを奪われるような久我の少し強引なキスはたまらなくいい。
唇を重ねたまま、久我が冬麻の身体を確かめるように撫で回す。久我に触れられ、キスをされ、冬麻の身体は次第に熱を帯びてくる。
久我に求められると、自分は久我に必要とされていると思えてきて、嬉しくなる。
下着に手をかけられ、あっという間にそれらを取り払われ、直に握られる。
「あっ……はぁっ……」
久我は冬麻がどこをどうされたいのか全部知っている。久我の手により、あっという間に勃ち上がり、全身が痺れるくらいの快感にのまれていく。
「冬麻。気持ちいい?」
久我は冬麻の乳首にキスしたあとそこへ愛撫を続ける。
散々身体を愛撫されたあと、冬麻の期待どおりに久我は冬麻の足を開き、後孔をローションとともに弄る。
いつも久我は丁寧にそこを解してくれる。優しすぎて冬麻が焦ったくなるくらいだ。きっと冬麻がちゃんと気持ちよくなれるよう配慮してくれているのだろう。その気遣いも素直に嬉しいと思う。
「ああっ……!」
冬麻は突然身体を震わせる。久我の指でそこに触れられると、全身に快楽の波が押し寄せてきた。
「はぁっ……! 久我さ、気持ちい……」
やばいやばい。もうイってしまいそうだ。
「冬麻。もっと気持ち良くなって」
既に限界なのに、久我の手でそれを掌握されたらひとたまりもない。
「あっ……! 待って、むり……イっちゃうから……」
「イっていいよ」
そんな言葉を囁かれても困る。冬麻としてはそれは不本意だから。
「久我さん、お願い……」
冬麻は久我の下半身に手を伸ばす。
「はやく、きて……俺もうやばいから……」
冬麻がねだると、久我は応えてくれた。
久我と繋がる瞬間。
たまらなくなり、声が漏れる。
「冬麻。好きだ」
久我に抱かれて、愛を囁かれて、もう何も考えられなくなる。
互いのみっともない、こんな淫らな姿をさらけ出しているのに愛おしいと思うのはどうしてだろう。
「好きだよ。冬麻。愛してる。好きだ。好きだ。好きだ……」
冬麻のことをこんなにも愛してくれる人は他にいない。
できることならずっと一緒にいたい。
「あっ……はぁ……久我さんっ……久我さんっ……」
この人が欲しくてたまらない。全部欲しい。心も身体も全部——。
「冬麻……」
夜中に、名前を呼ばれた気がして目が覚める。冬麻の名前を呼んでいるのは隣で眠っている久我だ。
「とう……ま……」
悲痛な声。久我のほうを振り返ると、久我は悪い夢でも見ているのか、眉間にしわをよせ、うなされている。
——どうしたんだろう……。
不眠がちな久我も、最近は「冬麻が一緒だとよく眠れるんだ」と言って穏やかに眠ることが多かったのに。
昨日の梶ヶ谷との電話のことを思い出した。久我は、冬麻には見せないけれど、何か悩んでいることがあるのかもしれない。
久我は社長業だから、人一倍大変なことは多いのだろう。
「俺はここにいますよ」
冬麻が久我の額に軽くくちづけ、久我の肩を撫でると少し久我の表情が和らいだ気がする。
「久我さん」
冬麻は久我の身体に身を寄せる。触れ合っていれば夢でも冬麻を見失うことはないかな、なんて思った。
「ずっとそばにいますから」
久我はいつも冬麻を助けてくれる。冬麻もそんな久我を支えたいと思っている。
冬麻ができることなんてなにもないとわかっているけれども。
「好きです……大好き……」
冬麻は最愛の恋人の左腕に額を寄せ、その腕をそっと両手で包み込んだ。
「久我さんてこんなに甘えんぼでしたか?」
「うん。冬麻から離れたくないの」
久我は朝から冬麻にべったりだ。
九時になったので、冬麻がホテルのダイニングテーブルに上にPCや資料を広げて仕事を開始していたら、久我が寄ってきて隣の椅子に座り、冬麻を横から抱き締めてきた。
久我の髪がさわさわと頬に当たってくすぐったいし、抱きつかれているとどうも気になって仕事に集中できない。
この状態がかれこれ二十分は続いている。
「十時から、リモート会議なんですよね?」
久我は会議のホストだ。こんなことしていないでホストとして事前に準備することはないのかと叱ってやりたい。
「このまま出席する」
「はい?!」
「だって離れたくない……」
「何言ってるんですか! 離れてくださいね!」
きっと冗談だと冬麻も思っているが、久我は時々冗談じゃすまないこともあるので恐ろしい。
「じゃあ会議に出ない」
「久我さんが欠席したら会議自体がなくなっちゃいますよ! みんな社長にプレゼンしたくて準備してるのに駄目です!」
立場を問わず社内からアイデアを募り、社長をはじめ、幹部の者に社内プレゼンする企画だ。そこに久我がいなかったら成り立たない。
「久我さんがリモート参加になったって伝えただけでも残念がって、直接社長に会いたかったって言ってた人もいたんですよ?」
久我の顔を見ながらビシッと言ってやろうと冬麻が久我を振り返った瞬間。
振り返りざま、久我に唇を奪われた。
「……んっ……」
久我の両手で頭をがっちり抑えられているので逃げられず、何度もキスをされる。
「離しっ……あっ……」
キスは激しくなっていく。
久我の止まないキス。いつもとは違って、必死で冬麻を求めるかのような荒々しく野蛮なキス。
冬麻はそれを受け入れ、息をするのが精一杯だ。
「やめっ……はぁっ……」
息が苦しい。朝からどうしてこんな目に遭っているんだろう。
「久我さんってば!」
あまりにしつこいので久我の頭をつかんで引き離そうとしたら、久我が冬麻から離れてくれた。
「久我さん、どうしたんですか?! 可笑しいですよ?!」
「可笑しい……?」
「はい。いつもだったら俺の嫌がることしないじゃないですか。久我さんらしくないですっ……」
冬麻のその言葉を聞いた瞬間、久我はスッと身をひいた。
「嫌だったんだ……ごめん……」
久我は力なく言い、立ち去っていく。その背がやけにさみしそうに見えて胸騒ぎがした。
——まさか変な誤解をしてないよな。
久我からのキスとかスキンシップが嫌なわけじゃない。仕事中なのに、それが過度だったから嫌だと思っただけだ。
でも、もし、久我のそういう行為を嫌がってると勘違いされたら……?
こんなことで久我が冬麻に触れてくれなくなったら……。
冬麻は立ち上がり、久我を追いかける。
「久我さんっ……!」
声をかけたかったが、久我は仕事の電話をしていることに気がついてそれ以上の言葉は口をつぐんだ。
「いいよ。……そうだな、それでいこう」
仕事の電話中に邪魔をしてはいけないと思っているが、冬麻は久我の正面からゆっくりと近づいていく。
久我も電話をしながらも冬麻に気がついて驚き、目をしばたかせている。
冬麻は何も言わずにそっと久我に身体を寄せて、久我に抱きついた。
話はできなくても、気持ちをわかって欲しくて。
久我も左腕で冬麻の背を撫でてくれている。突然抱きついてきた冬麻のことを受け入れてくれているようだ。背中に感じるその手のぬくもりがすごく心地よい。
「それは、実際見てから考える。だが君が目をかけているということはそれだけで評価に値するから、事前にそれを知れてよかったよ」
久我が声を発すると、震える久我の声帯の振動が伝わってきて久我のすぐ近くにいるんだなと実感する。
通話が終わるなり、久我は冬麻の顔を覗き込んできた。
「冬麻、びっくりしたよ!」
「ごめんなさい。でも、なんか……心配になって……」
「心配?」
「あの……さっきの話で……誤解されてなかったらべっ、別にいいんですけど……」
「うん?」
「い、嫌ってキスが嫌とかそういう意味じゃないですからねっ!」
冬麻は久我を見上げる。
「仕事中にあまりくっ付かれたりそういうことされると、集中できないし、なんか……変な気持ちになっちゃうから……やめてほしいっていう意味で……あの……久我さんのことが嫌いなわけないのにそう思われたらさみしいなって思って……」
「冬麻……」
久我はものすごく嬉しそうな顔をして、冬麻の髪を撫でた。
「俺が誤解したかもって心配して俺のところにきてくれたの?」
「はい……俺こそ仕事の邪魔してすみません……」
「邪魔なんてことあるわけない。それ、俺が一番して欲しいこと。今の俺、どれだけやばいかわかる? 冬麻は全然自覚ないみたいだけど、冬麻にそんな可愛いこと言われたら、俺はもう死ぬほど嬉しいんだから!」
「はっ……?」
なんだかわからないが、久我にものすごく喜ばれている。
「冬麻。ありがとう」
久我は冬麻の額に軽くくちづけた。
「俺、冬麻のこと信じてるから……」
「えっ……?」
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