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27.真実は
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「よっ! 冬麻っ!」
「晴翔?!」
外苑前の店に突然現れたのは幼馴染の晴翔だ。
レセプションに、冬麻を訪ねてきた人がいると呼ばれてきたらそこには晴翔がいた。
「良かった。やっと会えた。いつも冬麻に連絡しても無視されてばっかりで凹んでたんだけど、思い切って直接お前に会いにきた」
「え……? 無視……?」
最近、晴翔から連絡なんてあっただろうか。あったとしたら気づくはずだし、冬麻はそれを無視する気なんてない。
「今日は、仕事何時まで?」
「ラストまでだからまだまだかかるんだ。二十二時閉店でそこから片付けするから」
「わかった。待ってるよ。そうだ。俺んちに来ないか? お前に話したいことがいろいろあってさ」
「ああ、いいよ」
晴翔は大学に通うようになってから三軒茶屋に一人暮らししていると言っていた。晴翔の実家には小学生の頃から何度も遊びに行ったことがあるが、一人暮らしの家には行ったことがない。あの晴翔がどんな暮らしをしてるのか、少しの興味もある。
ちょうど今日は久我も会食で家にいないし、明日は仕事も休みだ。遅くなっても構わないだろう。
「浮気された。それで別れたんだ」
三軒茶屋にある晴翔の部屋でコンビニで適当に買ったものを食べながら、冬麻は晴翔の恋愛話を聞いている。
「浮気?! えっ、だって付き合ってすぐに?!」
「それな。酷くねぇ? むこうから俺に付き合って欲しいって告白してきたくせに、こんな短期間で『俺に飽きた』んだと。ふざけんなよな!」
晴翔はその時の感情を思い出したのか、憤慨している。
その気持ちはよくわかる。人にむかって『飽きた』とか仮にも恋人だったのによくもそんなこと言えるな。
「俺と付き合ったあと、すぐに年上の社会人と知り合ってそいつのことを好きになっちゃったとかなんとか言い訳してたぜ? どんだけ惚れっぽいんだよ」
「ひどいな……」
「なんかそういうタイプの女だったんだよ。熱しやすく冷めやすいっつーか。自分も美人だって自覚してるからさ。今になって考えると、俺を誘ってモノにしたかっただけなんだろうなと思ってる。俺も大学じゃ、まぁまぁモテる男だしさ」
学内で人気のある晴翔を誘惑してみただけ、それで晴翔が見事に引っかかったからそれで目標達成。他が羨むような晴翔を陥落させてやったという優越感を手に入れたあとは、もう晴翔に興味はない。そういう嫌なタイプの女だったのか。
恋愛は相手を堕とすところまでが楽しくて、あとはどうでもいいとか、最悪だな。
熱しやすく冷めやすいか……。
久我も、最初からすごい熱量で冬麻に迫ってきた。それで冬麻をものにしたらそれでおしまい。実は冷めやすい性格で、そろそろ冬麻に飽きてポイッとしたくなったなんてことはないだろうか。
「あー! 見事に騙された! ふざけんなよ、俺にとっては初めて出来た彼女だったのにさ。軽くトラウマだわ。女怖ぇ。女不審になるわ、こんなん」
「だよな……」
話を聞いているだけで怖くなる。どうやったら本当の恋と、嘘の恋愛を見抜けるんだろう。晴翔みたいに痛い目に遭って学んでいくしかないのか。
「冬麻は? いないの? 誰かいい人」
「へっ!」
急に話が飛んできてびっくりした。
「新しい職場で出会いないの?」
「な、ないよ……。仕事に慣れるのに精一杯だから……」
まさか社長とそういう仲になっただなんて言えるはずもない。
「本当に?」
晴翔は疑いの眼差しを向けてくる。なにかに勘づいているかのような自信のある様子で。
「本当だよ」
冬麻も真実は打ち明けられないと必死で平静を取り繕う。
「それともそいつと俺に言えないような関係になったとか?」
「はぁっ?! ふざけんなよ」
びっくりするな。なんでそんなこと言うんだよ。
「じゃあ、お前は今どこに住んでるの?」
「えっ……? 社員寮だけど……」
「嘘だろ」
「いや……」
「俺の友達が、お前んとこの会社の社員寮に入ったんだ。そいつに冬麻の話をしたら、『社員寮に二ノ坂って奴はいない』って言ってた」
「…………っ!」
冬麻は息を呑む。
「本当は、皇居近くのすげぇ高級そうなマンションに住んでるんじゃねぇの?」
意表をつく晴翔の言葉に、冬麻は咄嗟に返すことができずに黙ってしまった。
やばい。完全にやばい。
これじゃ動揺しているのがバレバレだ。
なにか、上手く誤魔化さないと——。
「なぁ、冬麻。お前、何か困ってないか? 絶対俺に隠し事してるだろ」
晴翔が冬麻を問いただそうとする視線は鋭くて、まっすぐに冬麻の心に突き刺さる。
「そんなことない」
やばい。変な汗が吹き出してきた。でも絶対に態度に出しては駄目だ。
「晴翔はなんでそんなこと俺に訊くんだよ」
「えっ? いろいろおかしいと思ったからだ」
「な、何が?」
「まずはこれを見てくれ」
晴翔はスマホでネット上のマップを冬麻に見せた。そこには久我の会社の店舗の位置が赤いポイントマークで印されている。
「ほら。俺たちの地元ばっかり集中して店舗があるんだ」
たしかに。渋谷や新宿のような大きな駅ではないのにここだけ異常に店舗数が多い。
「業態もいろいろだから、最初は同じ会社の店だって俺も気がつかなかったんだよ。ただ最近この辺に新しい店増えたよなぁ、くらいの感覚?」
「うん……」
冬麻も実家が飲食業なので、一応同じ業種の店が実家の近所にオープンすることは気にしていた。
「これって、お前んちの店の売り上げを邪魔して、借金を背負わせようっていう作戦なんじゃないのか?!」
「えっ?! まさか」
久我のせいで、実家が借金に追い込まれたのか……?
まぁ、それ以前に冬麻の実家である居酒屋は流行りの店なんかじゃなかったし、久我の会社の出店がなくとも借金を背負っていたのではないかとも思うが。
でもなんでそんなことをする……?
あの時出された融資のための条件は『冬麻が久我の家に住むこと』だった。
それを達成するために……?
冬麻を久我の家に住まわすために、そこまでしていたなんて……。
「俺がこんなことを考えたきっかけはふたつある。まずは俺の中高の友達の佐藤のこと」
佐藤……? この前晴翔が言っていた、父親が借金苦で入水自殺をしてしまったという友達のことか。
「店が潰れた原因が、隣に人気の飲食店がオープンしたのが大きかったらしくて佐藤はその店のことをすげえ恨んでた。そこでこの業界、そういうこともあるよなと気がついたんだ」
「仕方ないことだけど、恨みたくなる気持ちもわかるな」
冬麻だって、実家の隣に居酒屋ができたことで借金苦になり父親を失ったら同じことを思うかもしれない。
「悪意のない出店だったら仕方ないとも思えるけどさ、多分お前のとこの社長はそれをわざとやったんだ。お前の実家に借金を背負わせたいから」
「まさか。なんでそんなことわかるんだよ」
出店ラッシュも、たまたまかもしれない。どこに久我がわざとやったという証拠があるのだろう。
「もちろん俺の推測なんだけど、もうひとつ怪しいなと思ったことがある。三月くらいだったかな。お前んちの目の前にやったら高そうな車が停まってたからなんなんだろうなと思って、俺は遠くから少し様子を見てたんだ」
実家の目の前に高級車……?
久我が初めて冬麻の家を訪れた日のことか……?
「そしたらスーツ姿のイケメンがお前んちから出てきてさ、秘書っぽい男となんか話をしてたんだ」
「え……?」
「気になるから俺は通行人を装ってふたりの近くを歩いて通り過ぎたんだ。その時に聞こえてきたのがさ」
久我は秘書の男と何を話していたんだろう。
「正確な言葉は聞き取れなかったけど『冬麻を囲ったらヒナタはヤキモチ焼いて怒るかな』みたいなことをイケメンが言ってたんだ」
「ヒナタ?!」
そのワードは聞き捨てならない。今の冬麻が最も気になっているワードが晴翔の口から飛び出してきたことに驚いてしまった。
——冬麻を囲ったらヒナタがヤキモチ……。
それって順番でいうと、ヒナタが先に久我の恋人だったってことか? それで久我がどういうわけか冬麻に惹かれてヒナタに内緒で冬麻を囲い入れた。家の借金を理由にして。
久我はヒナタという相手がいるのにも関わらず、冬麻を囲っている。ヒナタが怒るかもしれないと思いながらも。
ヒナタは今どこに住んでるんだ……?
ヒナタは久我と冬麻の関係を知らないのか……?
「おい、冬麻っ! 聞いてるか?!」
そうだった。晴翔と話をしている途中だった。
「お前の家は企業からの融資で借金から逃れられたって言ってたけど、大企業がそんな街の居酒屋に融資なんてするか?! なんかおかしくねぇかって思ったの。そういう話には大抵裏がある」
それは冬麻も思った。
初めて久我が現れたとき、そんなうまい話なんてないって。
「いいか。お前が傷つくかもしれないけど、はっきり言わせてもらう」
晴翔は目を逸らさずに真っ直ぐ冬麻を見据えている。
「冬麻。お前は家の借金のカタに久我っていう男に囲われて、愛人みたいな目に遭わされているんだろ」
晴翔の言葉の力が強すぎて、冬麻は言葉を失う。
「晴翔?!」
外苑前の店に突然現れたのは幼馴染の晴翔だ。
レセプションに、冬麻を訪ねてきた人がいると呼ばれてきたらそこには晴翔がいた。
「良かった。やっと会えた。いつも冬麻に連絡しても無視されてばっかりで凹んでたんだけど、思い切って直接お前に会いにきた」
「え……? 無視……?」
最近、晴翔から連絡なんてあっただろうか。あったとしたら気づくはずだし、冬麻はそれを無視する気なんてない。
「今日は、仕事何時まで?」
「ラストまでだからまだまだかかるんだ。二十二時閉店でそこから片付けするから」
「わかった。待ってるよ。そうだ。俺んちに来ないか? お前に話したいことがいろいろあってさ」
「ああ、いいよ」
晴翔は大学に通うようになってから三軒茶屋に一人暮らししていると言っていた。晴翔の実家には小学生の頃から何度も遊びに行ったことがあるが、一人暮らしの家には行ったことがない。あの晴翔がどんな暮らしをしてるのか、少しの興味もある。
ちょうど今日は久我も会食で家にいないし、明日は仕事も休みだ。遅くなっても構わないだろう。
「浮気された。それで別れたんだ」
三軒茶屋にある晴翔の部屋でコンビニで適当に買ったものを食べながら、冬麻は晴翔の恋愛話を聞いている。
「浮気?! えっ、だって付き合ってすぐに?!」
「それな。酷くねぇ? むこうから俺に付き合って欲しいって告白してきたくせに、こんな短期間で『俺に飽きた』んだと。ふざけんなよな!」
晴翔はその時の感情を思い出したのか、憤慨している。
その気持ちはよくわかる。人にむかって『飽きた』とか仮にも恋人だったのによくもそんなこと言えるな。
「俺と付き合ったあと、すぐに年上の社会人と知り合ってそいつのことを好きになっちゃったとかなんとか言い訳してたぜ? どんだけ惚れっぽいんだよ」
「ひどいな……」
「なんかそういうタイプの女だったんだよ。熱しやすく冷めやすいっつーか。自分も美人だって自覚してるからさ。今になって考えると、俺を誘ってモノにしたかっただけなんだろうなと思ってる。俺も大学じゃ、まぁまぁモテる男だしさ」
学内で人気のある晴翔を誘惑してみただけ、それで晴翔が見事に引っかかったからそれで目標達成。他が羨むような晴翔を陥落させてやったという優越感を手に入れたあとは、もう晴翔に興味はない。そういう嫌なタイプの女だったのか。
恋愛は相手を堕とすところまでが楽しくて、あとはどうでもいいとか、最悪だな。
熱しやすく冷めやすいか……。
久我も、最初からすごい熱量で冬麻に迫ってきた。それで冬麻をものにしたらそれでおしまい。実は冷めやすい性格で、そろそろ冬麻に飽きてポイッとしたくなったなんてことはないだろうか。
「あー! 見事に騙された! ふざけんなよ、俺にとっては初めて出来た彼女だったのにさ。軽くトラウマだわ。女怖ぇ。女不審になるわ、こんなん」
「だよな……」
話を聞いているだけで怖くなる。どうやったら本当の恋と、嘘の恋愛を見抜けるんだろう。晴翔みたいに痛い目に遭って学んでいくしかないのか。
「冬麻は? いないの? 誰かいい人」
「へっ!」
急に話が飛んできてびっくりした。
「新しい職場で出会いないの?」
「な、ないよ……。仕事に慣れるのに精一杯だから……」
まさか社長とそういう仲になっただなんて言えるはずもない。
「本当に?」
晴翔は疑いの眼差しを向けてくる。なにかに勘づいているかのような自信のある様子で。
「本当だよ」
冬麻も真実は打ち明けられないと必死で平静を取り繕う。
「それともそいつと俺に言えないような関係になったとか?」
「はぁっ?! ふざけんなよ」
びっくりするな。なんでそんなこと言うんだよ。
「じゃあ、お前は今どこに住んでるの?」
「えっ……? 社員寮だけど……」
「嘘だろ」
「いや……」
「俺の友達が、お前んとこの会社の社員寮に入ったんだ。そいつに冬麻の話をしたら、『社員寮に二ノ坂って奴はいない』って言ってた」
「…………っ!」
冬麻は息を呑む。
「本当は、皇居近くのすげぇ高級そうなマンションに住んでるんじゃねぇの?」
意表をつく晴翔の言葉に、冬麻は咄嗟に返すことができずに黙ってしまった。
やばい。完全にやばい。
これじゃ動揺しているのがバレバレだ。
なにか、上手く誤魔化さないと——。
「なぁ、冬麻。お前、何か困ってないか? 絶対俺に隠し事してるだろ」
晴翔が冬麻を問いただそうとする視線は鋭くて、まっすぐに冬麻の心に突き刺さる。
「そんなことない」
やばい。変な汗が吹き出してきた。でも絶対に態度に出しては駄目だ。
「晴翔はなんでそんなこと俺に訊くんだよ」
「えっ? いろいろおかしいと思ったからだ」
「な、何が?」
「まずはこれを見てくれ」
晴翔はスマホでネット上のマップを冬麻に見せた。そこには久我の会社の店舗の位置が赤いポイントマークで印されている。
「ほら。俺たちの地元ばっかり集中して店舗があるんだ」
たしかに。渋谷や新宿のような大きな駅ではないのにここだけ異常に店舗数が多い。
「業態もいろいろだから、最初は同じ会社の店だって俺も気がつかなかったんだよ。ただ最近この辺に新しい店増えたよなぁ、くらいの感覚?」
「うん……」
冬麻も実家が飲食業なので、一応同じ業種の店が実家の近所にオープンすることは気にしていた。
「これって、お前んちの店の売り上げを邪魔して、借金を背負わせようっていう作戦なんじゃないのか?!」
「えっ?! まさか」
久我のせいで、実家が借金に追い込まれたのか……?
まぁ、それ以前に冬麻の実家である居酒屋は流行りの店なんかじゃなかったし、久我の会社の出店がなくとも借金を背負っていたのではないかとも思うが。
でもなんでそんなことをする……?
あの時出された融資のための条件は『冬麻が久我の家に住むこと』だった。
それを達成するために……?
冬麻を久我の家に住まわすために、そこまでしていたなんて……。
「俺がこんなことを考えたきっかけはふたつある。まずは俺の中高の友達の佐藤のこと」
佐藤……? この前晴翔が言っていた、父親が借金苦で入水自殺をしてしまったという友達のことか。
「店が潰れた原因が、隣に人気の飲食店がオープンしたのが大きかったらしくて佐藤はその店のことをすげえ恨んでた。そこでこの業界、そういうこともあるよなと気がついたんだ」
「仕方ないことだけど、恨みたくなる気持ちもわかるな」
冬麻だって、実家の隣に居酒屋ができたことで借金苦になり父親を失ったら同じことを思うかもしれない。
「悪意のない出店だったら仕方ないとも思えるけどさ、多分お前のとこの社長はそれをわざとやったんだ。お前の実家に借金を背負わせたいから」
「まさか。なんでそんなことわかるんだよ」
出店ラッシュも、たまたまかもしれない。どこに久我がわざとやったという証拠があるのだろう。
「もちろん俺の推測なんだけど、もうひとつ怪しいなと思ったことがある。三月くらいだったかな。お前んちの目の前にやったら高そうな車が停まってたからなんなんだろうなと思って、俺は遠くから少し様子を見てたんだ」
実家の目の前に高級車……?
久我が初めて冬麻の家を訪れた日のことか……?
「そしたらスーツ姿のイケメンがお前んちから出てきてさ、秘書っぽい男となんか話をしてたんだ」
「え……?」
「気になるから俺は通行人を装ってふたりの近くを歩いて通り過ぎたんだ。その時に聞こえてきたのがさ」
久我は秘書の男と何を話していたんだろう。
「正確な言葉は聞き取れなかったけど『冬麻を囲ったらヒナタはヤキモチ焼いて怒るかな』みたいなことをイケメンが言ってたんだ」
「ヒナタ?!」
そのワードは聞き捨てならない。今の冬麻が最も気になっているワードが晴翔の口から飛び出してきたことに驚いてしまった。
——冬麻を囲ったらヒナタがヤキモチ……。
それって順番でいうと、ヒナタが先に久我の恋人だったってことか? それで久我がどういうわけか冬麻に惹かれてヒナタに内緒で冬麻を囲い入れた。家の借金を理由にして。
久我はヒナタという相手がいるのにも関わらず、冬麻を囲っている。ヒナタが怒るかもしれないと思いながらも。
ヒナタは今どこに住んでるんだ……?
ヒナタは久我と冬麻の関係を知らないのか……?
「おい、冬麻っ! 聞いてるか?!」
そうだった。晴翔と話をしている途中だった。
「お前の家は企業からの融資で借金から逃れられたって言ってたけど、大企業がそんな街の居酒屋に融資なんてするか?! なんかおかしくねぇかって思ったの。そういう話には大抵裏がある」
それは冬麻も思った。
初めて久我が現れたとき、そんなうまい話なんてないって。
「いいか。お前が傷つくかもしれないけど、はっきり言わせてもらう」
晴翔は目を逸らさずに真っ直ぐ冬麻を見据えている。
「冬麻。お前は家の借金のカタに久我っていう男に囲われて、愛人みたいな目に遭わされているんだろ」
晴翔の言葉の力が強すぎて、冬麻は言葉を失う。
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