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19.オーダーメイドスーツ
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それから三日後のこと。
仕事が終わり、ロッカールームで自分のロッカーを開けてスマホを取り出す。画面を見ると久我からのLINE通知があった。
『今日の予定がなくなって、冬麻を迎えにいけるようになったからいつもの場所で待ってるね』
確か久我は朝に「ごめんね。今日は商談があるから冬麻を迎えにいけないんだ」と残念そうに伝えてきた。それが急遽予定変更になったのか。
その時、ロッカールームのドアをノックする音がして入り口を振り返る。
入ってきたのは久我だ。
「えっ?! なんで?!」
なんでこんなところまで社長が……!
従業員入り口のセキュリティの暗証番号は久我なら突破できるとしても、こんなところにいて、誰かに見られたときになんて言い訳するつもりなんだよ……。
「ごめん、冬麻。どうしても着替えを持ってきたかったから」
久我の手には大きな紙袋が握られている。
「着替え……?」
「うん。夕食を食べに行こう。そのままの服装でもいいけど一応ドレスコードのある店だし、冬麻これ似合うかなと思って」
「どこに行くんですか?」
「歩いても行けるくらい近くだよ。車ならすぐ。さ、誰か来る前に早く。俺も手伝うから」
久我は持っていた服を紙袋と衣装ケースから取り出し、冬麻のロッカーの扉にハンガーごとかけた。
久我が用意してきたのはスーツだ。なんだか高級そうな。
「オーダーメイドスーツだよ。全部冬麻に合わせて作ったから着心地も悪くないと思うよ」
「オーダーメイド……」
冬麻はオーダーメイドの店なんて行ったことがないし、身体の寸法なんて測られたことがない。本人不在でどうしてオーダーメイドできるんだよ……。
「ほら冬麻、早く脱いで」
久我がなぜか服を脱ぐほうを手伝おうとしてきたので「そっちはいいですっ!」と丁重にお断りした。
着替えを済ませて久我とふたりで隠れて逃げ出すように店を飛び出し、久我の車に乗り込んだ。
「久我さんっ! こういう危ないことはやめてください!」
ロッカールームの時からずっと文句を言ってやりたかったが、あんなところで騒ぎになったら本末転倒なので黙ってた。車まで来てやっと久我に文句を言える。
「ごめん冬麻。冬麻は俺のこと内緒にしたいんだもんね。でももしバレたらいっそ副社長にでもなる?」
「嫌です!」
「秘書でもいいよ。公私ともに俺を支えてよ。そしたら二十四時間ずっと一緒にいられるし」
呆れて言葉もない。ちゃんと反省してるのかな……。
「冬麻の髪もちょっといじってもいい?」
久我は車のルームランプを点灯させたあと、ワックスを取り出した。
「じっとしてて」
冬麻は久我にされるがままだ。久我はほんの少しの時間で髪のセットを終わらせた。
「冬麻。俺もさっきは急いでいて言いそびれたんだけど」
久我は冬麻の身体にシートベルトをかけながら微笑んだ。
「すごく似合ってるよ。俺の想像以上。冬麻はどんどん可愛くなるね」
「はぁ?!」
こんな俺のどこが?!
「俺、前から結構冬麻のこと好きなのに、もっと好きになる。これ以上好きにさせて、冬麻はそんなに俺のこと狂わせたいの?」
久我はすごく優秀そうなのに、冬麻のこととなるとネジがぶっ飛んだ発言しかできないらしい。
「今日は仕事はなくなったんですか?」
久我に訊ねると、「そうだよ。急に予定がなくなって、冬麻も早番だったことを思い出して、一緒に食事でもどうかなと思って」と運転をしながら返してきた。
「本当は新しい社内システム開発を任せる会社とのプレゼンを兼ねた食事会のはずだったんだ。うちってCIO(最高情報責任者)がいないんだよ。俺はもともとシステムをやってたから、今はCEO(最高経営責任者)とCIOを兼ねてるような状態なんだよね。俺としてはもっと会社をシステム化して余計な業務を減らしていきたいと思ってるんだ」
「はぁ……」
えーっと、ITシステムのトップがいないから、とりあえず久我がその仕事を担っているということか。確かにこの会社のシステム部門はそんなに大きくはないイメージだ。
「そしたらむこうのPM(プロジェクトマネージャー)のお子さんがね、今日が誕生日だってことを会話の中で偶然知ったんだ」
久我はハンドルを切った。青山一丁目の交差点を曲がり、都道319号に入る。
「そんなことを知ったら、家に帰すしかないでしょ? 子供の誕生日くらい仕事しないで祝ってあげて欲しいから」
その気持ちはわからないでもない。でも相手側からしたら久我の会社と契約を結べるか否かの『どうしても外せない重要な仕事』だったのではないか。
「だから、急遽食事会は中止」
「それで、どうしたんですか?」
別の日に延期になったのか……?
「秘書に誕生日プレゼントを買いに行かせて、プレゼンなしで契約を即決した」
「即決?!」
すごいな、そんな簡単に決められるものなんだろうか。
「即決は少しの賭けだけど、むこうが事前に提出してきた予算や開発の計画書は俺の満足のいくものだったし、あとは人となりを確認してやろうと思っていたくらいだから。腹の探り合いみたいな食事会のためだけに、家族をないがしろにさせるのも可哀想だしね」
「うわぁ……」
久我はもっと慎重で抜かりないタイプだと思ってたのに。
「サインした契約書と、秘書が買ってきたプレゼントを握らせてタクシーに乗せてあげたよ。今ごろ家族で楽しく過ごせているといいね」
仕事の契約も上手くいって、子供の誕生日にも間に合う。きっと取引先の人は嬉々として帰宅したことだろう。
この人は本当にわからない。
時に優しくて、時に厳しくて。慎重かつ大胆で。いつも隙なんかない。
「冬麻、もうすぐ着くよ」
そう言われて久我を見る。久我は「あ、目が合ったね」と嬉しそうに口角を上げた。
仕事が終わり、ロッカールームで自分のロッカーを開けてスマホを取り出す。画面を見ると久我からのLINE通知があった。
『今日の予定がなくなって、冬麻を迎えにいけるようになったからいつもの場所で待ってるね』
確か久我は朝に「ごめんね。今日は商談があるから冬麻を迎えにいけないんだ」と残念そうに伝えてきた。それが急遽予定変更になったのか。
その時、ロッカールームのドアをノックする音がして入り口を振り返る。
入ってきたのは久我だ。
「えっ?! なんで?!」
なんでこんなところまで社長が……!
従業員入り口のセキュリティの暗証番号は久我なら突破できるとしても、こんなところにいて、誰かに見られたときになんて言い訳するつもりなんだよ……。
「ごめん、冬麻。どうしても着替えを持ってきたかったから」
久我の手には大きな紙袋が握られている。
「着替え……?」
「うん。夕食を食べに行こう。そのままの服装でもいいけど一応ドレスコードのある店だし、冬麻これ似合うかなと思って」
「どこに行くんですか?」
「歩いても行けるくらい近くだよ。車ならすぐ。さ、誰か来る前に早く。俺も手伝うから」
久我は持っていた服を紙袋と衣装ケースから取り出し、冬麻のロッカーの扉にハンガーごとかけた。
久我が用意してきたのはスーツだ。なんだか高級そうな。
「オーダーメイドスーツだよ。全部冬麻に合わせて作ったから着心地も悪くないと思うよ」
「オーダーメイド……」
冬麻はオーダーメイドの店なんて行ったことがないし、身体の寸法なんて測られたことがない。本人不在でどうしてオーダーメイドできるんだよ……。
「ほら冬麻、早く脱いで」
久我がなぜか服を脱ぐほうを手伝おうとしてきたので「そっちはいいですっ!」と丁重にお断りした。
着替えを済ませて久我とふたりで隠れて逃げ出すように店を飛び出し、久我の車に乗り込んだ。
「久我さんっ! こういう危ないことはやめてください!」
ロッカールームの時からずっと文句を言ってやりたかったが、あんなところで騒ぎになったら本末転倒なので黙ってた。車まで来てやっと久我に文句を言える。
「ごめん冬麻。冬麻は俺のこと内緒にしたいんだもんね。でももしバレたらいっそ副社長にでもなる?」
「嫌です!」
「秘書でもいいよ。公私ともに俺を支えてよ。そしたら二十四時間ずっと一緒にいられるし」
呆れて言葉もない。ちゃんと反省してるのかな……。
「冬麻の髪もちょっといじってもいい?」
久我は車のルームランプを点灯させたあと、ワックスを取り出した。
「じっとしてて」
冬麻は久我にされるがままだ。久我はほんの少しの時間で髪のセットを終わらせた。
「冬麻。俺もさっきは急いでいて言いそびれたんだけど」
久我は冬麻の身体にシートベルトをかけながら微笑んだ。
「すごく似合ってるよ。俺の想像以上。冬麻はどんどん可愛くなるね」
「はぁ?!」
こんな俺のどこが?!
「俺、前から結構冬麻のこと好きなのに、もっと好きになる。これ以上好きにさせて、冬麻はそんなに俺のこと狂わせたいの?」
久我はすごく優秀そうなのに、冬麻のこととなるとネジがぶっ飛んだ発言しかできないらしい。
「今日は仕事はなくなったんですか?」
久我に訊ねると、「そうだよ。急に予定がなくなって、冬麻も早番だったことを思い出して、一緒に食事でもどうかなと思って」と運転をしながら返してきた。
「本当は新しい社内システム開発を任せる会社とのプレゼンを兼ねた食事会のはずだったんだ。うちってCIO(最高情報責任者)がいないんだよ。俺はもともとシステムをやってたから、今はCEO(最高経営責任者)とCIOを兼ねてるような状態なんだよね。俺としてはもっと会社をシステム化して余計な業務を減らしていきたいと思ってるんだ」
「はぁ……」
えーっと、ITシステムのトップがいないから、とりあえず久我がその仕事を担っているということか。確かにこの会社のシステム部門はそんなに大きくはないイメージだ。
「そしたらむこうのPM(プロジェクトマネージャー)のお子さんがね、今日が誕生日だってことを会話の中で偶然知ったんだ」
久我はハンドルを切った。青山一丁目の交差点を曲がり、都道319号に入る。
「そんなことを知ったら、家に帰すしかないでしょ? 子供の誕生日くらい仕事しないで祝ってあげて欲しいから」
その気持ちはわからないでもない。でも相手側からしたら久我の会社と契約を結べるか否かの『どうしても外せない重要な仕事』だったのではないか。
「だから、急遽食事会は中止」
「それで、どうしたんですか?」
別の日に延期になったのか……?
「秘書に誕生日プレゼントを買いに行かせて、プレゼンなしで契約を即決した」
「即決?!」
すごいな、そんな簡単に決められるものなんだろうか。
「即決は少しの賭けだけど、むこうが事前に提出してきた予算や開発の計画書は俺の満足のいくものだったし、あとは人となりを確認してやろうと思っていたくらいだから。腹の探り合いみたいな食事会のためだけに、家族をないがしろにさせるのも可哀想だしね」
「うわぁ……」
久我はもっと慎重で抜かりないタイプだと思ってたのに。
「サインした契約書と、秘書が買ってきたプレゼントを握らせてタクシーに乗せてあげたよ。今ごろ家族で楽しく過ごせているといいね」
仕事の契約も上手くいって、子供の誕生日にも間に合う。きっと取引先の人は嬉々として帰宅したことだろう。
この人は本当にわからない。
時に優しくて、時に厳しくて。慎重かつ大胆で。いつも隙なんかない。
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そう言われて久我を見る。久我は「あ、目が合ったね」と嬉しそうに口角を上げた。
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