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15.まだ終わらない ※

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「冬麻、こっちも触っていい?」

 え……。どこを……?
 久我はヌルヌルとしたものを、冬麻に塗りつけてきた。それは前だけじゃなくて、後ろのほうにも。
 まさか。

「……久我さっ、待っ、そこは無理っ……」

 そこは性器じゃない。そんなところを弄るのは……。

「…………っ!」

 冬麻は息を呑んだ。
 そこに久我の指がズブッと入り込む。そしてそのまま冬麻の内部をクチュクチュと掻き回す。

「……ひぁっ……はっ……うぅ……」

 いつの間にか久我の指が二本突っ込まれている。そんなところにものが入るなんて信じられない。

「冬麻。もっと力を抜いて。足、開いて」

 なんだその無理な注文は。そんなことできるわけない。こんな……恥ずかしい目に遭わされて……。

「ほら。冬麻」

 久我は左手で冬麻の右太腿を押し広げる。冬麻はさらに恥部をさらすような格好になり、羞恥で身が震えた。
 それなのに、久我はそのまま孔を弄り続けている。ローションのせいでそこがくちょくちょと音を立てるので、さらに耳まで犯されている気分だ。

「はぁっ……。はぁっ……」

 なんだこれは。なんだこれは。これからどうなるんだ……? 何をされる? こんなこと、耐えられるのか。



「どうしたの……? 初めてだから少し怖い……?」

 久我はいったんそこから指を引き抜いた。そしてもう一方の手で冬麻の髪を優しく撫でる。さっきまでの性的な刺激に思わず目を閉じ、まともに周りが見えていなかったが、目を開けてみるとそこに久我の顔があった。

「大丈夫……?」

 久我は何度も冬麻の髪を撫でている。その触れられる手にもほっとしたけど、冬麻が驚いたのは久我の表情だ。
 いつも嘘で塗り固められたような笑顔をしているくせに、今の久我は、すごく柔らかい表情で愛おしそうに冬麻を見ている。
 こんな表情は見たことがない。やっと久我の「人らしさ」を垣間見た気がした。
 執着と愛情って紙一重だ。
 どちらも相手を欲するところは同じだけれど、執着は一方的で、愛情はお互い向き合って想い合っている、そんなイメージだ。
 この人は、どっちなんだろう。

「久我さん……俺のこと。好き、ですか?」
「えっ……」

 久我の動きが止まる。

「だから。本当に俺のことが好きなんですか……?」
「うん……もちろん好きだよ。俺には冬麻しかいないし……」

 久我は冬麻の質問の意味を考えあぐねている様子だ。

「俺のこと、大切にしてくれますか」
「うん。大切にするよ」

 久我はいつもの笑顔を作った。

「壊したり、しない……?」

 冬麻に言われて久我がハッとした顔をした。
 動揺しているのかもしれない。こんな久我の姿も初めてだ。いつも何があっても余裕のある顔をしているのに。


「冬麻。俺……」

 久我が答えを迷うなんてことがあるのか。いつも余裕があって、全てを掌握しているかのような男のはずだ。

「大丈夫だよ。こんなに可愛い冬麻を失いたくないからね。俺は、俺を殺してでも冬麻を守ってみせるよ」

 久我は笑顔で冬麻の頬に触れる。その笑顔に完璧さはなく、作りものじゃない久我の本当の姿なのかな、なんて思った。


「俺、久我さんのこと信じます」

 冬麻は両腕を久我の背中に回して、久我の身体を抱き締める。それに呼応するかのように久我は冬麻にキスを落としてきた。
 さっきまでの激しいキスとは少し違う。やけに優しいキス。

「冬麻のこと、ずっと好きだった」

 キスの合間に愛を囁かれる。

「絶対に俺のものにしたいの。俺だけを見て、俺だけを愛してほしい」

 久我の強い視線でとらわれてドキッとする。それでも、この人から目を逸らしたくない。
 冬麻は頷き、そして久我にキスを返す。触れるだけのキスだったが、久我がそれにビクッと過剰に反応し、目を見開いた。
 冬麻からこんなふうに返されるとは想像しなかったのか。


「冬麻っ……。冬麻っ……」

 久我は火がついたみたいに冬麻を求めてきた。
 愛おしそうに名前を呼ばれて、唇を重ね、舌を絡ませながら、久我に身体を嬲られる。
 それから再びナカに指を突っ込まれ、いいように掻き回される。

「あっ……。うっ……んんっ……」

 身体の力を抜くことを覚えると、あられもない姿で久我にそこを弄られることも嫌悪感はなくなっていた。
 そこには、もうさっきまでの羞恥心も緊張もない。久我にされるがまま、さまざまな快楽の刺激に溺れていくだけだ。

「ああ……っ!」

 急にさっきまでと全然違う、強烈な刺激に見舞われる。
 明らかに反応の違う冬麻に気がついて、久我はもう一度そのポイントをクイクイ指で攻める。

「……はぁっ……そこっ……!」

 なんだかわからないが、全身がビクついてしまう。気がついたら先ばしりの液が漏れ出している。

「冬麻、ここ気持ちいい?」

 うわっ! やめろ!
 久我に再び弄られる。無理だ。そこだけは逃げ出したいくらいにやばい。

「はぅっ……あっ、あっ、あっ……」

 前を触られてもないのにイきそうになる。

「むり……無理ぃ……」

 こんなことでイきたくないから訴えているのに、久我は冬麻の前に触れ、それをさばき始めた。

「いっ……ああっ……!」

 後ろからの今まで感じたことのない強烈な快感と、直接的な性器への刺激を同時に受ける。

「冬麻のこんな顔、見られるなんて幸せだ……」

 えっ……! 今自分がどんな顔をしてるかなんて考えられない。ただもう久我から与えられる悦びに、迫り上がってくる背徳的な感情に必死で耐えるだけ。

「……ああっ……!」

 抵抗むなしく冬麻は絶頂をむかえ、自らを解き放った。
 冬麻の腹にそれが飛び散り、みっともなくシーツまで汚してしまった。



「はぁっ……はぁっ……」

 全身が汗ばんでいる。息が上がっている。
 こんなの初めてだ——。
 冬麻だって思春期を迎えてから普通の男として自分でそういったものの処理はしたことがある。そのときも多少の快感は得るものの、こんなに全身が痙攣するくらいの目に遭ったことはない。




 久我が冬麻の目の前で服を脱ぎ出した。久我が服を脱ぐため両腕を上げたときの、その引き締まった肉体に見惚れてしまう。
 スーツの時から背中のラインは綺麗だなとは思っていたけど、久我の身体は完璧だ。
 程よくついた筋肉。そこに不自然さはなく、逆三角形の身体のラインがセクシーだ。
 久我はさらに下も取り去り、全裸になる。
 全裸の久我を見てハッとする。冬麻を苛めてただけなのに、久我も興奮状態にあったのもしれない。久我のソレが如実にそのことを表している。

 ——こんな俺に欲情してるんだ……。

 まじまじと久我を見てドキッとする。態度こそ平静を取り繕っているようだが、息が荒く肩が上下している。そして見たことない、獲物を狙うかのような鋭い目。あと一歩で理性を失い、襲いかかってきそうなくらいの危うさを感じる。
 冬麻は久我の手によって着ていたTシャツを剥ぎ取られる。こうなってしまったら、ふたりの間に隠すものはもう何もない。
 そこで気がついた。さっきまで散々身体を弄られ、あんなに快感を与えられたのに、快楽への行為はまだ終わらない。
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