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三十二才 本業の先輩の知識と竜の襲撃
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部下と共に矢が尽きたキリュウたちは、剣を抜くと竜に近づき始めた。
この武器では固い鱗で体が防護されている竜に通じるかは分からなかった。
崩れたりしている建物の影になるように部下たちと共に進撃する。
建物からの影から竜を覗き見る。
とても大きく、近くで見ると人間の振るう武器では歯が立たないようにみえた。
しかし、矢がところどころに突き刺さっており、傷口も見えた。
「前方に見える彼らの動きの合間を縫って攻撃を仕掛けるぞ」
精神の高まりと思考の安定が同時におき、体がスムーズに動いていく。
キリュウは、部下たち四人の呼吸を感じながら好機を伺い始めた。
薙刀を持っている警護者たちは、器用に竜の攻撃をかわしていた。
ごく稀に、標的の翼と背中の棘が発光したと思うと、黄金色の電撃と思しき流れが起きる。
それが建物や警護者に直撃して吹き飛ばしていた。雷撃の直撃を受けてその場で倒れる者もいる。
竜が両翼を大きく後ろに動かしてから前方に大きく羽搏いてから、咆哮を轟かせた。
耳が詰まりそうな轟音と共に、敵が大きく動いた。
急激な上昇及び急降下。
地面に激突すると予測の立った瞬間、全身から稲光のような閃光がほとばしった。
周囲の建物ごと粉砕していく。
地面を雷撃が走るとともに道路が割れて、破片が飛び散った。
キリュウや部下達、さらには包囲していた警護者全員が後退する。
激しい体の奥底からの衝撃。
巨大な体躯に見合った翼を羽搏かせながら、着地した竜。ひとりずつ殺すためか近づいてくる。
キリュウは味方の意識も遠ざかった状態で、近づいていく。
その様子を確認したのか竜が彼の方へ歩を進めてくる。
キリュウは鎧を着た状態で竜からの攻撃を絞らせない目的で接近して、側面から跳躍した。
「隊長」
彼の部下の誰かが叫んだようだった。
体に打撃を与えられる直前に、軌道を読んだ竜の口から黄色の火花が放たれた。
キリュウの全身と精神と激しい衝撃が襲った。
そのまま彼は地面に叩きつけられた。
キリュウの目が開いた時には、ひとりの人間が転がっていた。
亡き者となった同僚を尻目に震える身体へ、意識を強く持って立ち上がった。
電撃の後遺症なのか、震顫及び体の全体から痛み。
その視界に竜を視認すると、二人の人物が交戦している状況が目に入った。
「竜の意識が俺から離れたのか。
もしそのままだったら」
そばで倒れている警護者の方を見た。
自分も同じ状態に成っていたとしてもおかしくないといった思いが心に広がった。
安堵と共に復帰を拒もうという心を払って、着実に且つ速く戦場へと歩を進めた。
地面の上で壊れた建物等を器用に使って警護者が竜に対して白兵戦で向かっているようだった。
建物のせいで竜は自由に動けていない様子であった。
地面を伝って雷撃が警護者を襲うが、既の所で避けていた。
地面から立ち昇ったり消失した、標的を失った雷撃。
「一人で引き寄せようと思うな。
俺の方にも意識を分散させろ」
彼はキリュウの姿の方に片目を向けた。
その持ち主の目は赤色で、子供の時からの見知った人物の顔であった。
彼は女でありミエナだと認めることができた。
しなやかに竜の攻撃から逃れながら反撃する彼女ともう一人。
この武器では固い鱗で体が防護されている竜に通じるかは分からなかった。
崩れたりしている建物の影になるように部下たちと共に進撃する。
建物からの影から竜を覗き見る。
とても大きく、近くで見ると人間の振るう武器では歯が立たないようにみえた。
しかし、矢がところどころに突き刺さっており、傷口も見えた。
「前方に見える彼らの動きの合間を縫って攻撃を仕掛けるぞ」
精神の高まりと思考の安定が同時におき、体がスムーズに動いていく。
キリュウは、部下たち四人の呼吸を感じながら好機を伺い始めた。
薙刀を持っている警護者たちは、器用に竜の攻撃をかわしていた。
ごく稀に、標的の翼と背中の棘が発光したと思うと、黄金色の電撃と思しき流れが起きる。
それが建物や警護者に直撃して吹き飛ばしていた。雷撃の直撃を受けてその場で倒れる者もいる。
竜が両翼を大きく後ろに動かしてから前方に大きく羽搏いてから、咆哮を轟かせた。
耳が詰まりそうな轟音と共に、敵が大きく動いた。
急激な上昇及び急降下。
地面に激突すると予測の立った瞬間、全身から稲光のような閃光がほとばしった。
周囲の建物ごと粉砕していく。
地面を雷撃が走るとともに道路が割れて、破片が飛び散った。
キリュウや部下達、さらには包囲していた警護者全員が後退する。
激しい体の奥底からの衝撃。
巨大な体躯に見合った翼を羽搏かせながら、着地した竜。ひとりずつ殺すためか近づいてくる。
キリュウは味方の意識も遠ざかった状態で、近づいていく。
その様子を確認したのか竜が彼の方へ歩を進めてくる。
キリュウは鎧を着た状態で竜からの攻撃を絞らせない目的で接近して、側面から跳躍した。
「隊長」
彼の部下の誰かが叫んだようだった。
体に打撃を与えられる直前に、軌道を読んだ竜の口から黄色の火花が放たれた。
キリュウの全身と精神と激しい衝撃が襲った。
そのまま彼は地面に叩きつけられた。
キリュウの目が開いた時には、ひとりの人間が転がっていた。
亡き者となった同僚を尻目に震える身体へ、意識を強く持って立ち上がった。
電撃の後遺症なのか、震顫及び体の全体から痛み。
その視界に竜を視認すると、二人の人物が交戦している状況が目に入った。
「竜の意識が俺から離れたのか。
もしそのままだったら」
そばで倒れている警護者の方を見た。
自分も同じ状態に成っていたとしてもおかしくないといった思いが心に広がった。
安堵と共に復帰を拒もうという心を払って、着実に且つ速く戦場へと歩を進めた。
地面の上で壊れた建物等を器用に使って警護者が竜に対して白兵戦で向かっているようだった。
建物のせいで竜は自由に動けていない様子であった。
地面を伝って雷撃が警護者を襲うが、既の所で避けていた。
地面から立ち昇ったり消失した、標的を失った雷撃。
「一人で引き寄せようと思うな。
俺の方にも意識を分散させろ」
彼はキリュウの姿の方に片目を向けた。
その持ち主の目は赤色で、子供の時からの見知った人物の顔であった。
彼は女でありミエナだと認めることができた。
しなやかに竜の攻撃から逃れながら反撃する彼女ともう一人。
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