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訪問02
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「陣ヶ咲君それで君の父親、田仁志氏が連れ帰ってきてもらえた異星獣とはどの様な姿だ」
当主のエヴァンズが俺の方を見詰めて喋ってくる。
俺は赤くなり緊張しながら、スマートフォンの内部画像を呼び出した。
そして、彼に手渡す。
「ほぉ、なかなか品のある毛色をしているな。
鼬のような身体に翼が見られるな、飛行族か」
といって彼は俺に返してくれた。
「蝙蝠丸と呼んでます」
俺は緊張のあまり固くなってしまう。
「もっと、陣ヶ咲リラックスしていいよ。
パパは口調からは威圧感があるけど、本当はそんな事ないから」
「それとイブ。
この陣ヶ咲君と本当に結婚したいのか?」
「パパ何言いだすのよ!」
イブは耳まで真っ赤になると立ち上がって怒鳴りつけた。
エヴァンズ氏は鷹揚に笑うと謝罪をした。
「すまんすまん。もう規定事実かと思っていてね。
我が娘が私に男を紹介したのは初めての事だったから」
親子の視線が応接間の卓の上で交差する。
俺はその様子を眺めながらどうしたら良いもんかと悩む。
このまま了承することも拒否する事もできず進退が極まってしまい精々一言言えるだけだった。
「エヴァンズさん、俺たちまだ小学5年生ですから。
それに真っ当な友人関係でもないんです」
俺は“真っ当”なという部分を強調して彼に伝えた。
彼は俺の伝えたい事を理解できたか分からないい笑顔のままだった。
「私も妻と出会ったのは30台になってからだった。
そこから、プラネットムーン株式会社の平社員になって、彼女と交際してから有れよこれといった間に社長にまで昇りつめてしまった。
後悔はないが、若干平社員として責任の少ない立場として卵採取船の乗組員のままで居たかった気持ちもなくはない。
しかし、彼女の父親が跡を継がないと結婚させないと言ってね。
君とイブもまだ若い、未来のことは気安く決めない方がいい」
「さっきの発言と違う気がしますけど……」
俺は真っ赤になりながら彼に言い返した。
彼は笑顔になり、手を叩いている。
そして暫く祭家の当主のイブの親父と世間話を続けた。
そして、お開きになった。
*****
夕陽が俺とイブの身体を照らして影を引き延ばしていく。
空気の中を鴉の何処かへ向かうのかと思うような鳴き声がしている。
歌にもあった気がする塒へと急ぐのだろうと。
「陣ヶ咲、で私のパパはどうだった?」
彼女は長く垂らしただけの髪を手でかき上げながら言葉を発言した。
その様子は父親との談笑で別の一面が見れたことがあったのか、ドキッとするようなポーズであった。
「なかなか紳士的な男だと思ったよ」
俺は困った末に口から出任せを言った。
本音は未だ処理しきれていなかった為に発覚するのを恐れていた。
俺の目をじっと見詰めていた彼女はフフフと笑った。
「パパは紳士的とは全然違うのよ。
ママは諦めてた頃の大恋愛の末だと言ってたけどね。
私は──パパよりも仕事に邁進してればもっと良い相手見つかったと思ってるけど」
イブはコンクリートの上面を靴で蹴って滑らせた。
一迅の風が吹いて彼女のワンピースの裾がはためいた。
肩には、POISONがとまっており威嚇の鳴き声を一声。
「イブ、今度は俺が勝つと宣言するさ。
それで来週の土曜日に球技で勝負しないか?
当然、勿論芯矢も連れていくさ」
彼女はキョトンとした顔をした後、少し照れながら笑った。
「ふ~んまた勝負。
莫迦の一つ覚えね私と一緒にいたいならハッキリとそう言えばいいのに。
なら私も“親友”を連れて行くわ」
彼女は“親友”のあたりを強調して発言した。
イブは転校してから1年も経ってないのに、もう友人が複数いるといいたいのかもしれなかった。
夕陽が彼女の身体の線の影を生み出していく。
その姿を見ながら、俺も学級の中の狭いファン層の一部に成り下がったかと思った。
「天気予報で明日は曇るって言ってたわ。
でも何で明日の日曜日じゃないの?」
俺はイブの質問に一瞬考えると、雲の流れゆく空を仰ぎ見た。
「蝙蝠丸に少しばっかりでも時間を割いてやらなくちゃな。
せっかく生きて戻ってきてくれたから」
俺の言葉に、彼女はニコリと笑顔になった。
その瞬間に聞き慣れた鳴き声が、空中からしてくる。
その声の主はややふらつきながら飛翔していた。
全身の細かい姿を認識できる距離にまで到達した。
蝙蝠丸がイブらに威嚇した。
当主のエヴァンズが俺の方を見詰めて喋ってくる。
俺は赤くなり緊張しながら、スマートフォンの内部画像を呼び出した。
そして、彼に手渡す。
「ほぉ、なかなか品のある毛色をしているな。
鼬のような身体に翼が見られるな、飛行族か」
といって彼は俺に返してくれた。
「蝙蝠丸と呼んでます」
俺は緊張のあまり固くなってしまう。
「もっと、陣ヶ咲リラックスしていいよ。
パパは口調からは威圧感があるけど、本当はそんな事ないから」
「それとイブ。
この陣ヶ咲君と本当に結婚したいのか?」
「パパ何言いだすのよ!」
イブは耳まで真っ赤になると立ち上がって怒鳴りつけた。
エヴァンズ氏は鷹揚に笑うと謝罪をした。
「すまんすまん。もう規定事実かと思っていてね。
我が娘が私に男を紹介したのは初めての事だったから」
親子の視線が応接間の卓の上で交差する。
俺はその様子を眺めながらどうしたら良いもんかと悩む。
このまま了承することも拒否する事もできず進退が極まってしまい精々一言言えるだけだった。
「エヴァンズさん、俺たちまだ小学5年生ですから。
それに真っ当な友人関係でもないんです」
俺は“真っ当”なという部分を強調して彼に伝えた。
彼は俺の伝えたい事を理解できたか分からないい笑顔のままだった。
「私も妻と出会ったのは30台になってからだった。
そこから、プラネットムーン株式会社の平社員になって、彼女と交際してから有れよこれといった間に社長にまで昇りつめてしまった。
後悔はないが、若干平社員として責任の少ない立場として卵採取船の乗組員のままで居たかった気持ちもなくはない。
しかし、彼女の父親が跡を継がないと結婚させないと言ってね。
君とイブもまだ若い、未来のことは気安く決めない方がいい」
「さっきの発言と違う気がしますけど……」
俺は真っ赤になりながら彼に言い返した。
彼は笑顔になり、手を叩いている。
そして暫く祭家の当主のイブの親父と世間話を続けた。
そして、お開きになった。
*****
夕陽が俺とイブの身体を照らして影を引き延ばしていく。
空気の中を鴉の何処かへ向かうのかと思うような鳴き声がしている。
歌にもあった気がする塒へと急ぐのだろうと。
「陣ヶ咲、で私のパパはどうだった?」
彼女は長く垂らしただけの髪を手でかき上げながら言葉を発言した。
その様子は父親との談笑で別の一面が見れたことがあったのか、ドキッとするようなポーズであった。
「なかなか紳士的な男だと思ったよ」
俺は困った末に口から出任せを言った。
本音は未だ処理しきれていなかった為に発覚するのを恐れていた。
俺の目をじっと見詰めていた彼女はフフフと笑った。
「パパは紳士的とは全然違うのよ。
ママは諦めてた頃の大恋愛の末だと言ってたけどね。
私は──パパよりも仕事に邁進してればもっと良い相手見つかったと思ってるけど」
イブはコンクリートの上面を靴で蹴って滑らせた。
一迅の風が吹いて彼女のワンピースの裾がはためいた。
肩には、POISONがとまっており威嚇の鳴き声を一声。
「イブ、今度は俺が勝つと宣言するさ。
それで来週の土曜日に球技で勝負しないか?
当然、勿論芯矢も連れていくさ」
彼女はキョトンとした顔をした後、少し照れながら笑った。
「ふ~んまた勝負。
莫迦の一つ覚えね私と一緒にいたいならハッキリとそう言えばいいのに。
なら私も“親友”を連れて行くわ」
彼女は“親友”のあたりを強調して発言した。
イブは転校してから1年も経ってないのに、もう友人が複数いるといいたいのかもしれなかった。
夕陽が彼女の身体の線の影を生み出していく。
その姿を見ながら、俺も学級の中の狭いファン層の一部に成り下がったかと思った。
「天気予報で明日は曇るって言ってたわ。
でも何で明日の日曜日じゃないの?」
俺はイブの質問に一瞬考えると、雲の流れゆく空を仰ぎ見た。
「蝙蝠丸に少しばっかりでも時間を割いてやらなくちゃな。
せっかく生きて戻ってきてくれたから」
俺の言葉に、彼女はニコリと笑顔になった。
その瞬間に聞き慣れた鳴き声が、空中からしてくる。
その声の主はややふらつきながら飛翔していた。
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