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王道?邪道?乙女なアレ
僕と新学期
しおりを挟む太陽のささめきに秋の気配を感じ始めた今日このごろ。
長期の休みで大人に一歩近づいた者も居れば、何も変わらず馬鹿をする奴もいる。
だが、全員がこの学園の下にまさかダンジョンがあって、この休み中に消えたなんて思いもつかないだろう。
ダンジョンがなくなり彼等の陰の気を処理してくれる存在を失った以上、ヘイトは悪目立ちをする存在に、向かう。
この学園で今その最適な的になっているのは二人ほどいる。一人は実地体験のときにやらかしたオレオ・バーシャル・リカードだ。まあ、彼はあの件があるからしばらくは大人しいだろう。入学してからの行いで敵は多いだろうし、いきなり大人しくなっているのが返って怖いのでヘイトは集まるだろう。
大人しいとは言っても相変わらず、低爵位の子には偉そうだし、女の子にはセクハラだし。そこのどこが大人しいかと疑問が上がるけど、実際、覇気が無いのだ。落ち込んでいるというか恐れているというか。
取り敢えずは彼は放置でいいかな。
それよりも今は彼よりももう一人のほうが酷い。
多分、察しが付くと思うが、カリナ・ルードラの事である。
カリナはこの長期休みの間にイベント消費をしていたらしい。
夏祭り何て言うような可愛らしいイベントではなく、乙女ゲームの様なイベントなんて現実であったのかと思う人もいると思う。
どうやら、街に繰り出した彼女は、路地裏で強面の男達に絡まれて、ちょっと不器用な不良ワンコ系の先輩に助けられ、悪役令嬢に絡まれていた素朴な優しい平民男子を悪役令嬢から助け、道に迷って不穏な雰囲気の場所に入りそうになって可愛い少年に大通りまで案内してもらい、更には夏祭りで先生とデートしていたら逸れて、隣国の青年に出会った。などなど。
因みに彼女のイベントの中に悪役令嬢や優しい平民、可愛い少年も居たのだけど、だいぶフィルターが掛かっているようだった。
例えばアンナとタオシャンは二人でお買い物中に『こんな休みまで平民イジメですか!』と割り込んで来たらしい。買い物中だった事もあり周りでは同じく買い物している人が沢山いたのらしいのだ。その中でかなりの大きい声で騒いでいたもので、周りから冷ややかな目をされていたが、それに気が付かないでタオシャンを連れて行こうとさえしていたらしい。
最終的には買い物のお節介(自称)おばちゃんが助けてくれたとか。
僕は、たまたま道具の補給に来ていたら、うろちょろしているのを見かけて、ほっとこうと思って居たら向こうから声をかけて来ただけだ。
学校やら年齢やら聞かれたので適当に答えて大通りまでしゃあなしに送ったのだけど、今日、話を聞いているとナンパをされたような話しになっていて、学園の他のクラスを見て探しているようだ。
学園なんて適当な名前を言ったのに何故だ。
そんなこんなで、もうちょい頭のいい感じだったのになんか残念な子になりつつあるカリナは、何がきっかけか分からないが、乙女ゲーム脳になりつつある。
実際にそんな破天荒なカリナに惹かれた子も居るようで、ハーレム状態なのは間違いない。
お陰様で彼女への負の感情が凄い凄い。
長期休み中にダンジョン消滅の余波を最小限にするために四神を象った宝玉にそれぞれ同属性の宵月を始めに朱冥、玄樹、白夜の加護をチョビとつけたとんでもない物を配置して、陰気が溜まらないようにしたのだけど、やはり、魔神の考えたダンジョンには劣ってしまうようだ。
調べた所、この学園が建設されている場所は曰く付きの場所らしく、他の場所よりもそういう気が溜まりやすいそうだ。だからこそ、僕の記憶はここにダンジョンをつくたのかもしれない。
こうなると、カリナに首輪じゃないけど何か装置をつけた方が良いな。
「他の似たような学園もこの四神の宝玉の効果が良ければ使う予定らしいぞ。」
「やっぱり、学園ってそんな感じなんだね。」
「更には乙女脳の転生者もちらほら。」
「今度一緒に魔神に文句言おうね。」
僕がぐねぐね、ガチャガチャと作業している横でコウにぃが何か報告書を読んでいるようだ。
それは兄上が育てたそっち系の職種の方たちの報告だそうで、中身は学園の歴史やカリナの事、様々な事が書かれているらしい。僕も見たことないからわからないけどな。
僕達は始業式も終わって早帰りしたので、コウにぃの部屋でのんびりお茶タイムにいそしむはずだったのだけど、カリナの行動に嫌な気がしてせっせと対処の何かを結局作ることにしたのだ。
「魅了の魔法は込めるなよ。」
「込めないよ!というか元々持っていたりしてね。」
「フラグやめろ。」
僕らにはそんな補助魔法は効かないと思うけど、そこらへんも考えるか。
「渡すのは兄上ね。」
「えっ。」
「だって僕が渡すのはおかしいでしょう?」
勘違いさせないようにそばにはいるけどね。
でも、都合の良いようにとるのが乙女脳だよね。
ついでに録音機を用意しておこう。防犯装置も学園に導入してもらおう。
死角の対応は任せて。
「よし!出来た!」
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