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おまけ②
しおりを挟む青空が眩しい。
そう感じて目元を細めて空を見上げれば、そこには雲一つ無い青空が広がっております。
今は初夏の日差しです。
わたくし達が居ますのは、馴染みの本国でない青い空、白い砂、空色を映すこれまた青い水の広がる場所。
そうです、海というところに来ております。
新婚旅行がてらに来ましたのは我が国にはない海に囲まれた小さな島。
そこには独特な文化が発展していてとても珍しく、興味深々です。
この島には王ではなく数年毎に変わる総代表者がいて、その人が納めているのだとか。
その総代表者は島の部落の各代表者が決めるので、それぞれの部落の意見が反映されやすいのですって。
ここを旅行先に押してくださった魔王は、召喚前は似たような制度の国に住んでいたのだとか。
戦いよりも話し合いで解決するその世界がわたくしには少し羨ましいですわ。
「我が国もそうした方が良いかも知れないな。」
「レオ。」
「王族だからと偉ぶる者も過去には居た。王族でなくても凄い技能を持つは人々も居るというのに。」
今の陛下は優秀で素晴らしい方ですが、我々以降が良い王とは限りませんから。それなら、この島の体制を取り入れて新たな制度を作るのも良いかもしれません。
ふふ。陛下と父に良い土産話ができましたわ。
「それにしても…。」
「?」
「水着という服はなんとも刺激的な……。」
レオの視線がわたくしの身体にまとわり付きます。
海が観光になっている島の住民達が、泳ぐために売っていたのは、貴族の女性にとっては心許ない布達でした。わたくしも最初は戸惑いましたが、郷に入っては郷に従えと言いますので、わりかし露出の少ないパレオという腰巻きの付いた淡い黄色の水着にしました。
上下に別れてお腹が見えるそれは確かに馴染みがないと刺激的ですね。
ですが、現地の方々の中には何も着ていない方もいるのです。
「うん。兄やお義父さんへのお土産にでもしようかな。」
「お土産ですか?」
「ラスレアはまだわからなくて良いさ。さあ、海に入ろう。」
「はい!」
このお土産がとても感謝されたことは後での話で、レオと入った海というものはしょっぱくて冷たくて気持ちが良いものでした。
食事はまさに、海に囲まれた島ならではのたくさんの魚介類が出され、海から取れた塩がふんだんに使われています。
我が国では岩塩から塩をとっているのですけど、それとは違う味がしてこれまた美味しかったです。
塩は場所によってはとてつもない高級調味料なのですが、塩が山ほど取れるせいか、島の人は売るという考えが無いらしく、これは是非ともティグリスに教えて国に流通して世界に広めないと。
岩塩はいずれなくなるかもしれませんが、海なら半永久的らしいですからね。
「レオ、この塩焼き美味しいわ。」
「うん。あまりしょっぱくないね。素材の甘味も出てて美味しい。」
漁師料理とかも出されてお腹が一杯です。
地元の方が料理してくださっているから、とても素材の使い方が上手くて、我が家の料理人は真似できませんね。さすがです。
料理人舌鼓を打ちながら、幸せを噛み締めていると、それを眺めてレオが慈愛の眼差しを向けてくる。
それに、今までの行動が子供じみているようで恥ずかしくなってきました。
「真っ赤だよ?」
「れ、レオのその眼差しがわるいのですわ。まるで見守るかのような生暖かな視線。まるで、子を見る母のようです。」
「くくっ。確かに見守るような熱い視線だったな。そのコロコロ変わる表情が愛おしくてな。」
「なっ!」
恥ずかしげもなく言われる言葉に、嬉しさ三割恥ずかしさ七割でレオの顔が見られません。
新婚旅行に出てからレオの表現が激しくなっているように思います。
まだ新婚旅行が始まったばかりだというのにわたくしは持つのでしょうか。
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