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おまけ①
しおりを挟む「え、王位継承はまだやらない?」
そう驚いてカップを手に固まっているのは言わずとなが陛下で、陛下の前で優雅にお茶を飲むのはわたくしとレオの二人です。
この度、改めて結婚式をしまして陛下はいよいよ次は王位交代かと張り切っておりましたが、実は暫くは新婚旅行というなの旅に出ようかと思っております。
そう伝えれば、陛下が不満そうに声を上げた。
「まだ、ラスレアと出逢って数ヶ月なんだぞ。もっとお互いを知りたいだろ。」
「本音は?」
「ラスレアと自由にイチャイチャしたい。」
レオ?
そんなすがるような顔をしないでください。わたくしも生身のレオと暫くは静かに生活したいですから。
陛下には悪いですがまだお若いのですからもう少し頑張っていただいて、わたくし達は世界を見て見聞を広げたいのもあります。それにはまだ王という職業は邪魔なのですよ。
「と、いうことだ。頼むぜお兄ちゃん。」
「お兄ちゃんに任せなさい!って、おい。」
「ラスレア、許可も取れたし来週からは新婚旅行だな。」
「はい!有名な観光名所にもいきたいですし、魔界でエリザベート様にも会いたいです。」
「お兄ちゃんの話も聞こうよ。」
陛下がわざとらしくよよよと泣き真似をしていますが、それはスルーしておきましょう。わたくしも随分と図太い神経になりましたね。
そうそう、図太い神経といえばアリアですが、また何かをしようとしているとティグリスから情報が来ています。アリアはティグリスが自分にベタぼれ、実際そうですが、だと信じているので色々と情報が漏れもれです。
まあ、今や学園とは違い身分が盾になっているのでよっぽどの事が無い限りその思惑は成功しないでしょう。
ちなみにティグリスはアリアの家の商いが合っていたらしく素晴らしい才能を披露しているのだとか。男爵が凄く感動していました。
アリアの件はわたくし達が旅に出れば収まると思いますので放置です。
「お兄ちゃん、寂しくて耐えられないよ。」
「鬱陶しい!」
とうとう、陛下がすがり付くようにレオに抱きついたのをレオがもがいて抜け出そうとしています。
それを見て平和だなと思うのは、わたくしも慣れてきたということでしょうか。
それにしても、陛下はこう見えて冒険者だったのですよね。想像がつきません。
いつもの陛下ならわかるのですが、我が家の侍女曰くこの性格は昔からと言っておりましたのでそうなのでしょう。
いつか侍女が子供っぽいと言っていたのをこの陛下を見るたびに実感します。
「レオ、お義姉様にも挨拶を。」
「ああ。そうだな。」
「ラスレア嬢もお義兄ちゃんと呼んでくれ。」
「そろそろ時間ですので。」
にっこりとそのお義姉様直伝の笑みで答えれば、陛下の動きが止まってしまった。
あら、そう言えば父がこの笑みはよくお義姉様が陛下にたのみごとをするのに使っていたとか言ってましたね。
ふふ、今度頼み事をするときはこの笑顔でお願いしましょ。
「ら、ラスレア嬢。もう一度今の笑みを…お義兄ちゃん付きで。」
「ラスレア、行くぞ。」
陛下に捕まる前にレオがわたくしを回収してくださいました。
回収といっても抱き抱えられているだけですけどね。
そしてすぐに部屋から退室しました。時計を見ると王妃とのお話の時間が迫って来ています。
レオが少しだけ早足になって移動しました。
来週が楽しみだなぁ。
そんなことをレオの腕の中で考えながら王妃がお庭いじりしている場所へと向かいます。
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