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眠り
しおりを挟むカペルの身体がゆっくりと倒れ行く。
膝の力が抜け、身体の重さに耐えきれなくなった様に膝まついて、最後に上半身が前のめりになってきた。
身体に入った異物を排除を優先するため他の機能が冬眠するかのように落ちていってるのだろう。
誰もがその身体が地に伏せるのを疑うことはなかった。
だが、カペルの身体はそうはならなかった。
魔方陣が突如カペルの膝まついた床に現れたのです。魔方陣は目が眩む程の光を放ち、一瞬のうちにカペルの身体と共に消えたのでした。
辺りを見回して探してもその姿はありません。警戒をしながらさらに辺りをくまなく探していると、高めの男の声が辺りに響きました。
『今回は引かせていただきます。バフォメット様が眠りから覚めたらまた会いましょう。』
「手下がいた様だな。」
「ええ。だけと、暫くは安全かしらね。」
手下の言葉を信じれば なのですが、きっと大丈夫でしょうね。何せカペルが眠りについたのは本当の様ですし、彼が居なければわたくしを狙うのにメリットはありませんから。むしろデメリットだらけですしね。
とりあえず終わったことに深いためいきが口から漏れます。
次の問題はアリアやティグリス、ウルススの処罰。
特にアリアは殺人教唆などの罪の度合いが高い。ですが、カペルに操られてたという事実があるのです。
それを盾にされてしまえばすべて自由になってしまうでしょう。なんなら、ティグリスを王としたい者達はこの件を引き出して、ティグリスの王位継承を求める事も考えられます。
これからの課題が多過ぎです。
とりあえずは、一部ぽっかりと無くなってしまった教会の片付けと、客への謝罪等が待ってますね。
ですが…。
「先ずは治療をしましょう。」
そうなのです。
わたくしとエリザベート様はほぼと言うか完全に無傷なのですが、他の者はそうはいきません。
いざというときの為に見ていただけの筈の陛下や父まで、吹き飛ばされたり庇ったりでかすり傷がついていますし、直接戦っていた魔王とレオにいたってはボロボロという表現が似合います。
魔王の傷の大体がレオをかばってのものなので本当に申し訳ないですわ。
勿論、途中から乱入してきたアリア、ティグリスもいたるところ傷だらけです。
でも、この二人は拘束が何故か解けているので自衛も出来たのでまだましです。
ウルススは拘束されたまで端の方まで飛ばされてしまっています。
貴方、本当に魔法闘士?
「軽症の方はわたくしが治癒します。魔王とレオはエリザベート様にお願いします。」
「分かったわ。」
わたくしはまずは陛下を治療を施します。
カペルが転移して陛下を退かすのに腹を殴ったのか腹には赤黒く染まったアザが残っていた。
まあ、これぐらいでしたら自然治癒に任せた方が良いかしらね。
「私の治癒はいらんよ。後で妻にやってもらうから。」
「グリードは、愛妻とイチャつきたいらしい。」
「ちょっ、バラすなよ。」
はあ、そうなのですね。
じゃあ、父も母に治して貰ってください。
次にわたくしが向かったのはアリアの元だった。
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