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敵はバフォメット
しおりを挟むカペル・バフィー
わたくし達が正体を知ったとわかると彼は口を眉月の様に歪め嗤った。
何かをしでかす。
そう思ったときには父の友人が彼をとらえようと動き出していた。
もちろん、関係ない人を巻き込まないようにとの配慮に障壁が作られ避難の誘導も開始する。避難の理由は祝福でわたくしを狙うやからがわかったとしてもらった。
正解にはサーチ魔術なのだけと、最初からそれを狙ってたなんて言えるわけないじゃないですか。結婚式を利用していることでさえ心苦しいのに。
カペルは父の友人を一瞥し、靄のようなものを手に纏いそれを向けると父の友人の動きが止まり、苦しみの悲鳴を上げ始めました。
わたくしは迷わずに彼だけに炎の矢を打ち込みます。
その矢は彼がいた場所に刺さり、父の友人がその隣で倒れこみました。
「ラスレア様は凄いな。オレを見つけたということは2つの性質を使いこなすか。」
「あら、いやですわ。3つですわよ。バフィー様。」
「ああ、穢れに教わったか。」
あのお方、エリザベート様を穢れ呼ばわりするのは魔族の一部の方。
ということは未だに余裕を持つ彼は確実に魔族であるのだろう。そして、エリザベート様の事情をするのは上位の者。
「バフィー…バフォメットか。やはり此所に居たか。」
「はは。これはこれは、ヘタレな勇者,いや今は魔王殿でしたね。穢れの奴も元気そうで。」
「知り合いか。」
その正体が分かり、魔王がカペル見据えた。
エリザベート様も自らの魔法具を構えて魔王の横に寄り添っております。
知り合いである様子にレオが警戒を強めています。
「オレ達が此所に来たのはレオナルドの目覚のお祝いともう一つ目的があってな。」
「それがこいつかよ。」
「黙っていて悪かった。」
「確証がなかったのよ。」
魔王曰く、この男はカペル・バフォメットが本名なのですって。
魔族でも上位の存在であり、本来ならもうすでに百は超えているご老体のはずらしい。
でも、目の前のカペルはわたくしと同い年で学園でも何度か見かけた気がします。
アリアと共に歩いているのを見かけたのでしょう。
「身体を乗っ取たのか。」
「ご名答。カペルはこいつの本名でも有るんだぜ。それにしてもラスレア様はいつのまにその様な精度を得たのですか?ウルススの時はダメでしたよね。」
「やはり、あれも貴方が。」
「ああ。だけどラスレア様を殺そうとするとは思いませんでしたが。」
カペルが不思議そうに聞くようにわたくしの魔法は、広範囲だけでなく撃てるようになりました。
その要がエリザベート様でした。
元々わたくしが広範囲魔法のだけしか撃てなかったのは魔力の発し方が魔族寄りの人族だったからです。魔道具も人族の物で上手く機能しなかったのでした。
それを言葉通り見抜いて下さったエリザベート様がわたくしだけの魔法の使い方を示唆してくれたのです。
それにしても本当にカペルの目的はわたくしなのですね。
「まさか、あぶり出されるとは思わなかったぜ。」
「操る役者を間違えたのでは?」
「確かにそうだな。あの小娘がもう少し頭が良いかと思ったのによ。転生者とかなんか、私は愛されヒロインなのなんて言い出している地点で警戒しとけば良かったな。」
あら、アリア様はやっぱり転生者なのですね。
ちらりと魔王の方を見ればいまにもため息をつきたそうな雰囲気をかもちだしております。
乙女ゲームとやらをカペルに教えて、それを利用されたというところでしょうか。
「上手くいかなかったのはあんたのせいなの!」
「あーあー。煩いガキの世話は大変だったぜ。」
「カペ…ぎゃぁっ!」
アリアが声を枯らす勢いで叫んでいますが、それをカペルが手を振るだけで黙らせる。
まだ、繋がりが残っているのでしょう黒い靄が彼女の体にまとわりついています。
ただ、サーチ魔術したての時に比べて繋がりが強くなっているように見えるのは彼も覚悟を決めたのでしょう。
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