わたくしは貴方を本当に…

SHIN

文字の大きさ
上 下
21 / 34

やってまいりました。

しおりを挟む



 色々と濃い1日から早くも一週間が立ちました。
 わたくしの前には不機嫌な黒色の男が居て、わたくしにはとてもスタイル抜群な金髪美少女がへばりついております。

 そう、察しの方も居ると思いますが、この方たちが魔王とエリザベート様です。

 エリザベート様は想像の大人びたお姉さま系ではなく、なんと言いましょうか。


「巨乳幼女だろ?」
「え、あ、その。」
「あら、そう見えるなんて嬉しい。魔界向こうなんて、そんな事を言ってくれないんだもの。」


 こう見えて40歳過ぎてるわよ。
 なんて言われましたら、驚きであんぐりしてしまいました。隣で魔王にニコニコと笑いかけていたレオが教えて下さらなかったらしばらくはそのままでしたでしょう。


「エリザ、いい加減に戻ってこい。」
「あら、貴方も混じりたいのならそう言いなさい。」
「混じりたい。」


 …。

 いや、魔王様?
 もしかして不機嫌なのは混ざれないからですか?


「そうだ。こんなにも綺麗な魂は初めて見る。魔族は過度な光とかは苦手だがお前の魂の輝きは心地よい。その点で言えば、そこの男は苦手だ。」


 そこの男、いわゆるレオの事ですね。
 ああ、この場にはわたくし、レオ、魔王、エリザベート様の四人が居ます。父や陛下は忙しいらしいので最初の挨拶を終えたら直ぐに居なくなってしまいました。

 エリザベート様が、順番よと声をだしたらいそいそと並ぶお姿はかつての恐怖の姿とは掛け離れております。陛下の事といいもしかして偉い人って対面を整えるの大変なのかしら。


「エルザは良いがテメェは駄目だからな。」
「レオナルドったら嫉妬深い男は嫌われるわよ。」


 エリザベート様の言葉に、一瞬だけ問う視線が投げられた。
 大丈夫です。
 独占したい想いはわたくしにとっては嬉しいことで、嫌いになどなりませんから。

 しばらく、エリザベート様にわきゃわきゃと可愛がっていただいたあと、レオの視線などお構いなしに魔王がわたくしの手にそっと触れ微かな笑みと共に身体を調べるかの様に見つめました。
 

「うん。良い魂だ。もし、そこの男にあきたら魔界にぜひ来て欲しいな。」
「たぶんそれは無いでしょうからあきらめてください。」
「それは残念だ。で、俺たちに話があるそうだが。」


 名残惜しそうに解放されるとレオに威嚇の声をあげながら回収されました。エリザベート様に心が狭いわねなんて言われてますが、お構いなしです。

 こんな事されたことがありませんから、わたくしとしては嬉しいのですが。

 それはそうと。


「魔術、魔法についてお尋ねしたいのです。」
「ほう。」
「サーチ魔術が効かないのです。その者に掛けても何の反応が得られないのです。もしかしたら種族で違うのかなと思いまして。ですから何か解らないかと。」
「そんなの当たり前じゃない。」


 わたくしの問いに難しい顔をした魔王を尻目に、気軽に答えてくれたのはエリザベート様でした。
 視線が一気にエリザベート様に集中します。


「サーチ魔術って、魔力の変動をとか言ってるけど要は魔力の残り香を調べてるのよ。」
「残り香?」
「魔族、神族、人族。それどれ異なっているもの。その者が人族以外ならその魔力の性質を知らなかったら意味無いわよ。って、知らないの?」


 エリザベート様の話に、目を丸くして聞いていた三人は同時にコクりと頷いた。
 
 では、あの三人に効かなかったのはわたくしの思っていた通りかもしれない。


「ラスレア様がこっちと魔族の魔力の混在したなり方だったから知っていると思ってたら。」
「魔力が見えるのですか。」
「多少ね。」


 なんと言うことでしょう。
 わたくしの魔力はハイブリッドだったようです。
 
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

毒姫の婚約騒動

SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。 「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」 「分かりました。」 そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に? あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は? 毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

公爵令嬢と短気な王子様

ひろたひかる
恋愛
「貴様が彼女を迫害していたことはわかっている!」婚約者である王子から糾弾されている公爵令嬢サンドラ。けれど私、彼女とは初対面ですわ?★★★断罪イベントっぽいですが、乙女ゲー、婚約破棄物ではありません。一応恋愛カテゴリですが、コメディ色強いです。「小説家になろう」にも同内容で投稿しています。

乙女ゲームハーレムエンドその後に…

ひなクラゲ
恋愛
 ここは乙女ゲーム…  悪役令嬢が処刑され、主人公が攻略キャラ全員とハッピーエンドで終了した世界…  でも……  ゲームは終了しても世界は続く…  ハッピーエンド! その後に……

悪役とは誰が決めるのか。

SHIN
恋愛
ある小さな国の物語。 ちょっとした偶然で出会った平民の少女と公爵子息の恋物語。 二人には悪役令嬢と呼ばれる壁が立ちふさがります。 って、ちょっと待ってよ。 悪役令嬢だなんて呼ばないでよ。確かに公爵子息とは婚約関係だけど、全く興味は無いのよね。むしろ熨斗付けてあげるわよ。 それより私は、昔思い出した前世の記憶を使って色々商売がしたいの。 そもそも悪役って何なのか説明してくださらない? ※婚約破棄物です。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

侯爵令嬢の置き土産

ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。 「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

処理中です...