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中編

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 俺がギムラ共和国にやってきて最初に感じたこと。「ここは地獄だ。」

 まず最初に、この国は暑い。死ぬほど暑い。一年を通しての平均気温が20度を超えているのだ。

 雪国生まれの俺には、東京での生活でも少し苦しかったのに、ましてやこれでは雪だるまのように溶けてしまいそうだった。

 そして3日に一度。街で銃声がなる。いつか言ったと思うが、このギムラ共和国はとても。とてもとても治安が悪い。

 そのため、飲んべえが酔い潰れて誤射したり、ギャングのような若者たちが使ったりしていたりする。

 なぜ会社が俺をこんな治安の悪い国に俺をよこしたのかがようやく分かってきた。

 おそらく会社は俺をクビにしたかったのだろう。そこで、俺をこんなところへと左遷して、ここで死んだら万々歳。無事帰国できたとしても何かが変わると思ったのかもしれない。

「ふざけるんじゃ無いよぉ。」

 俺は街の寂れたバーでぼやいていた。上司からは英語ができれば大丈夫だよ!って言われて来たけど実際は全然。

 会話の8割以上が原住民語のギムラ語で行われいて、日本語と英語しか話せない俺には、商談相手が何を話しているのか。スーパーマーケットの店員さんが何を話しかけているのか。その全てが俺には分からなかった。

「早く帰りたい。日本語で会話がしたい……」

 そう強く願っても、出張の期間は短くならない。いっそのこと会社を辞めてやろうかとも思ったが、決行までする覚悟が俺にはなかった。

 その代わりに俺は毎夜のようにバーや居酒屋をハシゴして、朝方まで飲んだくれるという堕落した生活を送っていた。

 

 そんなある夜のことだった。今夜も俺は、治安の悪い街を飲み歩いていた。すでに日付は変わっていて、3件以上の飲み屋をハシゴしていた。

 千鳥足をふらつかせながら、俺は店のドアを押して開いた。

 暗い店内をピンク色の照明が妖しく照らしていた。なんだか少しムラムラとした気分が起こってくる。

 店内には、がたいの良い黒人の男性が5、6人いて、彼らは俺のことをじろじろと見てきた。やはり俺の存在は珍しいのだろうか。

 カウンターに座って、酒を頼んだ。ヒビが入った小洒落たグラスに注がれた酒が俺の前に置かれた。

 それと同じタイミングで一人の黒人男性が俺の隣の席に座った。

「djgtd dkgkcnzn dkmwo?」

 ギムラ語だろうが、俺には何と言っているのかもちろん分からない。

「Sorry, I can't speak Gimran.」(ごめんなさい。俺ギムラ語話せないです。)

「dkfogg akffosn djtjaammn figkd sskdi skm」

「???」

男が俺を見る目がだんだんと変わってくるのが分かった。

「うぅん!」

ん!?喘ぎ声?驚いた俺が振り返った先では、ガチガチのマッチョな男二人が、アツ~く深~いデープキスをしていたのだ。

やばい。どうやらここは。ゲイバーのようだ。

俺はこのとき悟った。
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