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プロローグ

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とある酒場の2階にある宿の薄い扉から漏れる女のすすり泣く声とギシギシッとベッドの軋む音


男の上で一心不乱に動く度、白い肌の豊満な胸がたぷんたぷんと上下に揺れる
女の胸には幾つもの赤い印

「…あっ…んっ…あぁっ…っ」


「っっココ好きだろっ」

女の細い腰を掴み下から突き上げる男はもう何度目か分からない行為に女の好きな所を探り当て限界が近いのか責め立てる

女も負けじと男の欲情した雄を蜜壺できゅうきゅうに締め付け搾り取ろうと腰を上下に動くのをやめ押し付ける

「ぁぁあああああぁあ」
「…っ…くっ」

男も女の蜜壺に押さえつけ中に白い証を叩きつける

ぐったりとして男の胸に崩れ落ちる女を抱きしめ
はぁはあと2人の荒い息が室内に響く

繋がったまま息を整えた2人は、気がつくと顔が近寄り舌を絡める濃厚なキスをして男が女の豊満な胸を揉む
甘い女の喘ぎが口元から零れたのを機に、男が繋がったまま片手で女をベッドへ沈ませる
深いキスをしながらスライドする腰に、女の細い脚が男の腰に巻き付け密着する

甘い喘ぎと男の低い声とベッドの軋みは明け方まで続き





陽が出てしばらくして男が目を覚ました時


女は居なくなっていた











****************











どうしようどうしようどうしよう




男爵令嬢ミズナ・カルローイは自室でとてつもなく焦っていた


日の出の数刻後に屋敷に戻ったミズナは
とにかく疲れていてフラフラになった身体で、ベッドへ着替えるのも後回しにして眠る事にした
しかしお昼過ぎに起きた時には、倦怠感が酷くまだ寝ていたかったが、取り敢えずお風呂に入って着替えようとお風呂場に行くと全身にある赤い印と白い証が身体にこびり付いていた事に気が付き、昨夜の出来事を思い出した



昨日は滅多に出ないお茶会へ誘われて、年下令嬢に「まだ婚約者はいませんの?」オホホと小馬鹿にされ、おすすめのお菓子ですと、食べないと失礼だなと思って食べたのがいけなかった
そそくさと退場した後、週3日のバイトがあったので酒場【月の雫】へ向かい働き始めて数刻、身体が異常に熱くピリピリとした痺れに踞っている所を常連客の男に介抱してもらい、今の状態を素直に言ったら媚薬を飲まされていると言われ、熱を冷ますには男の熱が必要と言われた

最初は拒んでいたが溢れ出る欲望に我慢出来なくなり遂に男の手を借り身体の熱をどうにかしたのだ



ーー初めてを常連客としてしまった


破瓜の痛みもあったが、回数をこなす毎に快感へ変わり最後にはもっとと求め合い少しだけ眠り男の腕から抜け出した



絶望的な気持ちになり頭を抱え取り敢えず身体を潔め着替え自室へ戻る


ミズナは男爵令嬢で父、母、兄が2人いる5人家族の末っ子だった
今年19歳になり本当なら婚約者がいてもおかしくない年頃だが、カルローイ家は家計が火の車で婚約者よりもお金を稼いでくれと家族に泣かれ週3日のアルバイトに精を出していた
父は領地、母は裁縫で内職、兄2人は城で優秀な文官と身分を偽り下町で働いていた
私も社交界デビューをしてすぐ下町へ出て今の職場【月の雫】で働き始め、酒場は治安が悪いと思っていたが騎士団御用達のためか比較的治安が良いので、マスターにも可愛がられ
最初は慣れなかった酒場も、今は酔っ払いをあしらう事も出来る様になった


問題はそこじゃない


いくら媚薬を盛られたからといって常連客と一夜を共にした事が問題だ

常連客の名は…確か…



確か…



ーー名前が………分からない


絶望がまた押し寄せて来た
彼は私が働き始める前から通っている古参客で週3日以上酒場の右奥の定位置で呑む
赤い眼は人を殺さんばかりに鋭い、茶色の髪は短く身体は大きく160センチの私よりも30センチ以上大きい
カウンターの椅子で厚い逞しい身体を縮こませ酒をちびちび呑む姿は年上だが、ギャップが可愛い
私が座っている彼の横に立つとやっと同じ目線なのも面白い
彼が居ると何故か酔っ払いに絡まれる事もなく、平穏なアルバイトの時間がすぎる


自室に戻り、ベッドに腰掛けると
ホッとしたのかお腹がぐぅと鳴ったので食堂へ行く事にした
我が家の家計は火の車で使用人も少なく、私付きの侍女はいない
そのため身の回りの事は自分でやらなくてはいけないのだ


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