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番外編  クリスマス会の後で クリスマス企画第2弾2 メガネ彼女と野獣

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道森みちもり愛美まなみは、イライラしていた。それもそうだ、今日は由伸の会社の同僚と集まってクリスマス会に参加するのに、俺も参加するって言っていた肝心の彼──榎本えのもと由伸よしのぶが来ないのだ。
「電話しても出ない…なんなのっ」
一度家に帰ってから、会社に持って行ってた荷物を下ろし、クリスマス会に──と言ってもプレゼント交換するわけじゃなくて、クリスマスを楽しもうってだけのただの飲み会だけど──持って行くお財布と携帯と家の鍵がついたキーケースをお出かけ用のバッグに入れた。
もう先に行こうかと思って玄関先の大きな姿見がある鏡を見ると、普段の自分じゃない・・・・・・地味な私がそこにいた。黒い髪をお団子にして、分厚い黒縁メガネで目元が隠れ、申し訳ない程度に付けた薄化粧、身体のラインが出ないワンサイズ大きな洋服のチェック柄の襟付きのシャツとブルージーンズで外見に無頓着な女性だと印象付ける。
──これでいいと思っていたけど…
本当にこれでいいのだろうか、と急に悩むのは、最近彼氏と上手く行ってない気がするからだ。
彼──由伸と付き合って大分経つが、彼は私が会社に行く姿も普段の姿も知っているし、こうしろとか、ああしろって言わない。彼にベタ惚れしている自覚はあるが、最近の由伸は夜にどこかへ行ってしまう。それに一緒に居るのにスマホを見る機会が増えて、私は浮気を疑ってるけど、なかなか証拠をまだ掴めないでいた。
──もしかしてメッセージのやり取り消してる?
彼がお風呂に入っている時にスマホを見ても、SNSのメッセージアプリやメール、通話すらも私の名前の方が出てくるのが多いし、メールなんてほとんど売れ筋などを配信する通販サイトやポイント会員用のメールだ。一番疑わしいSNSのメッセージアプリなんて、会社のグループラインしかないし、参加してるのは男だけで、個別にやり取りしている形跡すらない。

お互い一目惚れだったんだと思う。強烈に惹かれ合い同棲したはいいが、もしかしたら同棲した後に嫌なところが目について、私の事嫌になってしまったのかもしれない。だって今がそのいい例だ。電話しても出ないし、最近の私は由伸の浮気を疑ってピリピリしてるから怒ってばっかりで由伸も気がついているはずだ。
──地味な私が嫌になった…とか?
ものすごく地味で野暮ったい女性を演じているのには、私なりに訳があった。
自分で言うのもなんだけど、超絶美女なのだ。生まれ持って貰った身体は、どんなに日焼けをしようと夏場に海へ行っても肌が赤くなるだけだし、太ろうと思ってデブ活をしても気持ち悪くなって体調を崩すだけなので諦めた。顔は小さくて卵のようにつるんとした輪郭なのに、大きくてぱっちりとした瞳、スッと長い鼻筋と小さな口、ぷっくりと瑞々しい唇はいつも由伸に甘噛みされて彼のお気に入りの場所のひとつだ。溢れるような形の良い胸も、折れそうなほど細いくびれのある腰周り、スラッと伸びた脚も由伸を夢中にさせているから自分の身体や顔が好きになってきていると思っていた。だけど、私が地味な装いをなくすと同時に、どうでもいい男からも熱い視線を向けられるから、普段から地味に装うのが当たり前になっていた。
──やっぱり地味な私に嫌になったのかな
メガネを取ってメイクを落とそうと脱衣所へと向かおうとしたら、玄関のドアが開いて、ずっと待ち侘びていた男が入ってきた。
「…悪い待ったか?」
「…ううん、平気、もう行ける?」
「ああ、行ける…着替えるのか?」
「着替えようと思ったけどやめた」
いつもなら嫌味のひと言二言何かを言うけど、今日はそんな気分になれなくて、自分の思いを飲み込んだ。
彼が好きな格好をしようと思ったけど、今から行くのは会社以外の一般の人がいる居酒屋だ。変な事にして、ただでさえ参ってるのに、余計に精神を削るようなことになりたくなかった。でも、
「…メイクだけしていこうかな、ちょっと待ってて」
「………化粧するのか」
彼の心が完全に他の人に移る前に、少しでも彼の横に座る自分が綺麗でいたいと思って寝室へと向かっていた私の背後から不機嫌になった由伸が返事をしたのだが、私にはちゃんと聞こえなかった。




***************



「カンパーイ!」
大衆居酒屋に到着すると、私達の後からゾロゾロと参加者達が集まり始めていて、案内された席に行くと、すでに飲みはじめている人もいた。
誰かが来るたびに、手に持つグラスを高く上げて、乾杯をする5人のおじさん達は、由伸が配属されているライン部門のお偉いさんで上司でもある。
「おおっ!道森さんっ、こっちこっち」
部下の由伸ではなく、私を呼ぶのは、以前由伸のライン部門の従業員でBBQをしたから、顔見知りになったからで、おじさん達との奥さんとも仲良くなったからだ。奥さんと仲がいいとおじさん達は嬉しいみたいだ。
「お疲れ様です」
私がおじさん達のいる席に座ると、もう生ジョッキがいくつか空になっていて、おつまみも食べた形跡があった。
「…マジで早くないすかね」
ちゃっかり同じテーブルに着いた由伸を見て、おじさん達はにやにやとにやけはじめた。
「お前ね、とって食いやしねぇよ」
「あははっワシらそんなに魅力的に見えるかねっ」
両腕を上げて筋肉を強調するおじさんに周りが、どっと笑う。
「…ったく…もう酔ってんのかよ」
揶揄われてバツの悪い顔をした由伸は、捨て台詞を言うが、当のおじさん達は気にしていない。子供のように揶揄われる由伸が面白くて、私も思わず笑ってしまうと、おじさんが、ほうっ、と吐息を漏らした。
「…なるほどな、こりゃ大変だな」
「そうだな、榎本」
うんうんと頷きあって、今度は由伸に哀れみの視線を向けるが、私は何が起こったのかわからなくて首を傾げると、
「…気にしないでくれ、酔っ払いの戯言だ」
と、由伸が呆れた顔をしながら小声で話しかけてくれた。


参加したライン部門の従業員とその家族が集まると、飲み会は大いに盛り上がった。そして私はおじさん達の輪から離れて、女性陣のいる所に移動して、話していると隣の席に座っていたスーツを着たサラリーマン風の男性に声をかけられた。
「今日は飲み会なん?」
「…あー、そうです」
明らかに私に話しかけてきたが、私の横にいた由伸の同僚の彼女が返事をした。私が返事をしなかったから、眉を寄せて不機嫌になったサラリーマンは今にも舌打ちをしそうだ。
「そうなん?何時まで?」
怯むことなくもう一度私に声をかけ、私がチラッと彼女を見たら、彼女はうん、と一度頷いた。
「それはわかりません、まだ始まったばかりですし」
私は思わず口が開いて、サラリーマンに返事をすると、酔っ払ったサラリーマンは私が返事をしたのが嬉しかったのか、ニコニコと笑顔になって身を乗り出した。
「そうなの?なら、この後一緒に飲みに行かん?」
クリスマス会に参加した後は特に予定はないが、由伸と帰るだけだ。だけど、こんな知らない人と話したくないし、一緒に帰るのは絶対に嫌だった。
でも今それをこの酔っ払いに言ったら、余計に絡まれて面倒な事になるのは必須だった。
「…なぁなぁ」
猫撫で声で話しかけられても、気持ち悪いだけで返事に困っていると、同僚の彼女が席から立っていなくなってしまい、余計に困ってしまう。
──どうしよ…由伸呼ぼうかな
と、由伸のいる男性従業員の集まる席を見ると、由伸がいなかった。
「こっちみてーよ」
そう言って私の肩に手を乗せて、私の顔を自分の方に向くように引かれた。顔が近くてアルコールの匂いがする。よく見なくても頬も赤くて完全な酔っ払いで、これ以上顔が近寄ると、サラリーマンの息が私の顔にかかりそうで顔を背けようとしたら、
「…俺の彼女に用か?」
と、普段とはワントーン低い声の声がして、振り向くとそこには由伸と由伸の後ろに同僚の彼女さんがいた。
──あっ、呼びに行ってくれたんだ
ほっとすると同時に、由伸に睨まれてるサラリーマンに同情してしまう。
「…ありがとう」
「良かった、無事で」
同僚の彼女の所へ行って、彼女にお礼を言うと、彼女は間に合って良かったと言ってくれた。
「…いや、これは」
「話しかけんな」
会社でも一番強面で怒ってないのにみんなに怖がられている由伸に睨まれ、サラリーマンは一気に青ざめている。それに加え、由伸が吐き捨てるようにサラリーマンに言うと、私の腕を掴んで
「…ちょっと来い」
と私をお店の外へと連れ出した。



「…お前な」
居酒屋の外にある大きな機械が外壁に付いている薄暗い所に連れてかれ、掴まれていた腕を離された。はぁー、と盛大なため息をついて、由伸は自分の頭をガシガシッと掻いた。
「…なに」
不機嫌な由伸に当てられて、私の声も低くなってしまう。
「…いや、愛美のせいじゃねぇけど」
私のせいじゃないと声のトーンを変えて言うわりに、彼が握っている拳には血管が浮き出て力が入っている。これは相当怒っている証拠で、他のひとに声を掛けられたから怒っていると思うと、胸の奥に合ったイライラや不安が小さくなっていくのを感じた。
──怒るってことは、私の事まだ好きってことだよね
わざと怒らせて彼の私に対する感情を試しているわけじゃないけど、私のために怒ってくれる由伸がやっぱり好きだと感じた。上着も何にも着ないで外に出されたから、寒くなって由伸の腰に腕を回してに抱きつくと、由伸は私を抱きしめた。彼の着ている服は冷たくなっていたけど、抱きしめられているからだんだん暖かくなってくる。
「…嬉しい」
「何が」
「やきもち」
「当たり前だろ」
くっついているから、私の小さな声なんて簡単に由伸に聞こえる。しかも、由伸はさらに怒るわけでもなく、淡々と言ってくれるから、嬉しい気持ちがまた大きくなって由伸に回した手に力が入った。
「…だから嫌だったんだよ、クリスマスに飲み会とか意味わかんねー事しやがってさ、あの人達…俺が断っても愛美を呼ぶとか言い出すしさー」
ぶつぶつ文句を言いながら私の頭に鼻と唇を押し付けて話すから、彼の息が掛かる。
「…そうなの?」
由伸がクリスマス会のイベントに参加したくないなんて初耳だし、由伸が断っていたら私だけが参加する事になっていたなんて知らなかった。しかも由伸が断って私だけがクリスマス会に参加していたら…
「クリスマスに由伸ひとりぼっちじゃん」
っ思わず笑ってしまうと、由伸の唇が私のおでこにぶつかった。
「…それとも…他に誘う人いた…?」
ひと通り笑った後に、頭に浮かんだ言葉が口からするっと出て、ハッと口に手を当てると、由伸が
「…どういう意味だ?」
って、さっきまでの和やかな雰囲気がぶち壊されてしまった。私の口の前にある手を彼の手が退けると、私の顎に手をつけた由伸は私の顔を上げて彼と目が合うように、額と鼻の先を重ねた。
「…ッ…最近っ、帰り遅いしっ、スマホばっかり見てるからっ」
真剣な眼差しの彼に観念した私は、最近の由伸の不審な行動に浮気を疑っていたと白状した。
「…だから怒りっぽかったのか」
私の行動に謎が解けたように納得した由伸は目を見張ると、その後は嬉しそうに笑う。
「なんで笑うのっムカつくっ」
「いや、愛美のやきもちって可愛いなと思って」
「はっ?ムカッ…ンッ、ん」
その心底嬉しそうな言葉に、私がどんだけ悩んだと思ってるのっ?と言おうとしたら、口を塞がれ由伸の舌が私の舌を絡めた。顔の角度を何度か変えてキスをしていると、由伸が名残惜しげに私の唇から唇を離した。
「帰るか、今日は絶対にむちゃくちゃ抱くからな」
「…由伸酔ってる?」
外でこんなことを言うなんて珍しいと驚いていると、
「いや…ちょっと待ってろ…じゃねぇ、こんな顔した愛美を残したら逆に心配だわ…っ…そうだ」
由伸が片腕を上げて頭に手を置いて悩んでいる姿が可愛くで、背伸びをして彼の耳の下の顎のラインをペロリと舐めると、由伸は私の腰に回していた手をお尻に移動させて、鷲掴みした。そしてスマホを取り出して、誰かに電話を掛けると、私のお尻を自分の身体に引き寄せて腰を一度だけ揺らした。履いていたズボンフロント部分が私のお腹に当たり、寒かったのに一気に身体が熱く感じる。
「…っ、由伸っ」
私を見下ろした由伸の口角は上がっているのに、目は笑っていないし、誰かと会話を始めるから私は口をつぐんだ。
私の身体を居酒屋の壁面に押し付けると、腰を本格的に押し付けて下から突き上げるように擦り付け始めた。
──ウソっ
って言いたいのに、誰かと会話している由伸に抗議も出来ない。抗議したら相手にも何をしているのか、バレちゃうからだ。
まるで抽送されているみたいに、一定の速度で腰を押し付けられれば、その気になってしまう。もっとどろどろに愛し合いたいと思うようになってしまうのは、由伸のことが好きな私には自然な事だと思った。由伸の首に腕を回して彼の顔を自分の方へ引き寄せると、彼の口を塞ぎ、自分から舌を出して彼の口の中に入れた。彼の舌に吸い付き、舌を絡ませると、由伸の手が私のお尻や背中を弄り、私が始めたキスに返事をするように主導権を握り始めた。
「んっ、っ、んんっ」
足を上げると、由伸は私の太ももを掴み、2人の下半身はさらに密着した。
「これ以上したら、止められる自信がない」
とキスを中断され、由伸の頬にキスをしたり、舌を這わせていたら、彼が私を居酒屋の壁面にもたれかけさせたままで、突然私の身体から離れた。彼が行っちゃうと思って付いて行こうとしたら、大きな手で止められる。
「…悪いな」
「いやいいっすよ、今日の参加も強制でしたし、彼女さん大丈夫ですか?」
「ああ、外の空気吸ったら楽になったみたいだから……っ、もうこのまま帰るよ」
「わかりました、そう伝えときます」
「頼む、じゃ、また月曜日に」
「はいっ!お疲れ様です」
数分の会話なのに、由伸が他の人と話しているのが耐えられない。私の肩に置かれた手を取り、彼の指先を舐めると、一瞬だけ彼の身体がぴくりと反応した。人差し指と中指を口に入れ舌を這わし、私の涎でびちゃびちゃに濡らしていくと、由伸は私の口内で指先を曲げ始めた。
──どうしよう、足りない
さっきめちゃくちゃに抱くって言った由伸の言葉を思い出して、下半身が疼く。由伸の手を口に入れたまま、私はズボンのボタンとファスナーをゆっくり下ろすと、私の口にあった彼の手首を掴み、私の下着の中へと入れた。下着の中の下生えの先にある蜜口を目掛けて由伸の指先が入り、彼は変わらず会話を続けている。
「っ!?」
すると由伸の指先が曲がり、私の蜜壺の中へと入っていく。キスをして腰を合わせただけなのに、洪水のように蜜が溢れた私の蜜壺にすんなりと彼の太い指が入ると中を掻き出すように回す。彼の腕を掴みながら腰が揺れると、私の蜜壺に当たる彼の指先が私の気持ちいい所に当たる。口を抑えて声が漏れてしまうのを防ぎたいのに、彼の腕を自分の気持ちいい所に誘導するのも止められない。くいっ、と指先が一点、蜜壺の側面に当たり、頭が外壁につき背がのけ反りながら一気に快感が全身に巡り達してしまった。
ぎゅうっと彼の指を締め付けていると、由伸の親指が私の下生えを撫でた。
「…はっ…あっ」
思わず声が漏れてしまうと、口から白い息が空中に出た。
「…イッたか」
気がついたら、由伸の顔は私の顔のすぐそばにあって、彼の指は私の蜜壺の中に入っているのを除くと、蜜口の縁を撫でていた。
「…イッ…た」
「そうか」
そう言って由伸は私の口を塞ぐと、荒々しく口内を彼の舌が動き回って、満足したら頬や首筋を舐められた。
「あー、もうこのまましたい・・・
彼は私の肩に顔を埋めると、ぎゅうぎゅうと抱きしめた。抱きしめられた拍子に、お尻から太ももに上着とバッグが当たる。もしかしたら、中にいた人が私達の分の荷物を持ってきてくれたんだ、と思ったけど、由伸が私を抱きしめているって事は、もういなくなったんだと彼の腕の中で思っていたら、
「俺といるのに他に考えごとか?」
下半身の中に入っていた指が動き出した。蜜壺が由伸のぎゅうと締め付けると、彼の指先はパラパラと動いて中を広げた。
「んっ、違っ」
上唇を甘噛みされ舌の絡まる濃厚なキスをしていると、蜜壺から指が抜かれた。目の前に私の下着の中にあった由伸の手があり、指先がてらてらと光っている。由伸は自分の口に指先を抵抗もなく入れると、ちゅう、と音を立てながら舐め始めた。その姿は色気があって見惚れていたら、由伸は舐め終わった指を口から取って断言した。
「…タクシーで帰ろうと思ったけど、ホテル行くぞ」




***************



予約が必要な豪華なホテルじゃなくて、休憩時間のあるどっかのホテルの一室に入ると、着ていた上着を順に脱がされた。自分で脱げるとは思ったけど、私の服を脱がすのも好きな由伸に身を任せる事にした。
「お風呂入る?」
「俺は後でもいいけど、入りたいのか?」
入ってもいいと言ってるのに私が下着姿になると、私を抱き上げて、部屋の中のベッドへと移動した。そっとベッドの上に置かれ、由伸は自分の服を脱ぎ始めた。
服が脱げるたび露わになる鍛えられた身体は、出会った時と変わらない。私もブラのフックを外した時には、由伸はベッドの上に膝をつけて私の身体に手を伸ばした。背後から抱きしめられながら、肩から腕をなぞられ、振り向くと唇が重なる。大きな舌が私の口内にはいる。
「…好き、由伸だけ」
「俺も好きだ、他に好きなヤツ・・できても別れないけどな」
どういう事だと思って、じっと由伸を見ると、彼は
「…最近怒ってばっかりなのは、他に好きなヤツが出来たからだと思ってたんだ」
「そんなわけ」
「だから、マンネリにならないように色々調べたり、人に相談したりしてたんだ」
と、ここ最近の由伸の不審な行動の謎が解けた。振り向いて由伸の首の後ろへ腕を伸ばすと、正座した彼の足の上へと乗った。
「…嬉しい、私も絶対に別れないよ…浮気したら許さないけど」
「するわけねぇだろ」
片手で難なく私のお尻を持ち上げ、彼のボクサーパンツから盛り上がっている昂りの上へと下ろされると、私は足を伸ばして彼の腰の後ろへと回した。お互いの顔がそばにあり、磁石のように惹きつけられると、熱いキスを始めた。キスをしながら正座していた由伸が足を崩して、私のお尻を掴んだままベッドのスプリングを利用しながら下から突き上げ始める。由伸の昂りが下着に擦れて気持ち良くて、私も腰を前後に動かすと、蜜で濡れた下着が下半身に張り付いていく。
「はっぁ、っん、欲しっ、い、由伸っ」
「ああ、俺も早く愛美の中に入りたいっ、っ」
由伸のこめかみに舌を這わし頬を甘噛みしておねだりをすると、彼の熱い吐息が私の乳房を口にした。彼の口の中に入った粒を強く吸い付かれながら、彼の首の後ろから手を下ろし、由伸のボクサーパンツのフロント部分から昂りの先端を出して、自分の下着をズラす。そうすると彼の昂りが私の蜜口に当たり、そのまま蜜壺の中へと入っていく。
熱く太くて固い昂りが蜜口を広げて蜜壺の奥へと入って、ズズッと蜜が潤滑油のように膨らむ昂りを誘う。ぎゅうっと締め付けると、私の乳房を舐めていた彼が、私の乳房から口を離して私の胸の谷間に顔を埋めた。由伸の頭を抱きしめると、腰に回された手が私が逃げないように固定すると、一気に貫いて一つになった。
「あっぁああっ!」
「ぐっぐ、っ」
まだこの部屋に入って10分も経っていないのに、もう深く繋がり絶頂へと達した。彼の鼻息が谷間の奥に入り、くぐもった声が小さくなる。蜜壺にある昂りをぎゅぅぅっと締め付けると、彼の昂りは膨らみ、勢いよく私の蜜壺の最奥へと熱い証を注ぐ。
彼にしては早い終わりに物足りなさを感じると、ベッドへと繋がったまま仰向けに寝かされ、繋がった箇所を親指で触りながら由伸は、ふぅ、と息を吐いた。
「極上の女を…誰が手放すかよっ」
親指が蜜口から出た粒を押しつぶすと、蜜壺がぎゅうとまた締まり、蜜壺の中にある昂りに刺激を与えたのか、蜜壺の中がぱんぱんに満たされていくのを感じる。
「由伸っ、あっ、あっ」
パンッパンッと由伸の腰が私のお尻にぶつかる音を出しながら勢いよく始まった抽送は、容赦なく私の感じる場所を目掛けて昂りを当てにくる。頭が真っ白になりそうで頬に手を添えて喘いでいると、彼は上体を前に倒して屈み私の口を塞いだ。ひと突き、ひと突きが重く、快感で痺れる手足が彼の身体に指先の爪を立てた。獣のように唸る彼の声を聞いて、誰よりも愛していると頭をよぎる。
「あっ、はぁんっ、そっ、んんっ」
「愛美っ、まなっ…み…っ、ぐっ」
円を描きながら腰を打ちつけられ、お互いの限界が近づいた時、ほぼ同時に果てた。腰をピクピクと動かし絶頂の余韻に浸っていた由伸に、私は彼の耳にちゅうちゅうと吸い付いた。
「…ん、っ」
顔を上げた彼と唇を合わせると、しばらくはキスを続けた。
「まだ、クリスマスは終わってないからね」
由伸のプレゼントも渡してないし、ケーキもチキンも食べてない。エッチはイベントが終わる最後の項目だったのに、先にしてしまった。
「…なら、また明日も明後日もクリスマスをやればいい」
日付なんてただの数字でしかない、と笑って言う由伸に、
「…また明日もする?」
「そうだな、とりあえずは来年も再来年も辞めるつもりはないな」
クリスマスのことを言っているのに、由伸は腰を動かし始めた。
「もっ、もうっ?ちょっ…と…あっ、休憩っ…あっ」
「しょうがねぇよ、今日クリスマスだからな」
先に好物を食べるのが、俺なんだ、と開き直った由伸は、次の日の朝方になるまで離してくれなかった。
「浮気なんて心外だ」
「わかった、ぁっ、ごめっ…んんぅぅっ!」
「いや、許さないぅ、俺の気持ちを疑うくらい伝わってなかったってことだろ?今後はちゃんと・・・・するからなっ」
詰るように、なのにもう我慢はしないと由伸は嬉しそうに──むしろ今まで我慢していたとは思えなかったけど──私の身体を愛してくれた。
これじゃあ、月曜日に会社に行けなくなっちゃうと言えば、気分が悪くて飲み会を抜けたから怪しまれない、と俺も体調悪いの移ったと言って休もうかと悪魔の囁きを私に告げる。
──月曜日も一緒…?
魅力的な提案に、きゅんと反応した身体の変化は、繋がっているためにすぐに由伸にバレて、由伸を喜ばせるだけだった。

「メリークリスマス、愛美」
「メリークリスマス由伸」
プレゼントもケーキもチキンもないのに、2人で過ごしたクリスマスは最高の思い出となった。家に帰ってからクリスマスのお祝いはしたけれど、別に由伸さえいればいいと改めて思った日となった。
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