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5 残業の日

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金曜日になった。
普段ならお昼頃に指定された場所ホテルの連絡があるのだが、先週会った時にも決算期だから忙しくて金曜日に会えないと伝えていたからか、今日はまだ連絡がない。
――明日は…どうするんだろ…会えるのかな
毎週会うのは絶対とかどんな俺様だよ、と先週末の出来事を思い出し、ふふっ心の中で笑う。
――しかも…名前で呼び合うようになったし
ただのセフレなのか、それとも恋人なのかも曖昧なまま、ここまで過ごしてきてしまった。でも、好きとも嫌いとも言われてきてないのをいい事に、ずるずるとこの関係を続けているし、自分からもうやめようと言うつもりは、今のところない。
――彼女は居ないって言ってたし、未婚なのは確認済みだ
なんせこの会社は飲み会や社内イベントで社員同士の距離が近く、それぞれの家族構成や恋人の有無などをなんとなく知っているのだ。
「…先輩、この数字の場合どうすればいいですか?」
「…ああ、これは…」
そんな事を思っていると後輩に声をかけられてしまい、仕事中に違う事を考えていたのが恥ずかしくなる。




***************

 
 
「お先に失礼いたします」
「お疲れ様でしたー」
一人、また一人と経理課の人達が帰って行く。私は今日入力した数字が合っているのか、最終確認をしてから帰ろうと、まだパソコンと睨めっこをしていた。
「…ここ、が…コレで」
ひと通り見て数字も合っていたから保存ボタンを押して、伸びをすると夜の21時を過ぎているのに気がついた。
「…もうこんな時間か」
と独り言が漏れてしまい、周りを見渡すと私以外誰も居なかった。
それなら、とスマホを取り出すと、よく利用する通販サイトからのメール以外特には新着の知らせが無くて、がっかりとする私がいた。
――結局、明日…会うのかな
うーん、と悩んでいると、私のデスクに白いビニール袋を置かれた。
「?」
白いビニール袋の取手から伸びた血管の浮き出た太い腕が、目に入った。そのまま腕を辿り上を向くと、呆れた顔の秋人がそこに立っていた。
「…お前は、まだ残ってるのか」
「確認したら帰るつもりだったよ」
こんなに残業するなら、そんなのは週明けでもいいだろ、と、彼の視線がそう告げているような気がして、バツが悪くて言い訳のような言葉が出てしまう。
「ほら、飲めよ」
そう言ってデスクに置いたビニール袋に向かって、顎を動かすと、
「…ありがと」
照れ臭くなってビニール袋に手を伸ばすと、私がよく飲むホットのお茶と小さな袋に入ったチョコが何個か入っていた。
「遅ぇ…ったく最後まで残りやがって」
そう言いながら私の横にある無人の椅子に座ると、ギシッと椅子が鳴る。
「…しょうがないでしょ、初めての決算業務は、ちゃんとしたいし」
4月から入ってきた新入社員は、入って来て初めての欠陥だらけの決算業務をしたって、来年分担する所を任せても覚えていないだろう。だったら最初からスムーズな流れが分かったほうが、理解できるし私も来年は少しだけ楽してが出来る。
去年の4月に入社した新入社員の後輩くんは、確か色々な部署に研修していたから、大まかな流れとか知らないのだ。
「ちっ、またあいつか」
面白くなさそうに舌打ちする秋人は、キャスターの付いた椅子で座りながら移動すると、私の側までやって来て私のデスクに肘をつけた。私がお菓子を食べる姿はそう珍しくないのに、じっと見てくるから居心地が悪い。
「…何よ」
さっきまで不機嫌そうだったのに、口の端を上げてにやにやとしている。
「別に、折角待ってたんだ…ご褒美があってもいいと思うが?」




「はっ…あっ…だめっ」
経理課のある箇所にしか電灯がついていないシンとしたフロアに、声を殺して悶える私。パソコンの電源も落ちた真っ暗な画面の前のデスクに座らされ脚を広げていた。
「…っ、…っ」
私の椅子に座り直した秋人の膝の上にパンプスを脱いだ両足を置いて、腰掛けたお尻の横に両手を置いて、やってきる快感に全身がピリピリと痺れる。私の両方の太ももを掴み制服のスカートの中に顔を入れた秋人が、ストッキングの上から私の下着を舐めては、ちゅぅっと、吸い付き舌で押しているのだ。中途半端な愛撫で頭がおかしくなりそうになって、ちゃんと触って欲しくて腰が前後に揺れると、秋人の手がスカートの中へと入ってストッキングにあるお尻のラインの繋ぎ目を破いた。少しずつ大きくなっていくストッキングの穴と動きやすくなった秋人の手が直接私の下着に触れると、蜜口にある粒を下着の上からぎゅっと摘んだ。
「…んんっ!」
突然やってきた刺激に身体が素早く反応して背がのけ反り、強い快感をやり過ごしていると、下着を横にずらした秋人は、私の下半身に直接口をつけた。左足をデスクにおき、秋人がちゃんと愛撫出来るようにしたら、蜜口全体を丁寧に舌を這わし、粒を舌で転がし軽く吸いつかれ軽く達してしまう。蜜口から溢れる蜜を啜り、蜜口に舌をいれて入口をほぐしていく。プルプルと震える脚を空いた手で撫でられ、スカートの内側にシミが出来ていくのを感じる。
自分だけが感じているのが悔しくて、彼の脚の上に置いた足を動かすと、彼の腰の中心が盛り上がっているのを、足の裏で感じた。柔らかくふみふみ、と押したり足先で突いたりしていると、私の太ももに置いていた秋人の手が自分のズボンのボタンとチャックを寛げ盛り上がったボクサーパンツが現れた。
変わらず足でボクサーパンツの上から彼の膨らみを踏んでいると、秋人は私に近づくとストッキングを乱暴に引きちぎり、太ももにはいくつもの穴が出来た。両脚首を掴まれ足を曲げてデスクの上に座った私の上半身に押しつけられ、秋人は顔を埋めた。時折下着をズラして指を入れたりしていたが、ほぼ彼の舌と彼が息を吸うたびに下着の上から彼の吐く息や吸う息を感じて身体が悦ぶ。
「んんっ」
快感に対応する身体が息を鼻でするのも難しく、甘い声が漏れながら口が開いてしまう。ギシッ、コロコロ、と秋人が立ち上がり、椅子が転がってしまう。椅子の行方に意識がいっている間に、ズボンのポケットから出した正方形のビニールの包みを私に渡す秋人。私の足の横に手をつけた彼は、私の口を塞ぎ舌を絡めて吸い付く。甘噛みされたり、啄んでいたり、濃厚な口づけになりながらも、何とかコンドームのゴムを包みを開けて、ズレたボクサーパンツから飛び出す破裂しそうなくらい固く太くなっている昂りに装着した。
舌を絡め口を塞がれたまま、私の腰を掴み、ぬち、と蜜口から中へと秋人腰が進み昂りが入っていく。秋人の腕から首の後ろへと腕を回すと、私の太ももの裏に秋人の上半身が密着していく。秋人の昂りが一気に蜜壺の最奥まで貫くとズズッと抜かれ、もう一度奥へと戻っていく。

ガタッ、ガタッ

とデスクが揺れ、ぬちゃっとした粘音が二人の結合部からする。口を塞がれているために与えられる衝撃から漏れる声は、秋人の口の中へと消える。腰を強く掴まれているから、ただただ秋人の昂りを受け止め、腰が引いて居なくなる昂りを寂しいとでも言っているようにぎゅうぎゅうに締めつける。
「…っ、…!」
私のお尻に両手を食い込ませながら持ち上げ私を抱き上げて、背後に移動した椅子に秋人が座ると、自ずと彼の腰の上へと座る。下からも突き上げられ、自分の体重で深く挿さると早速限界がやってきた。
「~~~~っ!!」
口を塞がれ声にならない喘ぎ声をあげて、秋人の首に捕まったまま絶頂へと達した。
ドクン、ドクン、と脈打つ彼の昂りの放出を感じながら、唇に舌を這わされ、しばしの快感の余韻を堪能していた。


下半身にまだ何か入っているかのような感覚で、足元がふらふらになる。腰に回された手が私を支えるのだけど、信号機で止まるたびにお尻を揉むものだから、快感の波が引く事がない。
もう開き直って秋人に抱きついて歩き、潤む瞳の私と視線が合えば、外だろうと歩いていようが、どこだろうと口づけをした。
「…っ、くそっ」
そう言って我慢出来なくなった秋人の手によって、近くのホテルへと雪崩れ込むのも時間の問題だったのだ。
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