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短編

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フウモ王国の第3王女は病弱として人前に出ることなく成人を迎え20歳となった

キラキラと輝く金色の髪は腰まで届き長く、出不精のため焼けていない白い肌と母親譲りの碧瞳は宝石の様に美しい、左目の下の泣き黒子は人々を魅了し、悩ませる

第3王女といっても、国王の側室だった母の子供だったので王位継承権はあるものの、王族というものに興味はなかった
貴族だったのに質素な生活を好む母の影響のせいかもしれなかった
そんなある日いつものようにベッドで横になっていたら、父の使いが来て、結婚相手を見つけたとの知らせを貰った

ーーどんな相手だろうと絶対に嫌!

顔には出さず、国王陛下の謁見を求め、会いに行くと
国王陛下ーーいや、父が黄金の椅子に座り執務をしていた

「久しぶりだのぅ、ミネルヴァ、体調はどうだ」
「お優しい心遣い感謝いたします、国王陛下」
王族らしくお辞儀をすると
「そなたの結婚相手が決まった、隣国の第2王子のヨハネ殿だ」
「…そちらなんですが…私はこの通り身体が弱く、力もありません、お世継ぎなどでご不便をお掛けしてしまいますわ」
と、自分の病弱アピールで結婚を断ろうとするも
「隣国は一夫多妻制を導入していてな、世継ぎは気にしないで良い、強固な絆が欲しいんじゃ」
はっきり、きっぱりと同盟が欲しいと言われ
「左様でごさいますか…申し訳ありません、体調が優れないので下がらせて頂きます」
目的がわかったため、フラフラっと立ちくらみをして、部屋を出た


第3王女の直ぐに目眩を起こし倒れてしまうことは浸透していて、皆も直ぐに信じ
「お気をつけくださいませ」
侍女と護衛に付き添われ部屋に戻った





***************



ミネルヴァは側室専用の建物ーー住居に入り、結婚相手の王子を確認するために書物が置かれた書斎に向かう
ざっと調べただけでも、女性に手を上げ、使用人に強く当たるどうしようもない男という事が分かった

ーー癇癪持ちの自己中男ね

しかし、知らなかった事も分かった

ーー隣国の王族に嫁ぐ者はは乙女ーーつまり、処女を求めていると
なら処女でなくなれば私が結婚しなくて済むはずだ

ーーふむ、なかなかいい情報を得た

にんまりと笑ったミネルヴァは、計画を立て始めた
小さい頃から母に"もし意に沿わぬ結婚を強いられそうになったら自分で回避しなさい"と、その母も国王見初められ拒否する事なく側室に入った事が心残りだと言って、元から身体も弱かったために風邪を拗らせ死んでしまった


母の教えもあって、失敗しない結婚方法とは、と考えるようになりまずは文字を読めるように、結婚に失敗しないようにするには過去から学ぶため歴史を読むようになり、なら今有力な結婚相手になる人はどんな人がいるのかフウモ王国の周辺の情勢を調べるようになった

この隣国の王子の名も知っていたが、もしかしたら違う王子の名かと思っていたのだが…やっぱり自己中男だった




****************






「おーい!酒だ!酒を追加してくれー!」
ガヤガヤと男の太い声が店員に注文をする、アルコールの匂いが立ち込みる中は十数人の体格のいい男達が所狭しに飲み上機嫌に飲んだり話し込んだりしていた

この酒屋に入ったのはたまたまだった
一日中歩いた足が痛くて休息を求めていた、お洒落なカフェもあったのだが薄汚れたローブで入るには勇気が必要だった

ーー散々な目にあったわ


目の前に置かれたレモン水のジョッキを見つめながらひと息ついた
ーーレモン水頼む時も変な顔されたし
酒場でレモン水?って怪訝な顔され店員は、準備するとドンッとカウンターに置いた
喉が乾いていたので半分程飲むと、ガヤガヤと騒がしかった酒場がシンっと静まり返った
何事かと回りをみると、皆んなの視線の先には大きな熊男が
入口を塞いでいた

入口の扉よりも大きな身体を窮屈そうに丸め、黒のコートの隙間から覗くモスグリーンの軍服が見える
ある程度日焼けした顔の右側に眉から頬にかけ傷の跡があり、黒い短髪がその傷を際立たせていた
黒い瞳の鋭い眼差しがキョロキョロと店内を見回すと、私を見て驚きで目を見開いた

ーーあの人は…

私の目の前までくると、見下ろされる視線は怒っているようにも見え、殺さんばかりの視線は普通の人なら失神してしまうだろうが、生憎色んな人を見てきた私にはどうも感じなかった

「先程は、どうも熊男さん」
「…ここで何をしている」
カウンターに肘をつき、見上げた私に怒りを抑えた声で返ってくる疑問
ドカッと私の横に許可なく座ると、ミシッと椅子が鳴る
「今日は散々な目にあったので、休憩をしてます」
ちょっと嫌味っぽくなったのには訳がある
今日城を抜け出して初夜の相手を探していたのだが、行く先々にこの熊男が出ては私の邪魔をしたのだ
最初はーー

「最初は確か…屋台で豚の串を頼んでいる時に急に体当たりされましたわね」
「…あれは盗賊を追いかけて捕まえてようとしたら、貴方にぶつかってしまった」
「…そのおかげでローブが汚れてカフェに行けませんでした」

私が口を尖らせ不満をいうと、ふっと笑い店員に「ビール」と言って注文した

「その次は…お店の中で急に手を取られて連れ出されましたわ」
「………それは……店の中に汚れた浮浪者が入ってきたと知らせが」

「それから、なんか知りませんが今もこうして横に居ますし!」
「…それは仕事終わりに飲もうと」
先程と同じ様に店員にドンッと置かれたジョッキに手を取りゴクゴクと飲む
「で、貴方は何をしている?」
返答次第では怒ると、ギロリと睨まれた
「豚の串を食べ損ねて、雑貨店では追い出されてしまったのでもうお店に行けないので、飲み食いしたかったのですわ」
「…それは」
眉を下げる姿は何だか可愛くて思わず笑ってしまった
「ふふっ…だからこの酒場で今飲み物飲んでます」
レモン水のジョッキを持ち上げると、熊男も目許を綻ばせジョッキを上げて乾杯をした







一度離れた唇がまた重なる
恐る恐るミネルヴァの反応を確認するように

ーーなんでキスしているんだっけ…?そうだ………

たしか…他愛のない話をしていたハズだ
名前を聞かれ、本名のミネルヴァを伏せミルと名乗った
すると、小声でミル、ミルと繰り返す姿が可愛くてふふっと笑った時に肩に腕が触れた瞬間、ビクッとした熊男に、ごめんなさいと告げると視線が絡まり時が止まった気がした
目が合うと漆黒の瞳に吸い込まれぼうっとして、視線が反らせない
ーーなんて綺麗なの
レモン水しか飲んでいないから、酔っていないはずなのに店内のアルコールの匂いと柔らかい灯りが雰囲気を作っているかもしれない
カウンターに乗せていた手を遠慮がちに重ねられ、無意識に指を絡めたら熊男の瞳が揺れた気がした

「…っマスター…支払いを」

低い声の熊男が乱暴にカウンターに2人分のお金を置くと手を引かれ酒場を出る、酒場横の小道で止まり振り返った熊男に触れるだけのキスをされたのだった


ーーそうだ…キスしてる
私の反応を見ては、何度も離れる唇に安心する様に熊男の頬に繋いでいない方の手を添えた
すると、腰に腕を回され引き寄せられた彼の胸板は私の頭ぐらいあり、顎に手を添え上向きにされたと思ったら噛み付くキスをされる
私の口内を性急に動き回る舌に息も忘れ、噛まない様に一生懸命口を開ける
ぐちゅぐちゅっと液体の音が顔の位置を変える度に聞こえ、口から溢れる
「んっ、ん」
酸素も上手く頭に回らなくて、彼のコートを握り少し引っ張る
すると私の合図に気がついたのか、最後に一度口内を舐めると名残惜しく離れた口
抱きしめる腕の力は変わらず、顎も固定されたまま、あと3センチでまた唇がくっつきそうだ
自ずと視線が絡む
「…どうした?」
心なしか少しツヤのある声に変わった気がして、ゾクっと背中に悪寒が走る
「…はぁ…息…が出来…なくて」
何故か瞳に涙が溜まり、ため息混じりの声は甘えているみたいで少し恥ずかしい
「…鼻で息をするんだ」
そう言って啄むキスに瞼を閉じると、また舌を入れ濃厚なキスが始まった
握った指先をコートから外し彼の肩に回すが、彼が大き過ぎて諦め太い腰回りに移動した
鼻で息をするポイントを押さえた私は何度も何度も離れてはくっつく唇に、うっとりとする余裕も出来てきた

「んっ…んんっ?!」
いきなり腰からお尻に回った手が私を持ち上げ彼と同じ目線になった事に気がついた
彼の肩に手を置き目を開け彼を見る、鼻同士が触れたまま、熱い息を吐く熊男
「…この後…一緒に…過ごさないか?」
熱の篭った瞳で囁く声は低くツヤがある
「…それは…エッチをすると言う事でしょうか?」
「ゔっ…ごぼんごほんっ」
直球で聞き返した私にむせる熊男が、焦っていて可愛い

ーーでも待てよ、ここで初夜を済ませれば……結婚回避出来る

チラッと熊男を見る
ーー今日はただ町であわよくば相手がいるといいなって思ってたけど…うん、身体が大きいけど、話していて不快感はなかったし…キスも凄く良かった…気がする…した事ないから対象者いないけど

「…どうだ?」
心配そうな顔なんだが見る人によっては睨んでいるみたいな強面に、きゅんっとして彼の首に腕を回し、触れるだけのキスを私からした
「…初めて…なので、お手柔らかにお願いします」
ちゅっと離れると、ゔっと唸る熊男が私を抱きしめたまま走り出した



しっかりと支えられ、走っているのに腕の力がびくともしない
何度か曲がり進んだ先は5階建の古い建物だった
扉を開け、階段をのぼり廊下を早歩きした先は一番端の部屋

乱暴に開けて中に入ると、足で蹴り扉が閉まる
室内は暗く暖房器具も付いていない、肌寒く暖をとる様に熊男に抱きつくと、冷たくなったミルに気がつき温めるようにローブの上から摩る
抱き上げたまま、暖房器具を付け明かりを点けると部屋の中がわかった
扉のある壁にはチェストと、コート掛け、大きな暖房器具が横に備わっていた
細長いソファーにとテーブル、私がゴロゴロ回れそうなくらい大きなベッドの横にはサイドテーブルの上に先程付けたランプがあった
宝物に触れるように、そっと下ろされたベッドは朝起きたまま出たのか少し乱れていた
ゆっくりと押し倒され、私の目先にいて頬を撫でる熊男の顔が近づく
啄むキスに目を閉じ、彼の太い首に手を添えた

濃厚なキスから、首筋に顔を埋め舌を這わす彼はいつの間にかローブのボタンを外していた
ローブを広げると、フロントボタンの淡い水色のワンピースを身に纏った私の身体が熊男の眼下に晒された
ワンピースの上から胸を遠慮がちに下から掬い、揉む
「んっ」
っと甘い声が出て膝が立つ
また首筋に顔を埋め、舌を這わし強く吸うとチクリと痛みが断続的に続いた
大きな手でちまちまとボタンを外す熊男の、黒いコートを脱がせるために手を出した
お互いの服を脱がせ合い、視線が絡むと舌を絡めたキスをし中断し、名残り惜しく離れるとまたボタンに手を掛けた
パサッパサッと脱がすたびに床に投げる
シンプルな白いランジェリー姿のミルが、胸とお腹を腕をクロスして隠している
ワンピースの上から…いや、ローブ越しでも分からなかった溢れそうな大きな乳房を支えるインナーと、腰がキュッと締まり折れそうな腰と絹のようなすべすべの白い肌が熊男の欲情に拍車をかける
ミルの上に覆い被さる熊男は、身体中に無数の傷痕が残り、筋肉で覆われ腹筋が割れていた
ズボンはまだ履いていたが、ファスナーを下ろし下着を押し上げている昂りがキツそうにぴたりと形を表している
ミルの手を取り触れるキスをするとシーツへやり、身体を隠すモノが無くなる
顔を寄せ鎖骨を辿る様に舌を這わし、痛みを感じる
インナーの上から確かめるように揉む手は優しくて、ピリピリとした刺激が少しずつ身体全体に渡る
熊男の肩に手を添え、下の視線の先にいる彼を見るとインナーをズラし直接口に含む所だった
「っん……っ」
声を我慢し、指を噛む
ちゅぅちゅうと吸い、舌で舐め甘噛みを繰り返す
だんだんと乳房から粒がツンと出ると、舌で転がし強く吸うと、ミルの背が仰反る
浮いた背中に手を入れる熊男は、アンダーショーツに手を掛け脚まで下げる
露わになる金の下生えに目を細めると、より一層凶悪な顔になり、ミルは羞恥で身体が赤くなった
「…赤くなったな」
嬉しそうに告げた熊男は、胸から下ーーへそまで指でたどり下生えに指を絡めた
くるくると回し親指で蜜壺の縁を押した


くちゅ

と水音がするとカッと赤くなる頬に、足を閉じようと動かす膝を難なく腕で止め、蜜壺の縁を円を描くようになぞる
時折聞こえる蜜の音を聞きながら、ヌプッと突然入った太い指が未知の快感を呼び起こす
「っっっ……っ」
「…キツイな」
掠れた声が蜜壺を広げるために指の関節を動かす
ぐちゅっぐちゅっと蜜が掻き出され、蜜壺の側面を擦って広げる
「あっ…あっっつ」
指を動かされる毎にあられもない声が出て、身体が跳ねる

「っっぁぁああああああ」

一箇所触れた途端にビクンっと動いた身体を突き抜ける電気が流れた様な痺れが全身を駆け巡った
「ココか」
低く嬉しそうな声で指をもう1本増やし反応した所を責め始めた





はぁはぁ

ーーどのくらい経ったのか


息を整える前に責められ、ぐしゃぐしゃになったシーツをかき集め両手で握りしめる
3本の太い指が入った蜜壺はいっぱいになり、手首まで溢れ出た蜜が伝う
彼が蜜壺に指を入れるたびに、腰を上げてしまう程気持ちいいのか、と耳朶を噛まれ言われこの痺れが快感だと言うことを知った
ズルッと抜けた指が、蜜壺からなくなると寂しくてきゅんと締まる
熊男が私の腰を掴み固く熱い塊が蜜壺の入り口に触れ、いっぱいに広がり彼の昂りを包む
「…っ締めるなっ…ミルっ…力を抜けっ」
熊男の苦しい声に力を抜きたいのに、異物が蜜壺にズンズンと進みと、反対に圧迫感に拒絶するようにぎゅうぎゅうと押し止める
腰を揉み、乳房の粒を指で摘みコリコリと潰しこね始めるとピリピリとした快感がじわじわと身体を巡り始める
慎重に真ん中まで入った昂りを侵入を止めて、両手で腰を掴みひと息ついた熊男は、一気に貫きミルの処女膜を破る

「あああああぁああああああぁぁぁぁあ」
シーツを握る力が強くなり、痛みで叫ぶ
足がシーツを蹴り熊男から逃れようともがくが、掴まれた手がそれを許さない
「っっっミルっ!」
するとあまりの締め付けに我慢出来なくなった熊男が低く唸ると、ドクドクと蜜壺に注がれる証
「ぁぁあ…熱…っ…いっ」
灼熱のマグマに溢れる証に、ぎゅうぎゅうに締め付ける蜜壺が美味しそうに伸縮する
繋がれたままミルは仰向けに、熊男は膝を付き上体を起こし腰だけをピッタリと合わせた2人は、馴染むまで動かなかった
はぁはぁっと呼吸も、落ち着き始めた頃不意にズンっと突く熊男
だんだんと打ちつけるスピードも速くなり、肌のぶつかる音が大きくなる
パンパンと、出し入れするたびに白い証と透明な蜜が昂りに絡まり、淡い灯りの室内でテラテラと光る
暖房器具をつけ始めてから始まった行為に、いつのまにか寒さも吹き飛び熊男から流れる汗がポタポタっとミルの身体に垂れ、それすらも快感になりぎゅうぎゅうと蜜壺を締め付ける
痛みだけだった交わりも、じわじわと快感となり貫かれる度に甘い声が大きくなっていった


何度も何度も果てては、休み、また動かす熊男の底知れぬ律動にミルは、気持ちいい、イキたい、気持ちいいと
それだけしか考えられなくなっていった


ズルッと抜けた、熊男自身が抜けると、漏らしてしまったようにシーツに流れる白い証と破瓜での血が混ざり薄いピンクの線が出来る
もう指一本動かすのも困難な程疲れた身体は、ぐちゃぐちゃのベッドシーツをも気にせずうつ伏せになる

一度離れ部屋でガサゴソと何か処理した熊男が戻ってくると、シーツから覗くミルの背中にキスを落とし丹念に舐め、ねっとりと堪能するとミルを背後から抱き締め横向きにさせた
美しく長い金髪を耳から退かし、露わになった耳朶を噛み舐める熊男
「っふっ…なぁに、熊男さん」
ほんの少し横になったために、幾らか喋れるようになったミルの声は喘ぎすぎて掠れていた
ミルの問いかけにも答えず、熱さを取り戻した昂りをお尻に擦り付けられる
「っん…もぅっ…無理っ…っ」
本当にクタクタなのに、頭とは反対に腰が揺れミルも押し付けるように動く
耳を舐め、左目の泣き黒子に舌を這わし、ちゅうと吸い付く
耳朶を舐める彼の髪に指を絡めると、気がついた熊男と濃厚なキスをする
苦しい体勢でのキスはもどかしく、もっともっとと官能の火を付ける
「もう入れない、挟むだけ」
低い声で囁く声に、「うん」と告げれば、蜜壺がきゅんと求める
挟むだけだったハズが気がついたら交わり、座って下から突き上げる熊男に深い所まで暴かれ、もっとお願い、とはしたなく懇願しては期待に沿えようと熊男は荒々しく抱く
何度も何度も注がれる証に掻き出しては、注ぎ直し、栓をしてはシーツに流れる

酷く激しい快感は辛いと身に染みた







明け方、ぴたりと彼の腕に抱かれ眠っていたミルは、怠くまだ眠っていたかったが、後始末もせずに素早く着替え熟睡している熊男の前から消えた



朝起きてミルの不在を知った熊男は絶望に顔を歪め
夢だったかと思ったが、今までになく身体がスッキリと満足していた
彼女がシーツに残した髪の毛を見つけ、持つと
「…必ず探し出す」
低く怒りを抑えた声が室内にぽつんと響いた





夜になると、彼ーー熊男を思い出す
熱くて蕩ける夜を




あれから2年という月日が流れた、
相変わらず側室専用の建物の部屋から出ずに過ごすミネルヴァ
非公式に結婚相手が決まっていたミネルヴァの、妊娠が発覚した事により結婚の話が流れ、国王陛下より外出禁止を言い渡された、実質幽閉だ






1歳の息子の名は、エルヴァと名付けた
母親譲りの金髪は、少し短くキラキラと輝き
父親に似た黒い瞳は引き込まれてそうなほどの漆黒だ
よちよち歩きが出来るようになり、目に付いたものを触るヤンチャな男の子の育児は大変だが、乳母も手伝ってくれる

そんなある日
国王の使いがある書状を持ってやってきた

「お兄様の婚約…お披露目に参加するように…か」
知らせだけを持ち、すでに帰った使いの事などすぐ忘れ、兄の婚約お披露目会に出席…いや強制だ、する事になったのだ






*****************



初めて出る公の場は、キラキラと輝き豪華絢爛だった
見惚れてしまう控え室も会場も、普通ならわくわくするであろう社交場もただただ煩わしい 
2年近く閉じこもって、出産育児に忙殺されているミネルヴァはすっかり社会に疎くなった
まず
「新しい将軍が誕生したわ」
「何でもフウモ王国始まって以来の最強の将軍らしい」
「以前から国内中を指導して歩いているらしい」
華やかな会場での雑談を国王の背後で聞く私 

ーー将軍変わったのか、貴族の顔ぶれも違うし、また勉強しなければいけないわね

そんな事を思っていたら、始まるお兄様の婚約お披露目
お兄様の手を引かれ入場したのは可愛い優しそうな婚約者
軽くお辞儀をし、挨拶を済ませると国王に退席を促された

ーー本当にお披露目だけの出席だったわ

護衛1人を連れ側室専用の建物に帰る途中の建物と城を繋ぐ連絡通路に差し掛かった時、うっと護衛が声を上げドサッと倒れた
ハッとして振り返ると、緊張が走る
月の明かりで逆光になって顔が見えないが、全身黒尽くめの大きな身体の男が私のすぐ先にいた
一歩一歩近寄る毎に目が慣れ、固まっていた身体の力を抜いた
「……お久しぶりですわ、熊男さん」
「ああ…ミル…まさか王族だったとは」
護衛を跨ぎ、私の頬に大きくて固い手のひらが触れる
お互い視線を絡みながら屈む熊男に、首に腕を回し自分から抱きついた
ギュッと抱きしめられ、下に移動した手がお尻を掴むと持ち上がるとあの日の様に同じ目線になった
コツンと額をくっつけると、
「会いたかった」
「…ええ、私も…しかしここにいたらバレますわ…あちらの建物へ」
うっとりと見惚れている場合じゃないと叱咤し、移動する事にした
黙って私を抱えずんずんと進む、熊男の頭を抱きしめ建物の扉を開けた

こっちです、右です、と指示する私に黙って従い入ったのは、私の寝室
離れる事なく、ドカッとベッドに座ると膝の上にお尻をつけた
頬に触れ、親指の腹で頬を撫でる熊男にそっと目を閉じると、はっと息をのむ気配がし、数秒後噛み付くキスをくれた


お互い不在だった時間を埋めるように、離れない口と性急に服を脱がされ白い肌が露わになる
コルセットを乱暴に外し、ぷるんと揺れる乳房にむしゃぶりつく熊男
繋がるために、まだ濡れていない指を口の中に入れられ、クニクニと動く指に私の唾液でたっぷりと絡めて舐める
濡れた指を抜かれる時は口が寂しく目が彼の指を追いかけた
代わりに彼の口が私の寂しさを埋めるように、舌が口内を蹂躙した
ぐっと濡れた指を入れ蜜壺の中を広げ、指を曲げ横に前後に動く
2人とも早く繋がりたい一心で、2本入るともう耐えられないと前戯もそこそこに指を抜かれ、彼の昂りがミチミチと入っていく
久しぶりの快感が沸々と蘇り彼を受けいるために、自分の胸を掴み揉む
腰にある手がずんずんと進む昂りを助け、自分の力を抜くために胸に刺激を与えるミルの痴態に目を細め楽しむ熊男
「…いい眺めだ」
じっくりと見られている事に気がついたミルは、熊男を見上げ
「…っ足りないっ、もどかしいのっ…触って…可愛がって」
と懇願する
仰せのままに、と唸る声が聞こえて一気に貫かれた身体に容赦なく胸を掴み形を歪ませる
ぎゅうぎゅうと締め付けた蜜壺に注がれた白い証を受け止め、はあはぁとお互い無言で見つめ合う
「ンッ…この2年何をしていましたの?….エルフラン・ベア隊長様」
「…もう隊長じゃない…将軍になった、ミネルヴァ第三王女殿」
「まぁ…すごい…んっ…待って…あ」
むくむくと蜜壺の中が昂りの膨らみでいっぱいになる
「ずっと貴方に会いたくて国中の女を探しました…見つからなくて自棄を起こしそうになりましたが、今日のお披露目で貴方を見た時の俺の喜び…想像出来ないでしょう…まさか王族だったとは…最初に王族を攻めれば良かった」
ぱんっぱんっと激しくなる打ちつけに、話が出来なくなる
「ふふっ…あっ…激しっ…いっ…ぁ」
「ミル…俺のっ…ミルっ」
あまりの激しさに、ベッドの軋む音がシンっと静まり返った部屋に響く
また注がれた証にパンパンになった蜜壺から出すために、一度抜く彼の昂りはまだ天を向いていて
ごぽっと溢れる証が、シーツに溜まりお漏らしをしているみたいで恥ずかしい
蜜壺に指を入れ軽く掻き出す熊男の手首に触れた
起き上がり彼の逞しい胸板に抱きつき、彼の昂りが欲しくてそっと手を伸ばし先端を弄る
「っミルッ」
「ん…欲しい…あああああああぁぁぁ」
欲しいと言ったら直ぐに入れられガンガンと責められる
溺れ貪欲に求め合い、シーツがビチャビチャに濡れ使い物にならなくなっても空白を埋めるのには足りない逢瀬となった


朝の日差しが部屋に入り、微かな子供の泣き声が聞こえミネルヴァは起きた
怠い身体を起こすと、腰に回った手に力が入る
「…どこへ行く」
掠れた声で耳朶を噛み咎める熊男に
「子供が…エルヴァが起きましたわ」
そう言うと、背後で息を呑む熊男
ゆっくり振り返り彼の首に腕を回し、額をくっつけた
「…私達の子供、エルヴァはもうすぐ1歳3ヶ月ですわ」
ふふふ、と笑い彼の鼻を甘噛みすると、ぎゅっと抱きしめられ、胸に顔を埋める熊男
「…そうか…そうか」
震えた低い声が、泣いているように感じ、頭を撫でる
サッと服に着替えたエルフランは、クローゼットから適当な服を取りミネルヴァを着替えさせると、そのまま横抱きに持ち上げ子供の泣き声が聞こえる場所へと向かう
ベビーベッドの中で柵に手をつけ立ち上がり、泣きすぎて赤くなっているエルヴァは、ミネルヴァを見て泣き止んだ
突然入ってきた大きな身体の男に、悲鳴をあげる乳母達にミネルヴァはエルヴァのお父様よ
と軽く説明して横抱きにされたまま、エルヴァを持ち上げると2人分の重さが掛かり、少し腕が下がる
「…降ります…よ?」
と言うと、
「いや…このままで」
目の前に小さな子供が母に抱きつき、愛おしげに見るミネルヴァ
子供が顔を上げると、顔に傷のある鋭い眼差しの男と目が合うが、ランランと輝く瞳が黒い事に気がつき、信じられなくて目を見開く
「エルヴァ…パパよ」
頬にキスをしながら目の前の男の説明をするミネルヴァを抱きしめる力が強くなる
「ぱ…ぱ?」
「そうよ、パパ」
お利口さんね、とキスを繰り返すエルヴァはご機嫌になり、パパ、パパと熊男の頬に触れた
「…ああ、パパだ」
それっきり言葉に詰まったエルフランは母と子を抱き寄せ2人の肩に顔を埋めた






しばらくすると、





国中を周り女を一人一人自分の目で確認するため遠征した将軍は、盗賊を全滅し治安を良くした


将軍の報酬には子持ちのある美しい女性が与えられ、瞳が同じ黒い事に初めて気がついた国王が苦虫を噛み潰していた




将軍は妻と子供と大きな屋敷に住み移り、生涯一身に寵愛を受けたのはこの屋敷に住む者しか知らない

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