上 下
6 / 35

新居

しおりを挟む
お披露目も終わり、ホーク様はまだ少し残ると言うので先に新しく住む事になった屋敷に着いた
スワローズ家に住んでいた時の侍女も頼もしくもついてきてくれたので、少しばかりホッとした

「広いですね」
「広いわね」

流石騎士団長というべきか、門からの道の木々の風情ある配置と2階建ての建物と広く手入れされた庭が懐かしくも上品に感じた

「…スワローズ家とは違いますが、少し似てますね、雰囲気とか」
「…そうね」
そうだ、懐かしいのは似ているからなのか

私が寂しくないようにしてくれたのかしら
そうだったら嬉しい

そんな事思いながら玄関前に馬車が止まる
御者が扉を開け、手を借りておりると
執事とメイドが並んで立ち待っていた


「奥様、この屋敷の執事をやっておりますアークと申します、何か分からないことがありましたら、何なりと申し付けください」
アークと言った人は、グレーの髪を後ろに撫で付け燕尾服をピシリと着こなしていた
「マリアです、至らない点ばかりだと思うけど、アークよろしくお願いします…こちらは私の侍女のハンナよ」
ハンナは軽くお辞儀をして「よろしくお願いします」と、挨拶をした
「「「「奥様よろしくお願いいたします」」」」
一斉に挨拶されたのは背後に仕えていたメイド達

「よろしくお願いします」
笑顔で返事をするときゃーきゃーと騒がしくなる
「…申し訳ありません、奥様…社交界噂の女性を目の当たりにして高揚しております」
執事のアークがメイドを窘め、持ち場へ着くように指示し私とハンナを案内するため歩き出した

階段を上がり曲がるとひとつの扉の前で止まった

「こちらはご夫婦の寝室です」
アークが扉を開け、中に入ると
大きな窓が一面にあり、3畳くらいのベランダにはミニテーブルと椅子がある
部屋は20畳くらいの広さで、床はふかふかの絨毯、可愛らしい花柄のソファーに、大理石のテーブルと大人が5人くらい寝れそうなベッドには赤と白の天蓋カーテンが付いていた
クローゼットはドレス、バッグ、靴が所狭しと並んでいて明らかに多いし、見た事ない物ばかりだ
「…アーク私の荷物は?」
背後にいる執事に問いかけると
「奥様の荷物は隣の部屋にもございます、こちらは奥様のために旦那様が選んだものです」
「……そっ……そう」
このクローゼットだけで一生ドレスや靴は買わなくてもいいかもしれない、と密かに思った

「しばらく休むわ」
と告げると下がるアークと、お茶の準備をしますとハンナも部屋から出て行った

朝から結婚式を挙げ、軽い披露宴をしてもう日が暮れている
窓に近づき寄りかかり、唇を指でなぞる

初めてキスしたわ…柔らかくてカサついていたわ

今日から一緒に住む…夫婦なんだから…


外の庭を上から眺めハンナが戻るまで、幸せな余韻に浸っていた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

森でオッサンに拾って貰いました。

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。 ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~

二階堂まや
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。 夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。 気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……? 「こんな本性どこに隠してたんだか」 「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」 さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。 +ムーンライトノベルズにも掲載しております。

処理中です...