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女神の趣向

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名前を伝える軽い挨拶をした後、エリカの父に呼ばれたホーク様は「では」と私の前から去ってしまった

「…ホーク様」
素敵すぎる筋肉と声にうっとりと呟いた声はエリカに聞こえたみたいで、両肩に手を置き
「…今度騎士団本部に行く用事作るから一緒に行かない?」
「….作る?……….でもまたホーク様に会いたい」
どうして理由を作るの?と思ったが、突っ込んだらダメだと思った私は、ホーク様に会いたいと素直に伝えた


「…しかし、マリアが筋肉フェチとはね…うん…そりゃぁ王太子への態度も納得だね」
うんうん、納得するエリカを無視して、過ぎ去ったホーク様を思い返すマリア

あの逞しい腕に抱かれたらどんなに幸せだろうか
私を片手で持ち上げ、厚い胸板に顔を埋めて頬擦りしたい
彼をもっと知りたいわ

マリアの願望がぐるぐると頭の中を巡る

幼い頃から自分と同じくらいシュッとした人を多く見てきたせいか、ある程度筋肉がある人を見ると憧れ心の中で萌えていた
しかし、この王国内では王太子のように細身の男性が多く、どちらかというと苦手だった私はホーク様に会い目を奪われた

「……ねぇ、エリカ…ホーク様は…既婚者なのかしら」
既婚者なら、私の恋は叶わない
「いいえ、むしろ敬遠されてるわね」
希望をくれるエリカに感謝をするが…
「…そう…美しいのに」

筋肉が…との声まで届かず、マリアは帰ってお父様に一目惚れしたと伝えなければと心に固く決めた





****************





マリアの恋の相手があの流血の狼と知れ渡った時の屋敷中の混乱は凄まじい程で、お父様は倒れお母様は娘の初恋に喜んだ
弟達は泣き、執事や侍女は「絶対に上手くいくように尽くします!」と声高々に宣言してくれ、マリアは嬉し泣きをした 



すぐさま執事の手配で、流血の狼ーーホークの元へ1通の手紙が送られる



「お茶会を開催するのでいらっしゃいませんか」









数ヶ月後




数回のお茶会の後、不器用な流血の狼は女神にプロポーズをし、出会ってから半年後2人は結婚式を上げ、晴れて夫婦になった


その時、婚約者への王妃教育に苦戦していた王太子含め国内の貴族男子、彼女に惚れていた人々は悲しみの中祝福をする事になった



ホークとのお茶会では、一切の触れ合いはなく
おしゃべりをして帰る…というのが定着しつつあった
それでも着実にマリアに熱の篭った目を向け、マリアもホークに見惚れ恋心を募らせていく


そんな2人の初めての触れ合いは結婚式の誓いのキスで、ホークが彼女の唇に触れるだけの軽いキスをし、式が終わった

ホークとキスが出来た事にぽぅっとしていたマリアは、周りから羨望の眼差しまたは、ホークへの嫉妬の睨みが飛び交っている事など知る由もなく
ホークが周りをひと睨みし、黙らせた事にも気が付かなかった
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