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慰労会

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騎士団をサポートした労いの会は、お昼の時間からエリカの屋敷の大広間で行われる

王室や貴族間での主催ではなく、騎士団員の家族も参加するため軽いドレスコードでいいと言われたので

アップルグリーンのAラインのドレスの胸元にはダイヤのネックレスと、1粒のダイヤの飾りが付いた黒いストラップ・パンプスで足元が見えるようにドレスの裾を上げてもらった
銀色の髪はポニーテールにし、ドレスと同じ色のリボンで纏めた

手土産はいらないと事前に言われていたため何にも持ってきていない
侍女と御者と離れ、私が到着したのを聞いたエリカが出迎えてくれる
そのまま一緒に大広間に入ると、既に数十人の騎士団員が居てエリカの父ー商会を纏める長が言葉を掛けて回っていた
立食スタイルのパーティーで白いテーブルクロスの上には食事が並び給仕係が飲み物を手に配っていた
壁には椅子が並び数人の騎士団員と子供が食事を摂りながら談笑していた


エリカと私が入ると、途端に静かになる大広間に居た堪れなくなりエリカの腕に触れる
「…やっぱり場違いだったのかな」
小声で話しかけると
「いや…マリアの美貌に当てられただけだから大丈夫…あ…あそこに、こっち」
とニッコリ笑い返され、誰かを見つけると私の手を引き歩き出すエリカ


連れて行かれた先はサラサラの黒髪に銀縁メガネが似合う私よりも目線が上の身体つきがシュッとしている男の人の所
彼はーー
「こんにちは、副団長様」
エリカが挨拶を始めたので慌てて私も「こんにちは」と挨拶をする
「こんにちは、エリカ様…スワローズ令嬢、本日は我が団員を労っていただき、感謝いたします」
「いいえ!父が主催なので私は何にもしておりません…参加してくださりこちらこそ感謝しております」
いつもの元気さはどこかへ行ってしまったように、エリカは頬を染め副団長を見つめる
そんなエリカを微笑ましく見守るように見つめ返す副団長に、おやっと思う

ーーもしかして相思相愛?私の出番は必要なかったわ

と親友の恋に嬉しくなる
「スワローズ令嬢…こうした公の場にいらっしゃるのは珍しいですね」
にこにこエリカを見ていた私は、副団長に話しかけられ固まる
「……やはり…場違いでしょうか…祝いの席にこうして婚約破棄された者がいると」
悲しくなり落ち込むが、副団長は
「いいえ…そうではなく、王家主催でもなかなか出席されない女神を一目見ようと、夜会の度に警備を希望する隊員が多いので…本日いらっしゃると分かっていたら、きっと身動きも取れないほど満員になっていたでしょう」
と見た目と同じ優しいことを言ってくれる
「ありがとうございます、副団長様…屋敷にいる私をエリカ様が誘ってくださいまして」
エリカを強調し、彼女を立てる
「そうですか」
とエリカを見つめ返す副団長様の声は優しさで溢れてる


「…エリック」
柔らかな空気に低い不機嫌な声が刺す
声のした方を向くと、副団長様が顔を顰めた
「団長、いくらドレスコードはないと言ってもボロボロの軍服で来ないでください」
と団長と呼ばれた人を窘める
副団長の身体で団長の顔が見えない私が少しズレ副団長と喋る人を見る



そこにいたのは

軍服越しでもわかるがっしりとした筋肉に覆われた身体は副団長様よりも頭一つ大きく、片手で私を持ち上げられそう
刈り上げツーブロックの赤髪短髪のキリッとした眉毛につり目の赤い瞳が私に気がつき目を見開く

私も彼の顔を見て驚く

なんて…なんて…








最高の筋肉をしているの!
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