【完結】内緒事のある友人との離れ方

本編

六月に芽吹く(9)

「気持ち悪いとかないか？」
「……あれ、神崎？」
「うん、小鳥遊を迎えに来たから此処に居る」
「知ってるし」
「……そうか」

少し機嫌を損ねたのかムッとした表情を浮かべてる。でも機嫌を損ねた理由は思い当たらなかった。それより、いつ戻ってきたんだ。いつドア開けた？閉めた音すら聞いた覚えがなくて首を傾げてればペットボトルを渡される。

「水飲める？」
「のめる」

渡された水を受取る代わりに神崎に持ってたスマホを奪われた。

「……あれ」
「貸して」

回そうとしたペットボトルのキャップが思ったよりも固くて開かない。片手で持ってブンブンと振っていれば呆れた顔をした神崎に横から奪われる。

「どれだけ飲んだか覚えてるか？」
「んー…分かんない」

片手の指を折り終えて、もう片方の指も半分折ったところで明日は覚悟するんだなと言いながらキャップを外したペットボトルを渡してくれた。