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本編
惑いのある日(1)
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家の冷蔵庫を開けてみれば中身は何も入ってない空だった。
数日、家に帰ってなかった。勿論、神崎には連絡済み。冷凍庫に入れていた作り置きが全部なくなってる所を見るあたり飯はきちんと食べてたらしい。
神崎の料理をする気のなさは学生時代借りてたアパートのすぐ側にコンビニがあった事で嫌でも分かる。
ハァと深いため息が無意識に出てしまった。それからスマホだけを引っ掴み玄関へと向かう。コンビニ飯も美味いし、なんなら外食って手もある。それでも時間があって家にいるなら手作りの飯を食べてほしい。体調面も気になるし。
俺達の関係に恋人が付け加えられて数カ月経つけど、やっぱり俺は神崎の隠し事を打ち明けられていない。もう本当に一生知ることはないんだろうなってココまで来たら悟ってしまった。
でも意外と心は晴れやかだった。
献立は何にしようか。一人暮らししてた時に軽く料理はしてたけど、俺だってそんな凝ったものは作れない。でも日持ちして量があって、明日も食べれるやつがいい。やっぱカレーか。そんなことを考えながら靴を履きおえ立ち上がれば、同時にパタパタと走り寄ってくる音がした。
「一緒に行く」
「スーパー行くだけだぞ?」
慌てて追いかけてきたのか、乱れてる神崎の髪を手櫛で整える。
別に遠くへ行くわけでもないし、数十分後にはまたこの家に戻ってくる。わざわざ二人で行く意味が分からないと思いつつもでも行くと言い切った神崎にこの後なにを言っても聞かないことはこの数年で嫌というほど思い知らされてる。先に降参するのが神崎の機嫌を損ねない方法の一つでもあるため、二言目に出てきたのは暖かい格好に着替えてこいよだった。
数日、家に帰ってなかった。勿論、神崎には連絡済み。冷凍庫に入れていた作り置きが全部なくなってる所を見るあたり飯はきちんと食べてたらしい。
神崎の料理をする気のなさは学生時代借りてたアパートのすぐ側にコンビニがあった事で嫌でも分かる。
ハァと深いため息が無意識に出てしまった。それからスマホだけを引っ掴み玄関へと向かう。コンビニ飯も美味いし、なんなら外食って手もある。それでも時間があって家にいるなら手作りの飯を食べてほしい。体調面も気になるし。
俺達の関係に恋人が付け加えられて数カ月経つけど、やっぱり俺は神崎の隠し事を打ち明けられていない。もう本当に一生知ることはないんだろうなってココまで来たら悟ってしまった。
でも意外と心は晴れやかだった。
献立は何にしようか。一人暮らししてた時に軽く料理はしてたけど、俺だってそんな凝ったものは作れない。でも日持ちして量があって、明日も食べれるやつがいい。やっぱカレーか。そんなことを考えながら靴を履きおえ立ち上がれば、同時にパタパタと走り寄ってくる音がした。
「一緒に行く」
「スーパー行くだけだぞ?」
慌てて追いかけてきたのか、乱れてる神崎の髪を手櫛で整える。
別に遠くへ行くわけでもないし、数十分後にはまたこの家に戻ってくる。わざわざ二人で行く意味が分からないと思いつつもでも行くと言い切った神崎にこの後なにを言っても聞かないことはこの数年で嫌というほど思い知らされてる。先に降参するのが神崎の機嫌を損ねない方法の一つでもあるため、二言目に出てきたのは暖かい格好に着替えてこいよだった。
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