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本編

六月に芽吹く(4)

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俺にアプローチしてくれた女の子はこの中じゃ一番かわいいと思う。一緒に抜け出そうと誘えば乗ってくれそうだ。ホテルに連れ込んで一目惚れしたと伝えて抱いて、それから付き合おう。俺は案外一途だ。今は違うけど、ずっと側にいたらきっと好きになれるはず、たぶん。可愛いのは間違いないし、腕に押し当ててくる胸は柔らかい。短いスカートの裾から覗く太ももも触り心地が良さそうだ。そんな雰囲気なのにスマホを取り出した俺に連絡先を聞きたそうにしてたのに結局聞けなくて落ち込んでる初心なところがまた男心をくすぐる。

目の前に置かれた酎ハイはこれで何杯目だろうか。ヤバい忘れたなんて思いながら、まあまだ行けるだろうと一気に飲みほし同じ物を注文する。酒でも飲まないとやってけない。俺は教師とは思えない道徳心のないことを今から偶々居合わせた女の子にしようとしてる。違う意味でまたドキドキしてきた。いつ切り出そうか様子を窺ってどれだけ経っただろう。気持ちの焦りにつられて酒を飲むペースも早くなっていく。そうしてれば不意に横から腕を強く引っ張られた。


「帰ろう、小鳥遊」
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