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久しぶりの再会(3)

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「おい、冗談だ。本気にするな」
「いえ、約束を果たせなかったのは事実で御座います」
「本当なら、あと数年は帰って来れない筈の任務をこんなに早く終わらせたのはレイヴィアスの活躍があったからだと聞いた」
「勿体ないお言葉で御座います」
「顔を上げろ」
「よく帰ってきた、レイヴィアス」
「ただいま、戻りました…っ」

真っ直ぐに俺を見つめてくる意志のある瞳。思わず泣きそうになってしまい頭を下げる事で誤魔化した。


「お前がいない間に手は回した。もう誰にも好きにはさせない。側にいろ、ずっとだ」
「御意」

ようやく上手く息が吸えた気がした。

守りたい。

誰よりも気高く、敵の多いメルロ様の力になりたい。しかしそれが自己満足であるのなら、いっそ遠くから見守るべきなのかと離れていた数年で覚悟を決めていた。だがそれも杞憂に終わったらしい。

歩き出したメルロ様を追うために立ち上がる。と、またメルロ様が此方を振り返った。

そして楽しそうに口元を歪ませる。

「まだ伸びてるぞ。成長期だからな」
「な…」

どうやら俺が最初に考えていた事に気づいてたらしい。告げられた言葉はさらに追い打ちをかけてくる。一つ違いなので俺の成長もまだ続いてる筈なのに、悲しい事に去年から伸び悩んでいた。

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