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最期の時(3)

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悔いの残る生き方はしていない。ディエゴ様とメルロ様、お二人にお仕えできた事はとても幸福だった。一つ反省点を上げるとすれば思考の視野が狭いことだ。もしも次があるなら、その点に注意しなければならない。

なんて次など無いだろうと自分を嘲笑う。

それを最期に息を引きとった、筈なのに。



何故か目を開ける事が出来てしまった。

初めは意味が分からなかったが、どうやら俺はもう一度俺の人生を歩まなければいけないらしい。

違う事といえば今生は最初の主人がディエゴ様を飛ばしてメルロ様になりそうだという事だ。

若いディエゴ様の隣に自分以外の騎士が立っている姿を見るのは何となく気分が良いものではなかったが、今の自分ではディエゴ様もメルロ様もお守りできない事は嫌というほど分かりきっていた。名残惜しむ気持ちを外へ追いやるように頭を振る。

俺にはやらなくてはならない事がある。

前とは違いメルロ様と歳が近いため未熟な己を鍛える姿まで見せ続ける事にもなるが鍛錬を重ね、今度こそメルロ様の信頼を勝ち取りお守りせねばならない。

無意味に嘆いてる時間など俺には無いのだ。
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