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最期の時(2)

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「メルロ様、初めの頃は態度が悪くて申し訳御座いませんでした。あの時に私はもう騎士失格でしたが、それでもメルロ様をこの命にかえてもお守りしたいと、最近はずっと思っておりました」

やっと言えた。

全て自分が撒いた種だが、ずっと謝りたかった。

「お前、なにも言わなかったじゃねえか」
「言ったところで信じてもらえない事は自覚しております。勘ぐる必要のない懸念を与えたくはありませんでした」

誰かに知って欲しいわけでも、受け入れられない宣誓をするつもりもなかった。

誰にも知られてなくたって、守りたい相手にさえ伝わっていなくたって。ただ俺は自分の心に誠実で在れればそれで良かったのだ。

「馬鹿じゃねえの。今さらペラペラ喋りやがって。何も話さねえ、人形、だったくせに…」

メルロ様の表情が歪む。気のせいか、今にも泣きそうにみえた。

「主の腕の中で死ねる。騎士として、これ以上に名誉な事はありません。私はこれで十分です」

目を開けてる気力もなくなり目蓋を閉じた。

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